newmoはどんな会社?ライドシェアと日本の規制
今回のM&A編で取り上げるのは、佐久間さんが「聞いたことありますか?」と切り出したnewmo社です。ヤマさんは「初めて聞きました」と答えるところから解説が始まります。
佐久間さんはまず、newmoの背景にあるライドシェアという言葉を説明します。同じ目的地に向かう人がいれば、車を持つ人が一緒に乗せてあげればよいという発想のサービスです。
アメリカではUberが有名で、車を持つ人がUberに登録し、乗る人を乗せて戻ってくる仕組みだと佐久間さんは紹介します。乗る人と乗せた人がお互いをレビューし合う点が特徴だといいます。
これ評点がつくんで、この人は安全なのか大丈夫なのかっていう、評価スコアが溜まっていくんで、健全な社会になっていくっていう。っていうモデルがUberのモデルなんですよ。
ただし、日本ではライドシェアは解禁されておらず、車に人を乗せることに伴うリスクを踏まえたタクシー業界の法律が前提になっていると佐久間さんは説明します。
Uberのモデルでは、その安全面の課題を相互評価で解決している事例が世界にはある一方、日本ではタクシー免許を持つ人しか営業できません。この業界を改善しようと立ち上がったのがnewmoだと佐久間さんは位置づけます。
地方のドライバー不足という背景
ヤマさんは、Goタクシーのアプリでタクシーを呼んだ際に「ライドシェア車両が到着する可能性があります」と表示され、タクシーではない普通の車に乗った経験があると話します。
佐久間さんはこれを、検証や実証、規制緩和が徐々に進んでいる段階の一例だと説明します。ただし、その車両がnewmoのものかどうかはわからないと断っています。
newmoが目指す背景には、地方のドライバー不足があると佐久間さんは指摘します。交通手段がなくなる地域や、繁忙期にタクシーを60分待つような状況を防ぐために、ライドシェアで市場をより自由にすべきだという問題意識です。
ぜひ地方に拡大していただきたい。
なぜM&A編でnewmoを取り上げるのか
佐久間さんは、このM&A編の狙いを改めて説明します。スタートアップ単体の成長物語ではなく、スタートアップが中小企業を買収し、そのノウハウで業績を上げた事例に注目していると話します。
そこには中小企業の成長のためのポイントが詰まっているはずだという見立てから、地方企業や中小企業も学べる回として解説していると佐久間さんは述べます。
newmoが取った戦略として佐久間さんが挙げたのが、大阪のタクシー会社の買収です。その数は10社を超えたといいます。
結構いきましたね。
佐久間さんは、スタートアップは新たなテクノロジーで業界を劇的に効率化するのが根幹だと前置きしたうえで、規制の多い業界では「中から変えていく」戦略を取っていると説明します。既存の会社をテクノロジーやファイナンス、経営の力で成長させる手法です。
この、既存の会社の業績を上げるやり方をM&A業界ではロールアップ ── 同じ業界の複数の企業を次々に買収し、統合して規模やノウハウを共有しながら成長させるM&Aの手法。と呼ぶらしいと佐久間さんは紹介します。
買収後に何をやるのか?100日プランとPMI
佐久間さんは、newmoがタクシー会社を買った後にやることを説明します。過去のジェンダ回でも出た100日プランを、newmoも使っているといいます。
具体的には、経営指標の可視化、デジタルツールの導入と効率化、そして経理・労務・人事といったバックオフィスの最新化を進めるとのことです。
そのうえで佐久間さんが面白いと指摘するのが、その先の狙いです。現場との関係構築や従業員の体験改善に取り組み、テクノロジーを従業員が働きやすくなる方向に使っているといいます。
へー、そっちなんだ。顧客じゃ(なくて)。
ね、顧客じゃなくて従業員なんですって。面白いなと思って。
タクシー業を「接客業」と定義し直す
佐久間さんは、newmoが行った定義の置き換えに注目します。タクシー業を運送業ではなく接客業だと定義し直したというのです。
タクシー業を運送業じゃなくて接客業であるっていう風に定義し直して、そこに注力できるための従業員の手間を減らして、接客に集中しやすいようにしてあげる。
その分の待遇改善や体験改善を進めることで、ドライバー不足のなか自社の採用効率を上げ、業績につなげようとしているのだと佐久間さんは説明します。
佐久間さんは、関西で有名なMKタクシーを例に挙げます。ドライバーがわざわざ降りてドアを開けてくれるサービスで、安くて接客がよいという評判が関西出身の2人の間でも共有されていると話します。
newmoはこうした接客の良さを全国規模で実現しようとしていると佐久間さんは整理します。デジタルツールで効率化した分を接客に当て、ブランド化していく方向です。
新技術で顧客向けサービスを劇的に効率化・便利にする
効率化で生まれた余力を従業員の働きやすさと接客の質に向ける
AI時代に人間がやるべきことへ戻る
ヤマさんは、ユーザーとしても同じ料金で気持ちよく乗れるなら、そのサービスを選びたくなると話します。
佐久間さんは、この流れをAI時代の文脈につなげます。AIの台頭で、むしろ人間ができることは接客や心地よいコミュニケーションに戻ってくるのではないかという見立てです。
ヤマさんも、人間味が出る部分にお金をかけ、それを価値としてビジネスモデルを組み立てるのはこれからの時代らしいと応じます。まだそうできる業界も残っていそうだと話しています。
佐久間さんは、newmoが東京のスタートアップでありながら、買収先の大阪などに社長自ら行き、一緒にドライバーをやっていると紹介します。新たに東京のタクシー会社を買収したニュースに触れ、社長が「8月から私もドライバーとしてやります」とXで発信していたと話します。
テクノロジーやAIでやれることは効率的に回しつつ、最後は現場や接客に立ち戻る姿勢が今っぽいと佐久間さんは受け止めています。
地方企業に置き換えると何を学べるか
ヤマさんは、この事例を地方企業に置き換えるとどうなるかと問いかけます。
これはじゃあ地方企業に例えば置き換えるとすると?
ヤマ さんからの質問
佐久間さんは、今の業務で効率化できる部分をテクノロジーやAI活用でしっかり進めること、そのうえで自分たちが本当に求められている価値は何かを見つけ、そこにリソースを集中できるようビジネスモデルを設計することが学べる観点だと答えます。
最後にヤマさんが、第27回はM&Aの事例紹介でnewmo編だったとまとめ、番組を締めくくります。
まとめ
newmoは、日本では規制の多いライドシェア業界で、大阪のタクシー会社を10社以上買収し、既存の会社を中から変えるロールアップ戦略を取っています。効率化で生まれた余力を従業員と接客に向ける発想が、地方・中小企業にも通じる学びとして語られました。
- newmoは地方のドライバー不足などを背景に、規制産業のタクシー業界を内側から改善しようとするスタートアップ
- 大阪のタクシー会社を10社以上買収し、既存企業をテクノロジーとファイナンスで成長させるロールアップを実践
- 買収後は100日プランで経営指標の可視化・デジタル化・バックオフィス最新化を進める
- タクシー業を「接客業」と定義し直し、効率化した余力を従業員の待遇改善と接客の質に振り向ける
- 地方企業は「効率化できる部分はAIで、求められる価値にリソースを集中する」設計を学べる




