チャック袋横丁は一般出展と何が違う?
今回のテーマは、ボードゲームの即売会ゲームマーケット ── 日本最大級のアナログゲームの展示・即売会。企業から個人の同人サークルまで多数が出展し、新作ボードゲームが発表される場として知られていますにある出展プラン「チャック袋横丁」です。Manaさんは、出展プランの違いを入口に、このプランの使いどころを考えていきます。
ゲームマーケットには、企業が大々的にブースを構えるエリア出展や、多くの個人・サークルが並ぶ一般出展があります。そのどちらとも別の出し方として用意されているのが、チャック袋横丁です。
チャック袋横丁も、個人が自作のボードゲームを発表・頒布するという点は一般出展と変わりません。違いは、出せるゲームに制限があることだとManaさんは説明します。
チャック袋横丁っていったものはですね、その出すゲームについてちょっと制限があるよといったものになります。これが一般出展との違いっていうようなところになっております。
チャック袋横丁では、複数の作品をまとめて売ることはできません。一般出展では多くの作家が化粧箱 ── 商品の見栄えをよくするために印刷や加工を施した外箱。ボードゲームでは作品の世界観を伝える重要な要素ですが、製造コストもかかりますやリッチなコンポーネントにこだわりますが、チャック袋横丁ではそうした外装に凝ることもできない仕組みです。
制限と引き換えに得られる「安さ」
チャック袋横丁の大きな特徴は、制限がある分だけ出展料が安いことです。Manaさんによると、開催回によって金額は変わるものの、一般出展が数万円程度なのに対し、チャック袋横丁は数千円で出展できます。
その代わり、チャック袋横丁には持ち込めるゲームの種類や在庫数に上限があり、ブースの飾り付けも一般出展のように大きくはできません。基本は、机の上にボードゲームを置いて頒布するスタイルだとManaさんは話します。
チャック袋横丁という名前のとおり、多くの作品は袋に入っているだけの簡素な外装です。ただ、その分ゲーム自体を一般出展より安く作れるという利点もあります。
やっぱり化粧箱ってなると、ほんと箱だけでもうほんと400円以上とか多分しちゃうんじゃないですかね。
化粧箱を付けると、最終的な販売価格は少なくとも1000円以上になっていくとManaさんは見ています。一方、チャック袋の作品はほぼ内容物だけのコストで済むため、頒布価格も500円や1000円など、一般出展に比べて安めに設定している作家が多いようです。
一般出展とチャック袋横丁の違いを、Manaさんの説明に沿って並べると次のようになります。
| 項目 | 一般出展 | チャック袋横丁 |
|---|---|---|
| 出展料 | 数万円程度 | 数千円程度 |
| 販売できる作品 | 制限なし。複数作品も可 | 1回1作品まで。在庫数にも上限あり |
| 外装・ブース | 化粧箱やリッチな装飾が可能 | 袋入りが中心。飾り付けも控えめ |
| 頒布価格の傾向 | 1000円以上になりやすい | 500円や1000円など安め |
ルール作りに集中できるのはなぜか
Manaさんがチャック袋横丁を取り上げた理由は、ボードゲーム作家が抱えがちな悩みにあります。ゲーム作家はルール作りは得意でも、販売商品にするにはアートワークやプロダクトデザインなど、商品として完成させる力も求められます。
このボドゲ活動といったもの、ボドゲ制作といったものは総合格闘技だよねってよく言われますけれども、ほんとゲームルール、ゲーム作りとは全く別のところでも必要な力といったものが試されるわけなんですね。
多くの作家は、デザインを自分でできずに外注しています。外装などに1作品で何万円もかけていくと、発表できる作品の数は減ってしまうとManaさんは指摘します。
チャック袋横丁では、そもそも外装にコストをかけられない前提です。だからこそ作家はゲーム作りに集中でき、面白いゲームを多数発表していけることが、チャック袋横丁を専門にする作家ならではの強みだとManaさんは考えています。
人通りは少なくても、コアファンが集まる場所
チャック袋横丁には弱点もあります。ゲームマーケットの来場者の多くは派手な一般出展を目当てにしているため、チャック袋横丁のエリアは人通りが少なくなりがちです。
ただしManaさんによれば、チャック袋横丁を訪れる人は、とにかく面白いボードゲームを求めるコアなファンが多いといいます。
そういった人たちって、結構その外装というか、化粧箱がいくらリッチだったとしても騙されないというか、ほんとゲームシステムに重きを置くっていうような人たちが来ます。
一般出展では、面白いゲームでもパッケージが微妙だと埋もれてしまうことがあります。チャック袋横丁でルールの面白さを前面に出せば、それを求める人と直接マッチングできるとManaさんは考えています。
一般出展で100個を完売させるのはかなりのハードルです。見た目でも戦い、ライトな層も相手にしなければならない一般出展より、いっそ対象を絞ってチャック袋横丁で勝負をかけるのもよいのでは、というのがManaさんの見方です。
商業出版の出版社がチャック袋横丁を見に来る理由
別の観点として、Manaさんは商業化の話を挙げます。自分の作品を大きな企業からリメイクしてもらう、いわゆる商業出版を目指す作家にとっても、チャック袋横丁は意味のある場所だといいます。
それ(商業出版)もですね、結構チャック袋横丁見に来るらしいんですよ。
Manaさんの説明では、商業化するときはアートワークやパッケージを全部作り直す場合がほとんどです。そのため、デザインや世界観が作り込まれている作品はかえってわかりにくく、大々的に売れすぎている作品も商業化しにくいことがあるそうです。
出版社の側から見たチャック袋横丁の役割は、次のような流れで整理できます。
発掘
チャック袋横丁でゲームシステムが面白い作品を探す
作り直し
一般向けに売れるアートワークとパッケージを載せる
商業出版
出版社の商品として広く販売する
こうした出版社にとって、チャック袋横丁は「まだ見ぬ原石」のような掘り出し物を探す場になっているのかもしれない、とManaさんは話しています。
チャック袋横丁はどんな作家に向いているのか
Manaさんは、自分で商品をどんどん作って売り、それで生活していきたい人には、一般出展やエリア出展が向いていると考えています。一方で、面白いゲーム作りに没頭して作品数を重ね、売ることは出版社から声がかかったら任せる、という作家にはチャック袋横丁が最適だといいます。
チャック袋横丁には1回1作品までという制限がありますが、ゲームマーケットのたびに新作を出すことも十分にできます。化粧箱付きでリッチに作ると毎回何十万円もかかりますが、チャック袋横丁ならその負担を避けられます。
ただしManaさん自身は、かっこよく作りたい気持ちがあり、すでに商品数も増えて全部売りたいため、今からチャック袋横丁に移るのは難しいと話します。そのうえで、これからボードゲーム作りを始める人や、コストや宣伝合戦に疲れている人には検討をすすめています。
実際に出展している人の声を聞くとそうでもないですし、全然売れんじゃんって感じもあるんですね。
Manaさんは当初、人通りの少ないチャック袋横丁は売れないのではと思っていたそうです。しかし出展者の報告を見て、チャック袋横丁からも商業出版が出ていることがわかり、とてもよい選択肢だと感じたといいます。
まとめ
チャック袋横丁は、出展料や外装の自由度に制限がある代わりに、低コストでゲームのルール作りに集中できる出展プランです。コアファンとの出会いや出版社による発掘も期待でき、作品数を重ねたい作家にとって有力な候補になると話されています。
- チャック袋横丁は出展料が数千円と安く、1回1作品・袋入り中心など外装やブースに制限がある
- 外装にコストをかけない前提のため、作家はルール作りに集中し、新作を出し続けやすい
- 人通りは少ないが、ゲームシステムを重視するコアファンが集まり、100部完売する例もある
- 商業化ではアートワークを作り直すため、出版社がチャック袋横丁で面白いシステムを探しに来るという
- 自ら売って生活したい人は一般出展、ゲーム作りに没頭したい人はチャック袋横丁が向いている


