星5しか受け付けない器の小ささと、今回のテーマ発表
冒頭は恒例のコメント紹介から。Spotifyのヤマムラさんからのコメントがきっかけでした。前回の「ハズレ回を狙ってみよう」に対して、「クローザーズのラジオでは積極的に星5と星1を募集しています」という内容だったそうです。
バーティさんはこれに対して、自分は器が小さいので星5しか受け付けていない、と冗談まじりに返します。
いやー、嫌ですよ。僕は器小さいんでね、星5しか受け付けれてないんで。
1、1って何なんですかね。その最低ってことですよね。
Spotifyの評価が1件増えて14件になり、平均は4.7のまま。星5だけなら数字が変わらないはずなのに、と二人であれこれ推測して盛り上がります。
そのうえでバーティさんは、今回はまだ「ハズレ回」ではないと先に宣言します。2週連続でわざとクオリティを下げるのはさすがにしない、という説明でした。
そしてエラさんから今回のテーマが発表されます。「AIやGoogleを使わずにいろんなことを考えてみよう」という切り口です。
今回はAIやGoogleを使わずにいろんなことを考えてみようという、ちょっとテーマなんですけど。
なぜ人はすぐAIに聞くようになったのか
エラさんがこのテーマを出した背景には、昨今のAIの進歩があります。AIが出るまではわからないことがあれば「ググる」のが普通だったけれど、今は多くの人がChatGPT ── OpenAIが開発した対話型のAIサービス。質問を投げると自然な文章で回答を返す。ここでは「わからないことをすぐ聞く相手」の代表例として挙げられているのようなAIに聞いているのでは、という問題意識です。
その例として、エラさんはある球団の監督にまつわる出来事に触れます。監督の娘が親子で揉めたときにAILにどうすべきか聞いたところ、警察か自送に相談すべきという趣旨の回答が返り、実際にそれを行った結果、大ごとになってしまったという話でした。
エラさんの見立てでは、AIは責任が取れないことは言わないので、最悪の事態を想定した無難な回答になりがちだといいます。だからこそ、たまには自分の頭で考えるのもいいのでは、というのがテーマの狙いです。
たまにはすぐAIに聞かずに、まあ自分たちの頭で考えるのもいいかなと。
ここで少し混乱もありました。バーティさんは「AIについて深掘りする回」だと思っていたのですが、実際は「AIを使わずに、二人で実際に考えてみる回」。打ち合わせなしでタイトルしか共有していないので、こういう齟齬も起きます。
蚊はなぜ、わざわざ痒みを入れるのか
最初のお題は、エラさんが7月ごろからずっと腹を立てているという疑問。「なぜ蚊は刺したときに痒みを入れるのか」です。
エラさんの論はこうです。もし蚊に刺されても痒くなければ、人はそこまで蚊を殺そうとしない。痒いからこそ、見つけ次第すぐ叩かれてしまう。つまり痒みを入れることは、蚊にとっても不利なのでは、という考えです。
バーティさんは「何か機能があったはず」と言いかけますが、エラさんに「それはAIを使うのと同じ」と止められます。あくまで自分たちの記憶と頭だけで考える回だからです。
バーティさんの記憶では、痒みを入れること自体が目的なのではなく、血が固まらず吸いやすくする何かの成分の結果として痒みが出ているのでは、という説でした。
(蚊は)痒みを入れてるわけじゃなくて、血液が固まらないようにとか、なんかあいつら的にも吸いやすいメリットがあったんですよ。
エラさんは、それにしても長すぎると憤ります。猿のころから人間の血を吸ってきたのに、いまだに同じことを続けている。そろそろ「蚊の界隈」で、痒み成分を変えようという会議があってもいいのでは、と冗談で盛り上げます。
そろそろ蚊の界隈で、いい加減ちょっと叩かれすぎじゃないかっていう会議があってもいいと思うんですよ。
話が進むなかで、バーティさんは自分がそもそも虫全般が大の苦手だと明かします。蚊が血を吸うかどうか以前に、虫であるという時点で憎んでいるので、この蚊問題のメンターとしては相応しくないかもしれない、と自嘲します。
もう蚊だからとか血を吸うからとかの次元では僕はないっていう。もう虫たるもの全てを僕は憎んでいるんで。
ゴキブリはかわいそう、でも蚊は追放したい
話は虫全般に広がります。エラさんは今シーズンのゴキブリ事情を尋ね、バーティさんは店に年1〜2匹、家では2〜3年出ていないと答えます。パートナーが本人に内緒で対策を施しているらしい、というエピソードも出てきました。
一方のエラさんは、虫に対して何も感じなくなったと言います。ゴキブリにスプレーをかけて向かってこられても平気で、むしろ「ゴキブリはかわいそう」だと感じるほど。あまり人に害を与えないから、というのが理由です。
それと引き換え、蚊は血を吸ったうえに痒くさせる。しかも病気を運び、人間を最も多く殺している生物でもあります。エラさんにとっては、ゴキブリの数百倍有害な存在です。
そこでエラさんは、蚊と話し合ってwin-winの関係を築けないかと提案します。血を吸わせてやる代わりに痒みをやめてもらう、といった交渉です。
ところがバーティさんの答えは、交渉というより宣戦布告でした。
血を吸わせてやるという甘い交渉には応じず、危害を加えられたくなければ地球から出て行け、応じなければ戦争を仕掛ける、という強硬派ぶり。第1問の「なぜ痒みを入れるのか」は、いつのまにか「地球から追い出す」という飛躍で決着してしまいました。
傘はなぜ、いつまでも進化しないのか
2つ目のお題は、いろいろな道具が便利になるなかで「一向に進化しないもの」。昔は川で洗っていた洗濯物が洗濯板になり洗濯機になったように進歩したものがある一方で、ずっと同じ形のままの道具です。
その答えが「傘」でした。よく言われるとおり、多くのものが進化して便利になったのに、傘だけは昔から同じ形。エラさんの疑問は、その「なぜ進化しないのか」という点にあります。
ここでバーティさんが、昔からあたためている商品アイデアを披露します。赤ちゃんの歩行器のように、人間を丸ごと覆うタイプの傘です。
傘の次の進歩はもう全てを覆い尽くすだと思ってるんですよ、人間を。
最初は歩行器や電話ボックスのように全身を包む形を考えたものの、それだと手で押す必要があり、結局片手が塞がってしまう。そこでバーティさんは、両肩に支柱を立てて屋根を作る「ランドセル型」や、センサーで人についてくる「動くバリア」型へと発想を広げます。
エラさんも、肩に設置する案や、帽子の上にタケコプターのように小さな傘をつける案を出します。バーティさんによれば、頭につける日傘型はオリンピックのときに話題になったものが実在するそうです。
なんで結局普及しないんですかね。なんでその片手が塞がる不便な道具を我々はずっと使ってるのかなって。
二人で案を出し合ううちに、覆う型には別の問題が見えてきます。一人当たりの幅が広がるため、狭い道を歩けない。全員が小さなビニールハウスを背負って歩くようなことになる、というのです。
雨を風で吹き飛ばす傘と、合羽・コーティングの限界
傘の代替案として、次に出たのが「風」です。店の入り口にあるような、風をブワーっと出して跳ね飛ばす仕組みを、人の周りだけに応用できないかというアイデアでした。
頭に輪っかをつけて強烈な風で雨を吹き飛ばす、と盛り上がるものの、すぐに問題に気づきます。吹き飛ばした雨で隣の人が濡れてしまい、風の強さを競う「傘同士の戦争」になりかねない、というオチです。
貧乏人のエアー傘が弱くて濡れちゃうみたいなことになるのか。
そこから、体に膜を張るようなコーティング案も出ます。エラさんは『ワンピース』シャボンディ諸島 ── 漫画『ワンピース』に登場する島。ここではシャボン(泡)で体をコーティングして水中でも活動できるようになる作中の描写を、雨をはじく技術のたとえとして引き合いに出しているの泡のコーティングを例に、「今日は雨だからコーティングしていこう」という近未来を想像します。
現実的な代替品としては雨合羽もありますが、暑いという弱点があり、結局は傘に戻ってしまう。傘が進化しないのは、これといった代替品がまだないからだ、という話に落ち着きます。
日本全土に屋根をかける公共事業構想
ここでバーティさんが、傘とは別の「昔から考えている案」を持ち出します。傘を個人の道具として進化させるのではなく、日本全土を覆うドームのような屋根を作ってしまう、という公共事業型の発想です。
この案には失業対策の狙いもあります。無職の人を集めて、何百年かかってもいいから屋根を作り続ける。それだけで長期的に仕事を供給できる、というわけです。
農業やダムなど水が必要な場所は、屋根をスライドさせて開け、必要な量の雨を流し込めるようにする。素材を透明なビニールやプラスチックにすれば、光も通せるとエラさんが補足します。
さらに二人は、雨量を人が調整できるメリットに気づきます。農家にとっては、雨が降りすぎるときは屋根を閉め、降ってほしくない日は閉じておける。開け閉めは地方自治体が管理し、仕事上調整が必要な人は届け出を出す、という運用案まで出てきました。
運用の広げ方も具体的です。計画としては日本全体を対象にしつつ、実際の施工は各市町村ごとに進める。屋根づくりが進んだ自治体に人が流入すれば、他の自治体も対抗して屋根を作り、少しずつ普及していく、という構想です。
さっきからなんか規模がでかいですよね。
バーティさんは自分を「極論派」だと説明します。物事を考えるとき、まず根本を問いたくなる。だから蚊は地球から追い出し、雨は日本ごと屋根で覆う、という発想になるわけです。
空中ダムと、地球を屋根で覆う未来
屋根構想はさらに壮大になります。人工的に雨を降らせる技術と組み合わせれば、必要ないときの雨をためておき、水不足のときに降らせることもできるのでは、という展開です。
バーティさんのアイデアは「空中ダム」。ダムの真上、はるか上空にサブのダムを置いてストックしておき、水不足気味の年にはそこからザバーっと流す、という仕組みです。これなら傘も傘立ても不要になります。
そしたらもう傘とかそんなものすらいらないですよ。傘立ていらない、傘いらない。
エラさんが「日本だけそんなことをしたら国連から怒られそう」と言うと、バーティさんはさらにスケールを上げ、地球上の陸地すべてを屋根で覆いたいと宣言します。莫大な費用がかかりますが、その間ずっと仕事を供給できるのが利点だ、という理屈です。
最初の問いだった「なぜ傘は進化しないのか」について、エラさん自身に代替案があったわけではありませんでした。進化しないことに腹を立てていただけで、AIに聞けばまっとうな答えが返るところを、あえて二人で極論まで転がしてみた、という回でした。
AIは地球に屋根つけようとか言わないんで。これがやっぱりね、醍醐味ですよね、AIを使わないことの。
ピカチュウはなぜ主役に。推されて負けたピッピ
3つ目のお題は、少し毛色が変わって「なぜポケモンのメインキャラクターにピカチュウが選ばれたのか」。エラさんが夜中にふと考えた疑問です。
バーティさんは、そもそも最初からピカチュウが選ばれていたわけではない、と指摘します。ゲームを出した後にルックスの可愛さで人気が出て、結果的にアニメの主役になったのでは、という順番の話です。
ここでエラさんが気にするのは、SNSのなかった1996〜97年ごろに、その人気の熱量をどうやって測ったのか、という点です。ファンレターや、雑誌やジャンプでよくある人気投票のような「生の声」があったのでは、と二人は推測します。
その当時のその人気の熱量をどうやって測ったんかなっていう。
そしてエラさんが声を大にして言いたいのが、ピッピの存在です。ゲームフリークが当初アイドル枠として売り出そうとしていたのは、おそらくピカチュウではなくピッピだったはず、という主張でした。
その根拠として、ピッピ人形があったこと、コロコロかボンボンでピッピと主人公サトシを主役にした漫画があったことを挙げます。それだけ推されていたのに、いつのまにかピカチュウにシフトした、というのがエラさんの見立てです。
バーティさんは、これは「自分がいいと思って出したものと、世間の評価の齟齬」の代表例だといいます。アニメ前のピカチュウを個人として意識してはいなかったものの、世間がピカチュウに傾いていく雰囲気はなんとなく感じていた、とのことです。
推されて負けたピッピと、ハズレ回の新ルール
エラさんは、推されていたのに主役の座を奪われたピッピに、独特の哀れさを感じると語ります。世間の大本命だったのに苦労した「ハンカチ王子」こと斎藤選手や、モーニング娘。のオーディションにまつわる話を例に出します。
なんか君はエースだよって確約されてたのに、なんかよくわかんないやつが出てきて負けちゃったみたいな。
さらにエラさんは、M-1で優勝した人より2位の人が売れることもある、と付け加えます。作り手が「強い枠」「かっこいい枠」で推したいものと、実際に人気になるものがずれるのは世の常だ、という結論に落ち着きました。
ピッピが初期に「月の石」で進化する数少ないポケモンだったことも話題に。月の石で進化するのはピッピくらいでは、という記憶をたどりますが、ここでも「調べられないのか」とAI禁止ルールを思い出して確認をやめます。
なんだったらピッピの話をしたくてこの話題を出したかもしれない。
最後は前回から続く「ハズレ回」ルールの整理で締めくくられます。二人が収録前に「今日はハズレ回でクオリティを下げていきましょう」と決めた回だけがハズレ回で、それ以外はすべて当たり回。だから今回は当たり回だ、という結論でした。
聞き手がどう感じるかで決まるのではなく、二人が事前に決めるかどうかで決まる、というシステム。今後はハズレ回もこっそり潜ませていく、と予告して回を終えます。
もう僕らがこの回はハズレ回でいきますって決めるっていうことなんで。
まとめ
AIやGoogleを封印して、蚊・傘・ピカチュウの疑問を二人の頭だけで転がした雑談回でした。答えは出なくても、極論まで振り切って考える過程そのものが面白い、というAIを使わないことの醍醐味が伝わる内容です。
- 蚊が痒みを入れる理由の話は、いつのまにか「地球から追い出す」という極論に着地した
- 傘が進化しない疑問からは、覆う型・風で吹き飛ばす型・体のコーティングなど数々のアイデアが飛び出した
- バーティさんの本命は「日本全土、さらには地球を屋根で覆う公共事業」構想と、雨をためる空中ダム案
- ピカチュウ主役化の裏で、本来アイドル枠だったはずのピッピが座を奪われた哀れさが語られた
- この番組の「ハズレ回」は、二人が収録前にそう決めた回だけを指すという新ルールが確認された





