人生初、警察からの留守電は詐欺か本物か?
この回の最初の話題は、WATAさんのスマホに警察から突然かかってきた電話です。仕事中で出られず、留守番電話には「息子さんの件でお話ししたいことがあるので、折り返しご連絡いただけますでしょうか」というメッセージが残っていました。
めちゃくちゃ怖くないですか?これ。ドラマでしか見たことないよ、これ。
WATAさんがまず疑ったのは詐欺でした。受け子やかけ子が絡む手口が流行っていることもあり、かけ直すことで犯罪に巻き込まれるなら避けたい一方、何か起きているならすぐ折り返さなければならないと、かなり悩んだそうです。
決め手になったのは、留守電の中で自分が住む地区の警察署名と子どもの名前がはっきり告げられていたことでした。電話番号が流出していても子どもの名前とは結びつけられないだろうと考え、WATAさんは疑いながらも折り返し、相手は本物の警察だとわかります。
本物だとわかってからも、WATAさんの不安は消えませんでした。一番怖かったのは、息子が事故で誰かにけがをさせたか、事故の被害に遭って緊急搬送されているケースです。万引きのような犯罪も頭をよぎったといいます。
ちなみにその長男、中学2年生の長男の件でお電話。
WATAさんは、留守電に本題を残してくれればいいのにと感じつつも、本人に直接話さないと伝えてはいけないルールがあるのだろうと推測しています。
自販機、強風、小川。5000円札はどこへ消えた?
警察の説明によると、WATAさんの息子は警察に自ら電話をかけ、「自分じゃどうしようもないことが起こっている」と助けを求めていました。事情を聞くと、自販機でジュースを買おうとしていたところだったそうです。
息子の手元にあったのは5000円札だけでした。迷ったものの飲みたかったので入れようとした瞬間、強い風が吹き、お札は漫画のように飛んでいき、すぐ脇の小川にポチャンと落ちてしまいます。
めちゃくちゃいい話。可愛い。めちゃめちゃ可愛い。
TAZAWAさんの反応とは対照的に、WATAさんは後で息子を叱ったといいます。ただ、警察の対応には改めて日本の警察の優しさを感じたそうです。
警察官たちは落とし物として対応するため現場に向かい、網ですくおうとしましたが、お札はすでに流されていて取れませんでした。息子が帰った後も回収を試みたものの難しく、WATAさんへの電話は「今回は諦めていただく形になってしまいます」という謝罪の連絡だったのです。
自販機の前
ジュースを買おうと5000円札を入れかける
強風
お札が飛ばされ、脇の小川に落ちる
警察に通報
息子が「助けてください」と電話する
網で捜索
警察官が現場ですくおうとするが流されて取れない
謝罪の電話
回収は難しいと、警察から親に連絡が入る
なんか童話ですか。
詐欺だと疑いながら話を聞いていたWATAさんは、優しい結末に思わず自分を責めたと振り返ります。犯罪や事故でなかったことに心底ホッとした一方で、「そんなことで電話する?」という感覚も残りました。
通報の裏にいたのは、友達のスマホとAIだった
TAZAWAさんは、息子の行動を前向きに受け止めます。普通は気が引けて何もできずに困るところを、ちゃんと行動に出たのは偉く、問題解決能力が高いのではないかという見方です。
実はWATAさんの息子は携帯電話を持っていません。その場には友達がいて、友達のスマホで「落とし物が拾えなくなった状態をどう対処するか」をAIに聞いていたことがわかります。
警察に電話すればワンチャンやってくれるかもしれないみたいなアドバイスがあったから電話したらしくて。そこは現代的なんかいみたいな。
ちゃんと裏取っとんかいみたいな。
WATAさんは、自分の常識ではありえないと感じる一方、一応調べてから行動した点は現代的だと認めています。TAZAWAさんも、「こんなことで電話?」と思ってしまうものの、正しい解決方法かもしれないと応じます。
WATAさんによれば、交番は本来、落とし物や遺失物のためにもある場所で、10円や数十円でも届け出るルールがあります。相談を受けた以上は対処するのが警察の務めという面もあると話しています。
調べてAIに聞いて電話したから別に悪いと思わなかったって言われたら何て言えばいいんですかね、もう。
警察はファーストステップか?子どもに伝える線引きの難しさ
WATAさんが息子に伝えたのは、お金をなくしたらまず親に言いなさいということでした。警察は本格的な犯罪への対応で忙しいので、いきなり警察に連絡するのはやりすぎで、親に相談すれば「落としちゃったらしょうがない」で済む話だという考えです。
WATAさん自身は、子どもの頃の自分なら怖くて警察に電話などできなかったと話します。TAZAWAさんも110番を押したことはなく、WATAさんは救急車すら呼んだことがないといいます。
ただし、ためらいすぎも問題です。WATAさんは、警察には迷ったときにかけてよい相談窓口もあると触れ、危機感を覚えたときはためらうべきではないとも話しています。
TAZAWAさんは、大人と子どもでは事情が違うと指摘します。40代の大人が茂みに入った1000円を取ってほしいと警察に頼めば炎上は確実ですが、子どもなら仕方ないと受け止められるという見方です。
落としてしまったのは仕方ないと受け止められる。TAZAWAさんは全然いいと話す
完全に自己責任で「知らんがな」。X投稿したら炎上するレベル
それでも、子どもにどう教えるかは二人とも答えが出ません。5000円ではなく15万円ならどうかと考えると、いくらから電話していいかという線引きは感覚的で言語化しにくいとWATAさんは話します。
泣き寝入りする癖をつけたくもないじゃないですか、多分なんとなく。
二人が心配するのは、「このぐらいいいんじゃね?」という逆向きのモラルです。500円ぐらいの万引きなら、と軽く見る感覚や、500円カツアゲされても仕方ないと受け入れる搾取され癖につながりかねないという指摘です。
AIネイティブ世代は「脳の一機能」としてAIを使う
WATAさんは話が少しずれると断りつつ、巨人の阿部元監督の子どもが家庭内の困りごとをAIに相談したという話題に触れ、これも現代的だと語ります。AIネイティブにとって、AIはすでに生活の一部になっているという見立てです。
WATAさんは、自分の思い込みで処理せず、裏付けを取ってから行動する点で、この世代は緊急時の判断力が高いと考えています。ただ、それが正論すぎていい結果になるかは難しいとも付け加えています。
AIの精度が上がったらAIネイティブのパワー半端なくなると思うんですよね。本当に頑張って活用してるとかってレベルじゃないから。
感覚的にその脳のリソースのちゃんと一機能としてAIを捉えてるっていうのが、やっぱ僕らとちょっと次元が違うなって。
TAZAWAさんはこれを「自分の拡張として使っている」と言い表します。AIに否定的な人が感じる心理的ハードルを一切感じていないことが、デジタルネイティブ、スマホネイティブに続く世代の強みだとWATAさんは語ります。
一方でWATAさんは、「お前それ常識的にどうなんだ」という昭和世代の感覚も大事だと考えています。TAZAWAさんも、そこは人に迷惑をかけないという日本人らしいコミュニティ意識だと応じます。
そのうえでWATAさんは、親世代が子どもの行動をもう少しゆとりを持って見てあげないと、つい否定してしまうと自戒を込めて話しています。
AIは何でも「警察へ」とは言わない?
TAZAWAさんは、AIの言うことを聞きすぎる問題がよく指摘されることに触れつつ、今回の件は別の見方ができると話します。AIは何でもかんでも警察や救急車を勧めるわけではなく、状況を判断して警察が適切だと答えたはずだという考えです。
もしかしたら骨折したかもしれませんってAIに相談したら、救急車って絶対多分言わない。
WATAさんも、その場の状況判断が苦手な場面でも、AIはメタ的に状況を捉えていると同意します。さらに、友達のスマホのAIは利用者の年齢も踏まえ、「まず親御さんに連絡しましょう」のように答え方を変える可能性もあると推測しています。
もしかしたら僕らが相談したら違うアドバイスだったかもしれないですよね。
二人は、子どもとAIにはシナジーがあると考えています。TAZAWAさんはAIは「リベラル」だから子どもに優しいかもしれないと言い、WATAさんも、大人から理不尽な扱いを受けたときに人権を守るための相談先を示すなど、弱者の視点ではAIが全力で支えてくれそうだと話します。
でもAIと常に相談しながらね、あの子供が生きてたら道踏み外さなそうな気がしますけどね。
「正解しか出さない世代」は挑戦できるのか?
WATAさんは、自分たちの世代とこれからの世代の判断の違いを整理します。昭和世代は過去の経験から推察する主観的な判断が多い一方、これからの世代は規範を見て客観的な情報から正解を出す感覚が強くなるだろうという見方です。
経験や状況から推察する。独自で主観的な判断になりやすい
規範を確認し、裏付けを取って客観的な正解を出す。主張は弱くなるかもしれない
まあなんかあの、おかしなことをよくも悪い意味でできなくなりますね。
TAZAWAさんが心配するのは、エラーを起こせないことで挑戦しにくくなることです。WATAさんは、自分で考えるべき場面を示したり、人の言うことを聞く大切さを伝えたりするのが、親世代の役割だと話します。
まあ老害の私から言える。
これに対してTAZAWAさんは、挑戦すること自体に意味があるという役回りすらAIが担ってくれるかもしれないと返します。WATAさんも、そうなれば機会損失もせずに育っていけると応じています。
髪をなびかせ、不服そうに帰ってきた息子
WATAさんは、昭和の自分なら泣きながら家に帰り「5000円落としてしまった、お小遣いちょうだい」と言っていただろうと振り返ります。ところが息子は、気まずそうに、そしてかなり不服そうに帰ってきました。
なんかそのね、調べてやってるのに、なんでそんなこと言われなきゃいけないんだみたいなことなんだと思う。
TAZAWAさんはこの一件を、日曜の夕方の家族アニメのようだと表現します。WATAさんは、AIでいじめを解決しようとした子が逆にいじめに遭う、といったテーマを扱う現代版の金八先生を見てみたいと話を広げます。
いや、警察からかかってくる電話で一番平和な話じゃないですか、今これ。
WATAさんも「のび太くんみたい」「ドラえもんの中の話」と笑います。お尻まで届きそうな長髪の息子が、昔の椿のシャンプーCMのように髪をなびかせて帰ってきた姿に、TAZAWAさんは髪とお金がなびく絵をAIで作ってほしいと冗談を重ねます。
テストステロンは「居場所のある集団」で活性化する
後半の話題は、WATAさんが仕事で出会った病院の教授から聞いた話です。男性ホルモンを研究し論文も出している人物で、男性のテストステロンは居場所のある集団やコミュニティに属しているときに活発に出るといいます。
逆に男性が孤独になると、テストステロンが減って女性ホルモンが増えるそうです。その結果、うつ病になったり、心身に不調が出たり、髪が抜けたり太ったりするとWATAさんは紹介しています。
孤独になる
居場所のある集団やコミュニティから離れる
ホルモン変化
テストステロンが減り、女性ホルモンが増える
心身の不調
うつ傾向、健康異常、抜け毛、体重増加などが起こりうる
この仕組みのルーツは狩猟採集の時代にあるそうです。男性は集団で狩りに出て興奮状態に入り、テストステロン的なものが高まることで、自律神経や精神を安定させていたという説明です。
孤独じゃない状態を作るのがすごい一番のライフハックになるはずだっていうことを言ってて。
陰キャを自称するWATAさんは、つい一人を選びがちだといいます。孤独なときは抑うつ的になり、髪もよく抜けるので、それもホルモンバランスの影響だったのかもしれないと自分に重ねています。
WATAさんは、うつは後天的な要因も大きく、ただの心の問題ではないと考えられるようになってきていると話します。誰とも会話しない時間が増えるのは心よりホルモンの問題なので、環境を変えるだけでもホルモンバランスが整うという考え方です。
会社でしか人と会わないおじさんが危ない理由
TAZAWAさんは、男性は年を取ると会社でしか人と会わなくなり、友達が一人もいないおじさんが増えると指摘します。人間関係が長生きに関わるとよく言われることにも触れています。
WATAさんによれば、女性は状況が異なる一方、男性はこの要素の影響が大きいそうです。職場は業務的なつながりなので孤立しやすく、仕事以外のサブコミュニティや家庭で居場所を担保することが大切だといいます。
さらに、ある程度は同性と過ごすほうがよいとされているそうです。狩猟の集団がルーツにあるため、男性的な意識を保てる場、いわば男の学生ノリも、生命力や健康の面では実は大事だとWATAさんは紹介しています。
そんな別にマッチョなコミュニティに入らなくてもいいんで、なんらかそういう場所に居場所、仕事以外でも置くことで自己承認欲求も高まるし。
WATAさんは、科学的に説明されると腹落ちするといいます。これまでは「俺みたいな人間はどこに行っても受け入れてもらえない」と感じてうつになると思っていたけれど、実は逆で、場の問題だったという気づきです。
友達が多い人は、誘われるより誘っている
TAZAWAさんが昔から思っているのは、友達が少ないと自覚している人ほど自分から人を誘わない、ということです。
友達が多い人っていろんな人から誘いが常に来るんだろうって思ってるかもしれないけど、違ってて、結構自分からたくさん誘ってるんですよね。
WATAさんも、人気者だから周りに人がいるのではなく、自助努力があるのだと同意します。反対に「どうせ声をかけても誰も来ない」と引っ込む人は、誘い合う関係が生まれず孤立していくといいます。
誘わない
「どうせ誰も来ない」と自分から声をかけない
関係が生まれない
誘ったり誘い合ったりする相手ができない
孤立
コミュニティから離れ、女性ホルモンが高まる
抑うつ
メンタルが落ち込み、さらに社交的でなくなる
TAZAWAさんの知り合いにも、自分から誘ったら負けだと思っている人がいて、友達がいないことに本人が悩んでいるそうです。WATAさんは、消極的な人は相手からも誘いにくく見られてしまうと話します。
WATAさんは、「誘われてなんぼ」という女性のメンタリティは求められることで承認欲求が満たされて安定するという説もあるが、男性がそれをやるとうつになってしまう、と対比しています。TAZAWAさんは、これは同性同士の関係でも同じだと補っています。
状況さえ作っちゃえば俺は誘える人間になるし、ある程度コミュニティに属すことができる。
WATAさんの解釈では、性格のせいで誘えないのではなく、状況がそのメンタリティを作っているだけです。男性にはもともとコミュニティにいたほうがよいという本能的な前提があるので、入ってしまえばよいサイクルに乗れる可能性が高いといいます。
回避性パーソナリティを越えて、ちょいウザめに飛び込む
TAZAWAさんは、ここで回避性パーソナリティ ── 失敗や拒絶、傷つくことを強く恐れ、人との関わりや新しい行動を避けがちになる傾向のこと。医学的には「回避性パーソナリティ障害」という診断名もありますという言葉を挙げます。自分が動いて何かあったら傷つくからと、失敗を避けようとする傾向です。
だから誘って断られたらショックだから誘わないとか。
WATAさんは「告って振られたら嫌だから」とたとえを重ねつつ、男性はホルモンの仕組み上、ある程度突っ込んでなんぼだと話します。多少煙たがられても、厚かましいぐらいに出るほうがホルモンとメンタルは安定するのかもしれないという見方です。
WATAさんは、消極的な人を否定するわけではないと断ったうえで、自分が思うウザさと周りが感じるウザさはレベル感が違うと話します。自分が気にしているウザさは周りから見ればどうでもいいことが多く、別の観点で本当にウザいことを見極めるほうがよいそうです。
この話はWATAさん自身への自戒でもあり、言われて「俺じゃん」とハッとしたといいます。悶々としたときは何でもいいから習い事などを始めてみる、TAZAWAさんの言うように雑談できる友達ができるコミュニティに入る、それだけでもよいそうです。
エンディングでは、AIの話は次回のエピソードでTAZAWAさんに掘り下げてもらうと予告して、今回は締めくくられます。
まとめ
今回は、5000円札を追って警察に通報した息子の一件から、AIを自分の拡張として使う世代の判断力と親世代の役割を考え、後半では孤独が男性のホルモンとメンタルに与える影響から、コミュニティに飛び込む大切さが語られました。
- WATAさんの中2の息子は、友達のスマホでAIに相談したうえで、小川に落ちた5000円札のために警察へ通報した
- AIネイティブ世代は裏付けを取って行動する一方、正解しか選べず挑戦しにくくなる懸念も話された
- お金を落としたらまず親に相談する、という線引きと、泣き寝入りさせない教え方の両立は難しい
- 男性のテストステロンは居場所のある集団で活性化し、孤独だと減ってうつ傾向につながりうる
- 友達が多い人は自分から誘っている。ちょいウザめでもコミュニティに入るほうが心身は安定しやすい


