年に2回の家族会
私が営業部長をしている『ベアレンビール』では、毎年2回、家族会という行事をやっています。
春の家族会と秋の家族会があって、今日はその秋の家族会の日でした。
春はホテルを借りて開きます。秋はちょっと遠足みたいな感じで、子どもも連れてレクリエーションに出かけるんです。
なぜこんなことを始めたのか。その理由は、2008年1月22日に工場内で起きた死亡事故にあります。
創業メンバーと、あの日のこと
当時、私の先輩にあたる佐々木さんという方がいました。
ベアレンは創業の頃、5人でスタートしました。3人が経営者で、社員として立ち上げから入ったのが、私と佐々木さんだったんです。
私と彼はともに『銀河高原ビール』から転職してきました。クラフトビールブームを牽引したと言っても過言ではないブランドで、いわゆるヘッドハンティングのような形でした。
ベアレンは2003年の創業から、非常に苦しい時代が続きました。2007年には、ドイツ人マイスターのイヴォ・オーデンタールが、家族の問題などもあって日本を離れることになります。
そこから醸造のすべてを担い、ベアレンのビールの味そのものを作り上げていったのが佐々木さんでした。
彼も忙しかったし、私も、当時の社長も、今の社長である私の上司も、とにかく馬車馬のように働いていました。今では褒められた話じゃないんですが、とにかく必死だったんです。
それが2006年、2007年ぐらいから実を結び、売上も企業規模もどんどん大きくなっていきました。
ただその中で、お互いの仕事なんて全くわかっていなかった。家族のことも、子どもがいるくらいは知っていても、実際はわからなかったんです。
事故が起き、救急車を呼んで彼が運ばれていく中で、私たちは家族に連絡が取れませんでした。
お互いの緊急連絡先を、全く把握していなかったんです。家に電話しても通じない。誰に連絡すればいいのかもわからないし、家族の携帯番号も知らない。
このままでは危ない、という時になってようやく連絡がつきました。
家族に与えた不安や負担、その後の会社としての対応。それを受けて、いろいろなことを見直すことになったんです。
連絡先だけでなく、その先にある家族まで
見直しの一つとして、仲間の家族やその連絡先は、当然わかるようにしました。
それに加えて、仲間のその先にある家族や、背景にある人間関係まで分かり合えるようにしたかった。悩みや問題があるなら、そういう背景も含めてです。
その思いもあって、年に2回の家族会をやるようにしたんです。
20年ぶりにイヴォと再会して、「こんな会社になったんだよ」と伝えました。
私たちが大切にできなかった家族とのつながりや時間を、仲間には持ってもらいたい。それを共有できる会社にしたい。そんな思いで、今日を迎えていました。
時代に逆行しても、続けたい理由
客観的に見ると、業務外のレクリエーションに、積立を使い、会社が補助まで出してやっている訳です。
社内運動会がなくなったり、コロナを経て会社のイベントが縮小したりしている今のご時世です。そこまでする必要があるのか、と疑問を持つ人もいると思います。
それでも私は、続けた方がいいんじゃないかと思っています。2008年の事故で感じた思いが、常に心の中に残っているからです。
シフトを作るにしても、マネジメントするにしても、大事なのはこの人が何を大切にしているのか、働くことで何を得たいのかなんです。
概ね、家族を大切にしたいという気持ちはいつの時代もあると思うんですよね。
仲間の大切なものを知っているからこそ、背中を押せる力も湧くんじゃないかと思うんです。
もちろん、全員が全員参加できるわけではありません。人生にはそれぞれのフェーズがあると思うからです。
仕事を一生懸命できるフェーズもあれば、家族を優先したいフェーズもある。そしてその次に、また仕事に戻ってくるフェーズがあるんじゃないかとも思います。
だから、どのライフイベントにおいても仲間が応援し合える関係性を持つこと。それが会社の継続的な組織運営には必要なんじゃないかと、私は思っています。
時代に逆行することなのかもしれないし、中小企業には負担が大きいのかもしれません。それでもなお、あった方がいいんじゃないかと思っています。皆さんはいかがお考えでしょうか。
この記事が皆さんの何かの参考になったらいいなと思っています。それではまた、明日お会いしましょう。さようなら。バイバーイ。
まとめ
ベアレンビールの家族会は、2008年の事故で仲間の家族に連絡が取れなかった経験から始まりました。私は、仲間の大切なものを知ることが、組織を続けていくうえで必要だと考えています。
- 事故の際、お互いの緊急連絡先や家族のことを全く把握していなかった
- 連絡先だけでなく、仲間の背景にある家族や悩みまで分かり合える関係を目指して、年に2回の家族会を始めた
- 仲間の大切なものを知っているからこそ背中を押せる。ライフステージが変わっても応援し合える関係が組織の継続に必要だと考えている







