なぜこの回は「社労士事務所への転職」に絞って話すのか
この回は「社労士事務所に転職したいあなたへ」というテーマで、応募する側が気を付けるべきポイントを扱っています。前回の「500人の選考をして気づいたこと」の続編にあたりますが、この回だけでも単独で聞ける内容だと説明されています。
吉田さんは、社労士事務所への転職について、やらない方がいいことと、やった方がいいことを3つずつ伝えたいと話しています。
注意点の中には、通常の転職活動なら「普通はやるのでは」と思われるものも含まれるといいます。一般的な転職の常識とは少しずれる話が出てくる点が、この回の特徴です。
一般化した「ライト面談」が士業事務所では不利になる理由
やらない方がいいことの1つ目は、ライト面談です。賛否両論があることは吉田さん自身も認めた上で、理由を説明しています。
ライト面談とは、20代30代の転職で一般化している方法だと紹介されています。ライト面談 ── 選考というより、応募者と企業がお互いの人柄や社風をカジュアルに知り合うための面談。志望動機や職歴を問う従来の面接試験と区別される。
吉田さんは、通常の面接試験だとお互いが役割を演じてしまうと指摘します。面接官は面接官らしく振る舞い、応募者は応募者向けのキャラクターを作ってしまうという説明です。
お互いライトに人柄知りたいよね、会社の内容を知りたい、事業概要とか雰囲気、社風知りたいよねみたいな感じで、(ライト面談をやることが多い)
ただし、社労士事務所でライト面談を求めるのは印象が良くないかもしれない、と吉田さんは話します。理由として挙げるのが、採用する人の事情です。
社労士事務所で採用をするのは、大体が所長自身だといいます。どの事業でも同じですが、所長も忙しく、ライト面談を受けている時間がないという事情があります。
ちょっと当たり前のようにライト面談を要求されちゃうと、ちょっとこの人難しいなって思っちゃうかもしれない。
そのため、どうしてもライト面談をしたい場合は、丁重にお願いした方がいいと吉田さんはまとめています。一般的な常識とはかけ離れるものの、士業事務所への応募時にはライト面談を要求しない方がいいという考えです。
面接で「キャラを盛る」とお互いが不幸になるという話
やらない方がいいことの2つ目は、嘘をつかないことです。大げさに言えば嘘ですが、要は「キャラを盛らない方がいい」という趣旨だと説明されています。
自分ができないことをできると言ったり、本来の自分と違う人を演じたりするのはやめた方がいい、と吉田さんは話します。
応募する側は、所長先生に気に入られれば内定が来るかもしれないと考えがちだといいます。しかし選考する立場から見ると、所長本人とうまくやれるかだけでなく、別の視点を重視しているそうです。
吉田さんが挙げるのは、ある程度の規模になると、所長以外のスタッフとうまくやれるかを見ているという点です。だからこそ、面接で話を盛られると判断がしづらくなります。
そのため、自分の人となりを開示した上で、合うか合わないかを所長先生に判断してもらうくらいがいい、と吉田さんはまとめています。
オンライン面接中のカンニングは、なぜ見抜かれるのか
やらない方がいいことの3つ目は、オンライン面接中のカンニングです。Zoomなどのオンライン面接が増えている今だからこその注意点として挙げられています。
オンライン面接ではパソコンを使うことが多く、画面の向こうの面接官からいろいろな質問が出ます。その中には、ネットで検索すればわかる質問もあるといいます。
吉田さんの事務所では、2024年の労働法の法改正を教えてくださいという質問が実際に含まれているそうです。2024年の労働法改正 ── 2024年4月から、労働条件通知書に明示すべき事項が追加された改正などが施行された。吉田さんは面接でこの改正の内容を尋ねると説明している。
この質問に対して一番良いのは、労働条件通知書の記載内容に追加があった、と具体的にはっきり答えられることだといいます。一方で、その場でネット検索して出てきた情報をもとに答えるのが一番良くない対応だと指摘します。
検索そのものを禁止しているわけではないものの、その場で検索すると心証が悪いと吉田さんは話します。
そして、検索していることは画面越しでもわかると言います。目の動きや手の動きで気づくそうです。
そこはもしわからないものに関しては正直にわからないで、申し訳ないって言った方が、そちらの方が好印象なんで、オンライン面接中のカンニングはやめましょう。
転職を有利にする第一歩は「レスの早さ」
ここからは、やった方がいいこと3つに話が移ります。1つ目はレスを早くすることです。
いろいろな連絡が来る中で、ほとんど合格する人は、その日か次の日くらいには連絡をくれる人だといいます。たとえば「履歴書を送ってください」という連絡への反応の速さです。
そのために吉田さんは、履歴書や職務経歴書は出来上がってから応募ボタンを押した方がいいと話します。書類が用意できていれば、送付を求められたときにすぐ送れるからです。
適性検査や予定調整なども含めて、とにかく早くレスポンスした方がいいというのが1つ目のポイントです。
無資格・未経験だと不利になる理由と、資格をめぐる戦略
やった方がいいことの2つ目に入る前提として、吉田さんは社労士事務所が意外と狭き門だと改めて感じたと話します。
社労士事務所に転職したいなら、一番早いのは先に資格を取ってしまうことだと率直に語られています。
吉田さんの事務所の採用選考は無資格・未経験でも応募可能で、本人もそうした人を採用したいと考えているそうです。しかし、そうした求人でも社労士の有資格者からの応募がたくさんあるといいます。
採用は相対的に決まるため、ほぼ同じ実力なら社労士の資格を持っている人の方が有利になります。逆に、社労士事務所未経験で資格もない状態だと、未経験可の求人でも次のステップに進むのは難しいと説明されています。
資格取得前でもどうしても転職したい場合のテクニックとして、履歴書に受験計画を書くことが挙げられています。何年に受ける予定か、毎日何時間勉強しているかなどを職務経歴書に書くという方法です。
さらに吉田さんは、社労士を取るか取らないかの二択ではなく、中間的な資格もあると話します。給与計算実務検定や年金アドバイザーなど、社労士取得に一歩近づく資格です。
- 社労士の有資格者は無資格・未経験可の求人にも多く応募してくる
- 資格取得前なら受験計画や勉強時間を書類に書くと有利になりうる
- 給与計算実務検定や年金アドバイザーなど中間的な資格を先に取る手もある
たくさんの事務所に応募するのも一つの方法ですが、資格を取るところを先にやった方が後々楽かもしれないというのが吉田さんの考えです。
志望動機を「その事務所の強み」と結びつける事務所研究
やった方がいいことの3つ目は、事務所研究です。転職や就職では当たり前のことですが、意外と事務所研究をしてこない人が多いといいます。
なぜその事務所に入りたいのか、その事務所が何に強いのかを研究せずに来る人が多いと吉田さんは話します。
具体的には、どこに送っても通用するような汎用的な履歴書・職務経歴書を作る人が多いそうです。ここで一歩リードするには、事務所の特徴と志望動機を結びつける必要があります。
吉田さんは例として、マネーフォワードに強い自社で学びたい、IT・DXのノウハウを積みたい、といった動機を挙げています。マネーフォワード ── クラウド型の会計・給与計算・人事労務ソフトを提供する企業。吉田さんは自社がこのサービスに強いと述べている。
ウェブページに載っている情報とうまく絡めて、何をしたいのかを伝えることが、次のステップに進むためのポイントだとまとめられています。
まとめ
この回は、採用する側の社労士が、社労士事務所への転職で避けたい行動と有利になる準備を3つずつ整理した内容でした。社労士事務所は狭き門であり、戦略的に動くことが転職成功の鍵になると語られています。
- 避けたい3つは、ライト面談の要求・面接でキャラを盛ること・オンライン面接中のカンニング
- 士業事務所の採用は所長が忙しく、他のスタッフと合うかも見ているため、等身大で臨む方がよい
- やった方がいい1つ目はレスを早くすること。書類は用意してから応募ボタンを押す
- 無資格・未経験は不利になりやすく、社労士や給与計算実務検定などの資格を先に取ると有利になりうる
- 志望動機は、その事務所の強みと結びつけて事務所研究の成果を示すと次のステップに進みやすい




