KiteRaとは何か。質問に答えるだけで就業規則が9割できる
この回で取り上げるのは、KiteRaというクラウドサービスです。吉田さんは、主に社労士向けの就業規則の作成ツールだと説明します。
就業規則を作る作業は、会社の名前を入れたり、会社独自のルールを組み立てたりと、社労士がかなり苦労する部分だと吉田さんは話します。KiteRaは、その作成をサポートするサービスです。
吉田さんはこのサービスを開業直後から使い始め、3年以上使い続けているといいます。最初に出会ったとき、革新的だと感じたそうです。
最初にこのサービスに出会った時、革新的だなと思いました。
KiteRaの特徴を吉田さんは端的に説明します。質問に答えていくだけで、就業規則が9割ほど完成するというものです。
質問に答えていくだけで就業規則が95パーセントぐらいできちゃうんですよ。
最後は少しばらして細かく調整する部分は残るものの、ほとんどは質問に答えるだけで就業規則ができあがると吉田さんは述べています。
KiteRaがなかった頃、就業規則作成はどれほど大変だったか
KiteRaの価値を理解するために、吉田さんは「KiteRaビフォア」と「KiteRaアフター」を対比して説明します。まずは、KiteRaがなかった頃の作り方です。
当時の社労士は、就業規則のひな形 ── 就業規則のたたき台になる標準的な文書の型。これをもとに各社の事情に合わせて修正していくを、セミナーや本の付録などから手に入れていたといいます。それをもとに、事務所独自のベースとなる就業規則を作っていました。
たとえば社会保険労務士法人ONE HEARTなら、「ONE HEART型就業規則」のようなものを作ります。ただし、それをそのままどの会社にも使えるわけではないと吉田さんは言います。
建設業の会社なら建設業向けに、小売の会社なら小売向けにと、業種ごとのカスタマイズが必ず必要になります。そのカスタマイズ作業はWordで行っていたそうです。
この作業がとても大変だったと吉田さんは振り返ります。就業規則を正しく作るには、お客さんから情報を引き出す質問が欠かせません。しかし、そもそも何を質問すればいいのかがわからないところから始まると話します。
まず質問を、何を質問していいのかがまずわかんないんです。
集めた情報から成果物を作る途中で、聞き忘れに気づくこともあると吉田さんは言います。そうなればもう一度聞き直しになり、完成後に修正を頼まれれば、それも直す必要があります。この手間が大きな負担でした。
KiteRaの本当の魅力は「教育」にある
吉田さんは、KiteRaの本当の魅力は教育にあると考えています。社会保険労務士試験に合格しても、すぐに就業規則を作れるわけではないからです。
試験に合格しても、実務経験がなければ就業規則は作れないと吉田さんは言います。社労士事務所での勤務歴があっても、手続きしか担当してこなかった人には、なかなか作れないものだと話します。
では、就業規則を作れる人はどうやって学んできたのか。吉田さん自身のケースを含め、多くは師匠のような人に同行営業し、横で就業規則のコンサルティングを聞いて覚えたといいます。
師匠みたいな人がいて、その人に同行営業して、横で就業規則のコンサルティングを聞いて、こういう質問をしていくんだなっていうのを勉強して、それを真似て就業規則が作れるようになったんですよ。
この学び方は、教育の観点では非常に時間がかかると吉田さんは指摘します。質問の仕方や話の進め方は一度で覚えられるものではなく、何度も同行しなければわからないからです。
そのため、就業規則の作り方は職人技のようなものになっていたと吉田さんは言います。師匠から弟子へ引き継がれるもので、勉強しようにもしづらい領域だったと振り返ります。
KiteRaがすごいのは、この熟練者の質問の過程をすべて言語化した点だと吉田さんは強調します。そこまで技量のない人でも、質問通りにお客さんへ尋ね、的確に回答を引き出せれば、ある程度の就業規則ができあがるといいます。
これをうまく使えば、就業規則を作れる社労士になるまでの時間が大きく短縮されると吉田さんは話します。実際に、あまり教育をしなくても、依頼すればちゃんとした成果物が出来上がる状態になっているそうです。
師匠に何度も同行営業し、質問の仕方を横で聞いて覚える職人技。習得に時間がかかる
言語化された質問に沿って答えを引き出せば、専門性のある人なら成果物を作れる
法改正のたびの更新も、ボタン一発で終わる作業も
ここからは、吉田さんが「KiteRaがないと困る」と感じる具体的な場面です。3、4年以上前のビフォアKiteRaの時代を思い出すと、苦労が多かったといいます。
1つ目は、ひな形のアップデートです。事務所独自の就業規則のひな形は、作ったら終わりではないと吉田さんは言います。法改正が定期的に来るため、そのたびに自社のひな形を更新する必要があるからです。
この更新は意外と漏れやすいと吉田さんは話します。毎日労務相談や給与計算に追われていると、気づいたらひな形の更新をしていなかった、ということが起こるのです。
しっかりした事務所ならプロジェクトを組んで対応するものの、忙しい事務所では手が回らず、ひな形が古いままになることがあると吉田さんは言います。KiteRaなら自動でアップデートされるため、この心配がなくなったそうです。
2つ目は、新旧対照表 ── 改正前と改正後の就業規則を並べ、どこがどう変わったかを条文ごとに対比した資料です。お客さんから作成を頼まれることがあり、これも大変な作業だと吉田さんは話します。
新旧対照表は、変更箇所を1つずつ拾っていく骨の折れる作業です。最初に料金を明示していれば別料金だと言えるものの、商談段階で話していないと、作成しても料金をもらえないこともあり、大変な思いをしたと吉田さんは振り返ります。
KiteRaなら、この新旧対照表がボタン一発で出せると吉田さんは言います。これも革新的で、非常にいいサービスだと評価しています。
熟練者でも起きる「抜け漏れ」をどう防ぐか
最後に吉田さんが挙げるのは、抜け漏れの防止です。就業規則を作り慣れた人でも、何ページにもわたる文書には抜け漏れが起きると話します。
冒頭で触れた質問の話にもつながります。お客さんからヒアリングして情報を集める過程で、熟練者が質問しても「あれを聞き忘れていた」ということは起こると吉田さんは言います。
KiteRaなら、質問を上から順番に埋めていけば就業規則ができあがります。そのため、品質管理という点での抜け漏れがなくなることが、信頼しているところだと吉田さんは述べています。
KiteRaが解決する実務上の困りごとを、吉田さんは大きく3つの観点から語りました。
- 法改正に合わせたひな形のアップデートが自動で行われる
- 新旧対照表がボタン一発で作成できる
- 質問を順番に埋めることで抜け漏れを防げる
社労士の実務の中でツールについて語る機会はなかなかないと吉田さんは言います。今回は、多くの社労士がすでに使っているという就業規則作成ツールKiteRaを取り上げました。
まとめ
KiteRaは、質問に答えるだけで就業規則の大部分が完成するクラウドサービスです。吉田さんは、その最大の魅力を「就業規則作成の職人技を言語化した点」に見ています。導入前の手作業の苦労と対比しながら、教育・更新・品質管理の面での価値が語られました。
- KiteRaは主に社労士向けの就業規則作成ツールで、質問に答えるだけで9割ほど完成する
- 導入前は、ひな形の入手・業種別カスタマイズ・聞き忘れの手戻りなど、Word作業に大きな負担があった
- 最大の魅力は、師匠から弟子へ引き継がれてきた職人技の質問過程を言語化し、習得時間を短縮した点
- 法改正に合わせたひな形の自動更新と、新旧対照表のボタン一発作成が実務を楽にする
- 質問を順番に埋める仕組みにより、熟練者でも起きる抜け漏れを防げる






