3月の宣言から本の完成へ。更新が空いた理由は?
波子さんとやまめさんのポッドキャストで、番組をまとめた本が完成しました。2人は3月の終わりに、本を作って文具マーケットに出すと番組内で宣言していました。
そうなんです皆さん、本ができました。
波子さんは、本づくりではやまめさんがとても頑張ったと話します。やまめさんは万年筆インクの本を2冊書いた経験がありますが、今回の本はそれとはまったく違う作業だったといいます。
私もなんかこう、半ば初めてのことがいろいろ多くて。なので最新更新が5月の半ばで止まって、まあまた1ヶ月空いちゃったわけなんですけれども。
やまめさんは、何の報告もしないまま更新を止めてしまったことを謝ります。さらに、その間に「何も終わらない、無理」とこぼしていて、周囲に察してもらうような状態になっていたことも申し訳なく思っているそうです。
写真満載の本に収めた6本のハイライト記事
本には、これまでの配信エピソードの一覧表がついています。一覧の最後は5月21日に配信した前回の「奈良の鹿」の回です。奈良の鹿の話はまだしたことがなかったため、本にぜひ入れたいと考えて収録した回でした。
本には一覧のほかに、文字起こし記事や、あらすじ形式の紹介記事も載っています。波子さんは、写真も満載だと紹介します。
やまめさんによると、写真の効果は大きいそうです。話を文字起こしして読み物に変えても、その場の空気感までは説明しきれません。クライミングコンペの回のような話は、写真があると「こんな感じか」とすぐに伝わるといいます。
文字起こし形式でまとめたハイライト記事は6回分です。波子さんがパイロットのカスタム74「ウェーバリー」を買った大興奮の回は、そのテンションをほぼ保ったまま、写真付きで収録されています。
初ゲストを迎えたインクルーシブデザインのぶっちゃけトークは、ポッドキャストでは前編と後編を合わせて約2時間ありました。やまめさんがこの回を文字起こししています。
もう一回聞き直したいけど2時間はな、みたいな感じの人もこれ(ぶっちゃけトークの記事)読んでいただけたらいいと思う。
ハイライト記事の前後には、雑談回の中から面白い発言を拾い、あらすじとコメントを添えたページも挟まれています。
新しいコンテンツはないのに、本にする意味とは?
やまめさんは、この本に新しいコンテンツは正直あまりないと認めています。そのうえで、文字にまとめて凝縮したこと自体に価値があると考えています。
文字で凝縮しているので、読む方が早いし、まあ言ってしまえばちょっと飛ばし読みもできるというか。
やまめさんによると、凝縮とは脱線や、まごついて長くなった部分を削る作業です。普段の音声編集でもカットはしていますが、読む文章にすると情報密度はさらに上がるといいます。
やまめさんは、自己紹介でポッドキャストの話をしても、相手が30分の配信をまるごと聴いてくれる確率はかなり低いと話します。本なら、2人の活動がまんべんなく伝わり、写真が雰囲気を補ってくれます。やまめさんは、作ってみて本の良さを改めて感じたそうです。
AIの一次文字起こしは、どこまで助けてくれたのか?
波子さんにとって、これほどの量の文字起こしはほぼ初めての経験でした。それまでは社内会議の議事録を作った程度だったといいます。
いわゆるその雑誌とかに載ってるその対談の記事が、いかにうまいこと、その取捨選択した上で、場合によっては会話の順序を入れ替えて整えて、流れがちゃんとわかるようにしてあるのか(が身に染みてわかった)。
やってみたら道のりのその果てしなさが見えるみたいなとこありますよね。
最初の一次文字起こしは、AIに任せています。「えー」「あー」まで含んだ、音声そのままの文字起こしです。波子さんは、2人が少し前の話題に戻った箇所をAIがつなげてくれていたことに気づき、「やるなAI」と感心したそうです。
使ったのは、ボイスレコーダーを作る会社の文字起こし機能「PlaudNote」です。やまめさんは、一次文字起こしの段階で独自のプロンプトを挟めると説明します。「対談記事の下地になるようにしてね」と指示していたため、話の入れ替えにもつながったのだろうと話しています。
それでも作業が楽になったわけではありません。耳で聞いて書き起こす最初の難関はAIに任せられましたが、そこから文字数を大きく減らし、読み物として整える工程はとても大変だったと波子さんは振り返ります。
AIで一次文字起こし
言い淀みも含めた、音声そのままの文字起こし。対談記事の下地にするよう指示
人が削る
脱線や重複を削り、文字数を大きく減らす
読み物に整える
流れが追えるよう、記事として仕上げる
やまめさんは仕事でこうした作業をした経験があり、初めてだと難しいことも知っていました。そのため事前に「やってみたらむずいですよ」と伝えていたそうです。
ぶっちゃけトークの密度と、開き直りの臨場感
波子さんは、やまめさんが仕上げた「インクルーシブデザインぶっちゃけトーク」と比べて、自分が書いた記事にはつたなさが出てしまったと謝ります。
やまめさんは、ぶっちゃけトークの凝縮度が高すぎるのだと説明します。もともと密度の高い話をしていたうえに、音声編集の段階で詰め、さらに文字で圧縮しているからです。
「そりゃこうわな」みたいな。これ(ぶっちゃけトーク)はね、画像を入れる間もありません。
この記事には、冒頭にゲストの藤木藤木さんの写真が1枚あるだけで、あとは文字だけです。それでも波子さんは、感情をスンとさせて一歩引いて読んでも、きちんとした記事になっていると感じたそうです。
もう開き直って、途中から臨場感、臨場感をちょっと出そうっていうふうに、ちょっと途中から開き直りました。
やまめさんは、記事の違いを音楽のライブとCDにたとえます。その場のグルーヴ感が大事な回もあれば、話の深みを伝えたい回もあります。何を押し出すかで正解は変わるので、波子さんの書き方に問題はないと話しました。
波子さんが感動を伝える回。テンションと臨場感を大事にする
ぶっちゃけトーク。6ページ画像なしで、話の深みを真面目に伝える
ウェーバリーの回はもう一度万年筆を使えた嬉しさ、写真の多い回は見てほしいもの、というように、各回に言いたいことがあります。2人は、その要点を拾い上げて掲載したといいます。
波子さんは、6本のハイライトに番組の要素がうまく表れていると感じています。文具の話、駅のバリアフリー、インクルーシブデザインがごちゃ混ぜになっているのが、この番組らしさだという見方です。
「はじめに」に書かれた「現在地に立てた旗」とは?
波子さんは、やまめさんが本の「はじめに」に書いた一文がとても気に入り、告知にも引用しました。
その一文は「本書はポッドキャスト『波子とやまめの水辺でおしゃべり』の記録であり、自己紹介であり、現在地に立てた旗です。」というものです。
やまめさんによると、この表現には元ネタがあります。以前観に行った音楽ライブで、武道館公演の登場シーンに大きな旗を立てる演出がありました。「はじめに」を書いているときにその場面が浮かび、「これか」と思って書いたそうです。
演出感がある、ちょっと決め台詞的なね、とこだったので、ちょっとそこはかっこつけて書いてみました。
この本を一番届けたいのは、どんな人か?
やまめさんが一番読んでほしいのは、ポッドキャストを聴こうと思いながら、時間を取るのをためらっている人です。
どれぐらい長さあるんかなとかって思ってOKB(総選挙の回)とか見てしまった日には、50分あるやんけみたいな。
50分のOKB48総選挙の回も、本では6ページほどにまとまっています。ボールペンのビジュアルも見ながら読めます。やまめさんの理想は、この本が番組の入口になってくれることだといいます。
背景には、インクルーシブデザインという言葉が、まだまったく一般的ではないという事情があります。本を初めて頒布したのは、2026年6月27日の第11回文具マーケットでした。会場の来場者に「インクルーシブデザインの本」と言っても、その一言では伝わらなかったそうです。
やまめさんは、その現実を目の当たりにできたのは、むしろ良かったと受け止めています。文具好きの人たちにどう伝えるかを考えることは、インクルーシブデザイン界隈が界隈だけで固まらないためのヒントにもなると考えています。
文具マーケットの頒布で見えた反省点は?
波子さんは、本づくりで手一杯だったため、頒布の作戦会議をほとんどしていなかったと振り返ります。たとえば「あのコクヨの秒パバインダーの回も収録」といったPOPを作っていれば、キャッチーだったかもしれないと考えたそうです。
(秒パバインダー)置いときゃよかったのか。
やまめさんは、2人が自分たちのブースを出したわけではないと説明します。文具王が運営する「文具王工作室」のブースに本を置かせてもらい、やまめさんは売り子やレジ担当をしていました。
文具王工作室のブースでは、80ページを超える本2冊と、2人の54ページの本を合わせて3冊の新刊が並んでいました。ところが、「新刊あります」の看板すらなかったといいます。
お知らせ的な、その情報提示は何もなかった。「あ、キャッシュレスできます」ぐらいしかなかった。
一方で波子さんは、既刊本を表紙が見えるように並べる什器が充実していたため、タイトルや表紙だけでも十分に目立っていたと話します。
どう知ってもらうか、そして今後の頒布先
話は、本をどう売るか、というより、どう知ってもらうかに移ります。やまめさんは、盛り上がっているZINEや同人誌のイベントへの出展も思いつくものの、やはり文具好きの人たちに知ってほしいと話します。
やまめさんは、コクヨのような大手のほか、すでに同じテーマに取り組む小規模メーカーもあると話します。そうした企業を知ってもらい、「そういう側面から文具を楽しむのもありよ」と提案できる場をどう作るかが課題だといいます。当面は、少しずつ情報を出して告知していく方針です。
今後の頒布は、文具王工作室のBASEで行います。アプリの名前は「PayID」に変わっていますが、「文具王工作室」で検索すれば見つかります。ショップ内の「ポップアップやまめ」の枠に、「インク沼の観察」2冊と並んで新刊として置かれています。
聞く時間が取れなくても、本はね、途中でやめてもまあ続きから読めますからね。
ショップのページには、表紙や中身のサンプル写真も掲載されています。2人は口コミでの紹介も呼びかけていました。
やまめさんは、文具マーケットの存在が大きかったと話します。今回はその話題をあえて控えめにしており、思い出やお礼の気持ちも含めて、次回に文具マーケットを振り返る予定です。
まとめ
番組をまとめたポッドキャストブックは、新しいコンテンツよりも、凝縮と写真によって番組の魅力を短時間で伝えることを目指した一冊です。制作の苦労や頒布での反省を踏まえ、2人はこの本を番組とインクルーシブデザインの入口にしたいと考えています。
- ハイライト記事6本と雑談回の抜粋を、写真満載で収録している
- 一次文字起こしはAIに任せたが、削って読み物に整える工程が大変だった
- 記事ごとに臨場感と話の深みのどちらを押し出すかを使い分けている
- 文具マーケットでは「インクルーシブデザイン」という言葉だけでは伝わらない現実が見えた
- 今後の頒布は文具王工作室のBASEで行い、A5・54ページ・1000円





