アイデアは骨格、テクニックは作業
番組「ボドゲの天下取り」で、制作者のManaさんが今回取り上げたテーマは、アイデアの生み出し方です。ボードゲームを作る人は、何を作るか、どんなルールにするかで悩む場面が多いといいます。
Manaさんによると、作るものの方向性が決まったあとは、テクニックに近い作業になるといいます。ゲームシステムをどう組み合わせるか、何を採用するかといった部分です。
一方で、それより根源的なのがアイデアの部分だと話します。ボードゲームの骨格になるもの、他とは圧倒的に違う特徴的なもの。これを生み出すのが大変だといいます。
ボードゲームの骨格となるようなもの、圧倒的に他との違いであったり、特徴的なもの。それを生み出すのって結構大変なんですね。
アイデアマンはゼロから生んでいるのか
Manaさんは、ボードゲームに限らず、周りにいるアイデアマンの存在に話を広げます。相談するとどんどんアイデアが出てくる、ひらめき上手な人のことです。
そうした人がゼロから常に湧き水のようにアイデアを出しているのか。Manaさんは、それは違うのではないかと考えているといいます。
ゼロからいきなりひらめく人もいるかもしれないけれど、それでも自覚していないだけで、完全に無から生み出しているわけではないだろう、というのがManaさんの見方です。
結局はですね、引き出しからの掛け合わせだと思うんですね。
Manaさんは、アイデアの正体を、これまで感じてきたことや知識、経験といった蓄積された引き出しの掛け合わせだと説明します。生み出すというよりも、すでに持っているものを掛け合わせてアウトプットするという捉え方です。
たくさん遊べばアイデアは出るのか
ボードゲームの作り方を聞かれたとき、よくあるアドバイスとして「たくさん遊んだ方がいい」というものがあります。Manaさんもこれを何度も聞いてきたといいます。
ただしManaさんは、様々なボードゲームを遊んでも、アイデアが出るかどうかという点はなかなか溜まっていかないのではないかと話します。
もちろんいろんなゲームを遊んだ方がいい、という前提は置いたうえで、Manaさんはその位置づけを整理します。遊ぶことで得られるのは、アイデアそのものではなく、アウトプットの技術だという見方です。
いろんなゲームを遊ぶと、こういうゲームシステムがある、こういうコンポーネント ── ボードゲームに含まれるカード・コマ・ボード・トークンなどの構成部品のことがあるといった知識や経験は溜まります。
けれども、生み出されたアイデアをどのゲームシステムで表現するのが一番いいかという選択や、ルールを組み上げるときの調整は、アイデアを生む作業とは別だとManaさんは言います。
ゲームシステムやコンポーネントの知識。アイデアを形にするアウトプットの技術
ゲームの骨格になるアイデアそのもの。何が面白いかという根本の発想
アイデアの源は「自分と向き合うこと」
では、アイデアを出すために何をすべきか。Manaさんが挙げるのは、自分と向き合うことです。抽象的だと断りつつ、普段の日常で何を感じているかを見つめ直そう、と呼びかけます。
ボードゲームでは面白いものを作りたい。だからこそManaさんは、自分は何に面白みを感じるのかにちゃんと向き合おう、と話します。
Manaさんは具体例を挙げます。会話が好きな人なら、日常会話の中で「面白いな」と思うポイントがあり、それがゲームにつながるかもしれない、というのです。
じっくり考えるのが好きな人なら、その時間が「なんでこれ楽しいと思えるんだろう」と見つめ直すことが手がかりになるとManaさんは言います。
つまりManaさんの考えでは、ゲーム自体の引き出しだけを増やす必要はありません。日常をなんとなく過ごすのではなく、面白い、つまらない、イライラする、悲しいといった感情を受け止めることが大切だといいます。
負の感情もいい方の感情も全て受け止めて、自分はどうしてそう思ってるんだろうって、自分の感性を大切に生きていく。
机の前で悩むより、外で経験を積む
Manaさんは、感じたことの粒が溜まっていくと発想につながると説明します。あの時あれが面白かったから題材になる、自分が楽しいと感じるからみんなにも味わってもらえるように形にする、という流れです。
だからこそManaさんは、机の前に座って「何を作ろうかな」とウダウダ考えても何も思いつかない、と率直に語ります。
そういうときは、どこかに遊びに行く、人と会うなど、外に向けて人生経験を積んだ方がいいアイデアが生まれるのではないか、というのがManaさんの提案です。
Manaさんは、周りのアイデアマンを見ていても、いろんな経験をしていて、それを言語化できる人が多いと感じるといいます。吸収や消化、咀嚼の仕方が上手だという見方です。
無意識にゼロから生まれてると感じてる人でも、昔の過去経験をうまく引き出せる力が強いのかなと思いますね。
「散歩に行く」だけでは意味がない
Manaさんは、行き詰まったときに「散歩に行こう」「旅行に行こう」というアドバイスもよく聞くと言います。ただし、それをやっただけでは意味がないと釘を刺します。
世界一周も、なんとなくしただけでは意味がない。そこで何を感じたのかをストックし、言語化し、消化することが必要だ、というのがManaさんの主張です。
これをしないと、ただ経験しただけ、ただ変なことをしただけの人間で終わってしまう、とManaさんは表現します。
これまでの人生、自分の感性、とっても大切に生きていくことが、いわゆるアイデアを生み出す秘訣みたいになっていくのかなと思います。
ボードゲームに限らない、創作の根っこ
Manaさんは、この話がボードゲーム作りだけの話ではないと広げます。企画を考える職業の人にも当てはまり、友達との移動中に遊びをポンポン思いつく人も、過去の経験から発想していると見ています。
特に創作活動では、この点が致命的に効いてくるとManaさんは言います。どれだけ自分に向き合い、時間を大切に過ごしてきたかが重要になる、という考えです。
自分の感性を表現するのが、いわゆる創作活動だと思いますので、これまで何を大切にしてきたのか、それをたまたまゲームという形でアウトプットしているだけなんですね。
Manaさんは、他のアウトプットをいくら勉強しても、それだけでは自分のアウトプットにはならないと話します。逆に、自分の中の感性がしっかりしていれば、他のゲームシステムを組み合わせても十分自分の作品になるといいます。
感性がないまま掛け合わせるだけだと、真似っこや劣化版になってしまう。他の作品も作者の感性で作られたものなので、それらを掛け合わせても結局は人の感性のままだ、とManaさんは指摘します。
作者の人間性と、作品を切り分けて楽しむ
Manaさんは、いろいろなジャンルやテーマで作り続けている作者は、日常でも一つ一つのことを大切にしているのではないか、と勝手なイメージだと断りつつ語ります。そういう人は話していても面白いといいます。
ただしManaさんは、負の感情も含めて一つ一つ大切にしていくと、人間性が崩壊するパターンもあると付け加えます。怒りや自分の醜さも大事にしてしまい、「それが私だ」という感覚に陥ることもあるといいます。
それでも、その醜さや怒りさえ大切な感情から生まれたものなので、作品自体は素晴らしい、とManaさんは考えます。だからこそ、遊ぶ人にとっては人と作品を切り分けて考えることも大事だといいます。
Manaさんは、番組ではこうした概念的な話に加えて、どう売っていくかというビジネスやマーケティングの話も交えていくと紹介しつつ、今回の要点をあらためて示します。
まとめ
今回Manaさんが語ったのは、アイデアは無から湧くのではなく、日常で感じたことを引き出しにためて掛け合わせるものだ、という創作論でした。だからこそ、自分の感性を大切に生きることが、アイデアを生む土台になると語られています。
- アイデアの正体は、蓄積された知識・経験・感情の引き出しの掛け合わせである
- たくさん遊ぶことはアウトプットの技術を高めるが、アイデアそのものは溜まりにくい
- アイデアの源は自分と向き合うこと。何に面白みを感じるかを見つめ直すのが起点になる
- 散歩や旅行も、そこで感じたことを言語化・消化しないと意味がない
- 自分の感性がしっかりしていれば、既存のシステムを組み合わせても自分の作品になる







