実在するスキー場をゲームにした「すべるんだいっせい」
今回のテーマは、実在する地域やリアルにあるものを題材にした「ご当地もの」のボードゲームです。空想やフレーバーだけでなく、現実世界のものとリンクさせると面白い展開が生まれるのではないか、という視点で語られています。
具体例として挙げられたのが、モノビーズから出ている「スベルンダー1世」というゲームです。これは実在するスキー場のマップを使ったボードゲームだと紹介されています。
収録されているのは、群馬県のオグナほたか、新潟県の舞子リゾートといった、実際にあるスキー場のマップです。リフトで登る、コースを滑るといった移動をしながら遊んでいく作りになっているそうです。
Manaさんは、ゲームシステム自体の完成度の高さに加えて、この仕組みは横展開しやすい点にも注目しています。
まあゲームシステム自体もすごく面白い完成度なんですけれども、まあ結構横展開できるかなと思うんですね。
日本や世界の様々なスキー場をリンクさせてゲーム化できるうえ、拡張版としてどんどん足していけると考えられています。
ゲームが「思い出」と「地域の応援」につながる
実在の場所を題材にする利点として、まず挙げられているのが、実際にそこへ行った人にとっての思い出になるという点です。
さらに、その地域のボードゲームという形であれば、地域そのものから応援される可能性もあると話されています。単なる空想やフレーバーではなく、実在するものとリンクさせることが強みになるという考え方です。
観光地のお土産という新しい販路
もう一つの大きなポイントが販路です。「スベルンダー1世」は観光地でお土産として売られているそうで、これがボードゲームにとって新しいチャンネルになると指摘されています。
通常、ボードゲームの主な販路はゲームマーケットや通販など、普段からボードゲームで遊ぶ人が集まるマーケットにほぼ限られます。ショッピングモールなどにただ置いても売りにくいという話です。
いくら人通りがあったとしても、ボードゲームで遊ばない人たちって、そこに(ボードゲームが)あったとしてもあえて買わないよねみたいな。
一方で、観光地やお土産となると話は変わってきます。普段ボードゲームで遊ばない人でも、トランプを修学旅行で遊ぶように、きっかけがあれば遊ぶ人は多いという見立てです。
お土産といえばお菓子やキーホルダーが定番ですが、自分が滑ったコースがそのままゲームになっていれば、特に子どもは欲しくなるだろうと語られています。しかも遊べるという点が、他のお土産にはない優位性になります。
実際に自分が滑ったコースがゲームになってるよってなると、とてもお子様とかは欲しくなってくると思うんですね。しかも遊べるんだみたいな。
こうして、普段ボードゲームでがっつり遊ぶファン以外に、販路が構築される点が、ご当地ものの大きな魅力だとまとめられています。
ゲームマーケットや通販が中心。普段ボードゲームで遊ぶ人のマーケットにほぼ限られる
観光地のお土産として、普段遊ばない層にも届く。お菓子やキーホルダーにない「遊べる」優位性がある
地元企業とのコラボやスポンサードの可能性
ここからはビジネス的な視点での展開が語られます。地元に根付いた企業、いわゆるご当地系の企業とのコラボという発想です。
例として挙げられたのは、地元に根付いたお菓子屋さんやメーカー、工場、名産や特産物を作っているところなどです。こうした地元の大企業とコラボし、地元のものを紹介するボードゲームを作る展開が考えられています。
Manaさん自身の地元である千葉県野田市では、キッコーマンが強いといいます。ただ、野田は観光地ではないため、醤油とコラボしても売る場所が難しいという難点も率直に語られています。
それでも、スポンサードや協力会社を探すといった動き方をすれば、広めようと思えば広められるのではないか、と可能性が示されています。
学校教育で動く「ご当地カタン」
面白い試みとして紹介されたのが、新潟で行われている「ご当地カタン」のプロジェクトです。
このご当地カタンは、資源が新潟の地元の特産物になっており、マップの形も新潟県の形になっているそうです。実際に販売するというより、権利元であるジーピーに許可を得て、学校教育の一環として行われていたとされています。
高校か大学か記憶があいまいだと前置きしつつ、ボードゲームの作り方やゲーム論を学ぶ講座の教材として、そうしたゲームを作ってみるプロジェクトが動いているようだと語られています。
県によってマップの形が様々である点も、いろんな地域版が生まれる面白さにつながると考えられています。ただし、カタンの権利はジーピーが持っているため、ジーピーがどう考えるか次第だという点も添えられています。
路線図・高速道路・観光地、横展開できる題材たち
1つ地元のもので作り、ゲームシステムがしっかりしていて反響が得られれば、様々な地域版として拡張・横展開できると整理されています。
題材の例として挙げられたのが路線図です。ローカル路線は数多くあり、すごろく的に考えれば、関東の地下鉄、関西の地下鉄というだけでも横展開できるといいます。高速道路も地域によって面白いと語られています。
観光地の活用も挙げられます。スキー場のように1つをピックアップする形だけでなく、地元にある様々な観光地を巡るゲームも考えられるという発想です。
具体例として、四国のお遍路巡り、御朱印巡り、一の宮・二の宮・三の宮といった巡り方が紹介されました。千葉であれば、銚子、九十九里浜、ディズニーランド、東武動物公園、千葉ポートタワーなどを活用する案が出されています。
- 路線図やローカル路線、地下鉄、高速道路
- 神社やお寺、お遍路巡りや御朱印巡り
- 海水浴場、山登り、テーマパークなどの観光地
- 昔の地図帳に載っていた特産物や栽培作物
- 富士山の吉田ルートや御殿場ルートなど、実在する登山ルート
昔、学校で配られていた地図帳に、地域ごとの特産物や栽培作物がアイコンで載っていたことにも触れ、それらもボードゲーム化できると考えられています。標高差などの地理情報を使う発想も語られました。
伝統ゲームを現代版にリメイクする
ご当地ものに加えて、その地域に根付いて昔から遊ばれてきたもの、いわゆる伝統ゲームにも可能性があると話が広がります。
例として、ゴイタや、彦根市のものだったと思うとされるカロムが挙げられました。さらに、群馬県への旅行時に見つけたという「上毛かるた」も紹介されています。
Manaさんは、こうした昔から遊ばれているものを、現代風にデザインを整えてリメイクするのも面白いと語ります。地域ごとの伝統ゲームは調べると意外とあり、知られていないだけだといいます。
京都のお座敷遊び「金毘羅船船」をアレンジする
実は、そうした昔からの遊びをリメイクして今作ろうとしているものがあると明かされます。それが京都のお座敷遊び、芸者さんと遊ぶ「金毘羅船船」です。
金毘羅船船は、歌いながら、日本酒の下に敷く袴のようなコマをお互いに触ったり取ったりしていく遊びです。Manaさんは実際に娘とお茶碗を使って遊んでみたところ、そのままでもとても面白かったと話しています。
もう数時間そのお茶碗(1個)で爆笑しながら遊んでたっていうようなことがあります。
このゲームをなんとかアレンジしたいと、様々な試みをしているそうです。裏返したら右手ではなく左手を使う、コマを重ねられる、お椀なのでコマを隠せる、といったアレンジを試している段階だといいます。
背景には、京都で芸者遊びをする外国の方が増えているというインバウンド需要があります。京都に住んでいないのでご当地ものと言えるかは微妙と前置きしつつ、純日本風のパッケージにすればお土産需要も狙えるのではないかと考えられています。
一方で、実際に歌を使っていいのか、格式の高い遊びをゲーム化していいのかといった懸念も率直に語られています。作る時期は未定ながら、すでに娘と遊んでいて面白いと手応えを感じているようです。
地元に何かないか、と考えることから始める
最後に、埋もれている昔の遊びを現代版に持ってくることも、その地域にしかないものを題材にしたゲームを作ることも、どちらも面白いとまとめられています。
そうして作ったものを横展開したり、新しい需要に向けて発信したりできる点が、ご当地ものの強みだと語られました。
ぜひちょっと地元に何かないのかな?だとか、実際にあるものってどういうのがあるんだろうっていう風にちょっと考えながら、ボードゲームの案といったものを練っていただけたら。
フレーバーに悩んだときや、地元ならではのものに気づいたときに、それをゲーム化してみる。そんな入り口から、面白い展開が見えてくるかもしれない、という締めくくりでした。
まとめ
実在する地域や伝統遊びを題材にした「ご当地もの」のボードゲームは、思い出づくりや地域の応援、お土産という新しい販路、さらに横展開まで狙える可能性を持つ、というのが今回の要点です。
- 実在するスキー場を使った「スベルンダー1世」のように、リアルなものとリンクさせると横展開しやすく、行った人の思い出にもなる
- 観光地のお土産という販路は、普段ボードゲームで遊ばない層にも届く点で、従来の販路にない優位性がある
- 地元企業とのコラボや、学校教育で動く「ご当地カタン」など、ビジネス・教育の両面で展開の余地がある
- 路線図・観光地・特産物・登山ルートなど、実在する題材はゲームシステムがしっかりしていれば地域版として横展開できる
- 上毛かるたや金毘羅船船のような伝統遊びを現代版にリメイクする発想も、インバウンド需要やお土産需要につながりうる





