なぜ500人の選考体験を語るのか
吉田さんはこの回を、社労士法人の代表として累計約500人の採用選考をした経験から気づいたことをテーマにしています。
話す相手として想定しているのは、社労士事務所への就職や転職を検討している人たちです。選考する側からどう見えているのか、どんな現実があるのかを伝えることで、聞き手の活動に役立ててほしいという狙いです。
応募数は1回の選考ではなく、何度か実施してきた採用選考をトータルで計算した数字です。多くの人の履歴書や職務経歴書を見てきたなかで感じたことを共有する回になっています。
当社の採用選考に応募していただいた方が聞いていれば、あの応募していただきありがとうございましたというのはすごく強く伝えたいです。
話したいことが多すぎてまとめきれなかったため、前編・後編に分ける構成であることも冒頭で断られています。
内定が出なくても悲観しなくていい理由
吉田さんはまず、社労士事務所が意外と狭き門である点を伝えています。履歴書や職務経歴書を送ってもなかなか内定につながらないことに対して、悲観しなくていいと話します。
理由は募集枠の少なさにあります。社労士事務所の募集枠は大体1人か2人で、2人同時に募集するケースは珍しく、多くは1人だと吉田さんは説明します。
選考は相対的に決まるため、応募者より優秀な人が1人でもいれば、その時点で採用の確率は大きく下がってしまいます。
もう超優秀な人でも、その応募した人の中の二番手だったとしたら、一番の人が内定辞退しない限り回ってこないわけですよね。
つまり不採用になったとしても、応募者本人の能力が低いとは限らないということです。だからこそ悲観しなくていい、というのがこのセクションで最も伝えたい点だと吉田さんは語っています。
適当な応募が多いからこそ書類で差がつく
募集を受け付けてみて吉田さんが感じたのは、適当に応募してくる人が多いという実感です。
ひどいケースでは、社労士法人なのに社会福祉法人だと思って応募してくる人や、会社名を何も見ずに送ってくる人がいたと話します。これには自社が採用媒体にIndeedIndeed ── 求人情報に特化した検索エンジン型の採用サービス。幅広い求人が集まる一方、応募のハードルが低い傾向もある。を使っていることも影響しているかもしれない、と吉田さんは補足しています。
リクルートやビズリーチなど、正社員に特化した転職ツールを使えば状況は変わるかもしれない、という見方も示されています。
裏を返せば、第1関門である書類選考は、書類の出来をしっかり作り込めば突破できる可能性が出てくるということです。適当な応募が多いからこそ、書類に力を注げば一歩抜け出せるという点が、この回の実践的な核になっています。
履歴書は応募ボタンを押す前に作っておく
吉田さんが絶対だと強調するのは、履歴書と職務経歴書を応募のボタンを押す前にある程度作っておくことです。やっている内容が同じでも、進めるかどうかが大きく変わると話します。
ダメなパターンとして挙げるのは、応募ボタンを押してから書類を作り始めるケースです。しっかり作ると1週間ほどかかり、働きながらならさらに時間がかかることもあります。
その結果、応募から1週間後に書類を送ることになり、受け付ける側からは「応募から1週間後に送ってくる、すごく遅い人」に見えてしまうと吉田さんは指摘します。
一方、良いパターンは書類を作り終えてから応募ボタンを押すことです。書類提出を求められてすぐ送れれば、印象は大きく変わります。
提出まで1週間ほどかかり「レスポンスの遅い人」に見えてしまう
提出を求められてすぐ送れて「レスポンスの早い人」に見える
じゃあ履歴書と職務経歴書を送ってくださいって言われてすぐ送れば、あ、この人応募から1日で履歴書送ってくれたレスポンスの早い人だって見えるんですよ。
ネガティブポイントこそ説明したほうがいい
書類の作り方については、人事畑の人が書いた履歴書の書き方の本を一通り読むことを吉田さんは勧めています。
そのうえで、審査する側になって感じたのは、意外と聞きたいことが書かれていない履歴書や職務経歴書が多いという点です。特に気になるのがネガティブポイントの説明だと話します。
吉田さん自身も職歴の空白期間があり、社労士の資格を取って社会復帰した経験があるため、人生がうまくいかない時期があることは理解していると語ります。だからこそ、そういう人ほどネガティブポイントの説明を意識してほしいと伝えています。
代表的なのが職歴の空白期間です。何をしていたのかを説明したほうがよく、説明することがなければ、今は心を入れ替えてこう考えているといった形に言い換えて説明したほうがいいと吉田さんは話します。
もう一つ挙げられたのが病気です。空白期間の中に病気があった場合、説明するのは気が進まないかもしれないが、きちんと説明したほうがいいと語っています。
理由は、審査する側は説明がないと最悪の状況を想定せざるを得ないからです。空白期間なら家で寝ていただけではないか、病気なら再発性が高く入社直後に再発するのではないか、といった不安につながります。
採用選考で審査をしてる側っていうのは、最悪の状況を想定しなきゃいけないんですよ。
社労士事務所は絶対数が少ないところが多く、求職者(欠員)が出ると大変なため、こうした不安があると採用を見送りやすくなると吉田さんは説明します。だからこそ、恥ずかしくても気乗りしなくても、ネガティブポイントは書類できちんと説明したほうがいい、という結論です。
志望理由の一言で受け手の印象は変わる
書類審査は他の応募者との相対で決まるため、一歩抜けていれば次のステップに進みやすくなる、と吉田さんは改めて指摘します。
どこの会社に出しても同じ内容の履歴書や職務経歴書は、受け取っても特別な印象を残しません。
一方、次の審査に進んでほしいと思える書類には、社労士法人ONE HEARTを志望した理由がさらっと書かれていると吉田さんは話します。
それがたった4行5行であっても、その一言があるかどうかで受け手の印象は変わります。履歴書の履歴部分は会社ごとに変わらないからこそ、なぜその社労士法人なのかという志望理由の一言が差になるというわけです。
書類の最終チェックで防げるミス
最後に吉田さんが挙げたのは、単純なミスの多さです。送られてきた書類の中には、レイアウトの崩れ、コピペした部分の間違い、誤字脱字などが意外とあったと話します。
対策として、キャリアコンサルタントに確認してもらう、誤字脱字はAIでチェックする、家族に読んでもらうといった方法を挙げています。こうしたひと手間で防げるミスをなくして、次の選考ステップに進んでほしいと語っています。
- キャリアコンサルタントに確認してもらう
- 誤字脱字はAIでチェックする
- 家族の人に読んでもらう
この回で話せたのは履歴書と職務経歴書、つまり書類審査についてです。後編では、実際に何をしたらいいのか、どういうことに気をつけたらいいのかを具体的に話す予定だと吉田さんは締めくくっています。
まとめ
500人分の応募を選考してきた吉田さんが伝えたのは、社労士事務所の選考は相対的に決まるため不採用でも悲観しなくていいこと、そして適当な応募が多いからこそ書類の作り込みで一歩抜け出せるということです。
- 社労士事務所の募集枠は1人か2人が多く、選考は相対的に決まるため、不採用でも悲観しなくてよい
- 履歴書と職務経歴書は応募ボタンを押す前に作り、提出を求められたらすぐ送れる状態にしておく
- 空白期間や病気などネガティブポイントは、審査側が最悪の状況を想定しないよう説明しておく
- 志望理由の一言を書き添えることで、他の応募者との相対比較で一歩抜け出せる
- レイアウト崩れや誤字脱字は、AIや第三者のチェックで防いでから提出する



