初の視聴者質問は「ステマ疑惑」から?
今回から、視聴者からの本物の質問を読む形式に変わりました。最初の質問は、箕輪さんが編集した『自分の変え方』という認知科学コーチングの本について、企業漫画家のちばさんから寄せられたものです。
AIの答えは「自分を変えたいけれど、どう行動すればいいか具体的につかめずにいる人が最も適した読者」というもの。ところが箕輪さんは、この質問自体を疑い始めます。
これね、絶対にステマだ。この自分の変え方のチームの奴らが、ここで話させようとしてやってる。
けんすうさんによれば、ちばさんは実際に会ったことのある人で、ステマ仲間ではないとのこと。むしろ「箕輪さんが何をしたら得か」を考えて質問してくれた可能性が高いと指摘します。
すげえ。自分の著者を疑う。しかも間違ってた。ごめん。
結果として、良かれと思って質問してくれた人を、箕輪さんが疑ってしまうという流れに。「誰も幸せにならなかった」と自嘲する場面から、この回は始まります。
『自分の変え方』は「未来から今を変える」認知科学コーチング
話は本の中身に移ります。箕輪さんによると、この本はけんすうさんの『物語思考』とよく似ているそうです。
どちらも「過去の連続が現在・未来」と考えると変われないので、未来のゴール地点を先に変えてしまう、という発想が共通しています。ある種、自分を騙すような手法です。
ダイエットしたいなら自分は痩せてる人。道端アンジェリカだと思って暮らすと、朝さすがに牛丼食べないよねとか、アサイーボウルだよねみたいな。
道端アンジェリカだったらヨガをやるよね、という具合に、なりたい人物になりきることで行動が変わり、未来が変わっていくという理屈です。
この本は、そうした認知の変え方をワークシートも使いながら、汎用的なコーチングの手法としてまとめたものだと箕輪さんは説明します。
コーチングは万能じゃない?「棚卸ししても大したものが入ってない」問題
実は箕輪さんは、もともとコーチングという人たちが一番嫌いだったと打ち明けます。それでも本を作ったのは、時代がコーチングを求めていると感じたからだそうです。
僕が一番嫌いだったんですよ、コーチングとかいう人たち。めちゃめちゃ嘘っていうか、何を言ってんだよって思ってた。
箕輪さん自身もコーチングを受けたことがありますが、結果は「あなたにコーチングはいらない」でした。理由は、今のゴールのままでいいと思っていて、変わる必要を強く感じていないからだといいます。
(コーチングは)今の自分の延長線上だったら達成しないゴールを設定したい人に向いてる。でも僕はゴールはこのままでいいと思ってる。
箕輪さんとけんすうさんは、週に1〜2回は誰かに話を聞かれる立場にいます。そのおかげで自分の考えが常に整理されている、という点も大きいと箕輪さんは指摘します。
日々忙しく生きてる人って、家族にも恋人にも友達にも「なんでこの仕事やってるんですか」なんてそんな聞かれない。俺らって本質的なこと聞かれ続けてるじゃないですか。
ここでけんすうさんが、コーチングの手法は良いと認めつつも、鋭い懸念を投げかけます。
棚卸ししても中身が乏しいと、結局は今の延長線上のゴールになってしまう。でも自分を変えたい人は、それでは満足できない。だからあまり変わらない、というジレンマです。
箕輪さんは、コーチングでやるのは「ついついやってしまう癖を見つけて変えること」だと補足します。飲んだ後に夜ラーメンを食べてしまうような自分への甘さを認識し、日々の行動から変えていく。それをやりきれれば確かに人は変わる、というのが結論です。
20代の「これ向いてません」は本当か?経験の前に決めつける危うさ
話は「向き不向きの判断」へと広がります。けんすうさんが、20代のうちに「これは苦手」「これは向いてない」と判別するほどの経験は、まだ誰にもないのでは、と問題提起します。
これ嫌いですとか向いてませんって判別するほど、みんな経験ないじゃないですか。経験も見る目もないのに、あそこで判断しちゃって止まってるケースってないですか。
箕輪さんは、消えていった後輩たちの共通点として、ある行動を挙げます。それが「noteで自分の取り扱い説明書を書くこと」でした。
ちょっと出てきて活躍するかもって段階で、「こういう仕事は得意」「こういう仕事は得意じゃないので今後は受けません」とか書いてて。お前さ、何様だよ、宮崎駿かよ。
まだ数回しかやっていないのに、得意・不得意を決めつけてしまう。10回やってみたら、むしろ好きだったり向いていたりするかもしれないのに、可能性を自分で閉じてしまうというわけです。
けんすうさん自身、新卒〜20代の頃は喋るのが苦手で「テキストならいいけど喋るのは嫌」と思っていたそうです。それが今では、週に15回もポッドキャストなどで喋る側に変化しました。
今週15回ぐらい喋ってるので。そっちの方が呼ばれるなっていう。
箕輪さんも、全スポーツで一番嫌いなゴルフのコンペを主催しているといいます。自分はやらないのに主催する、という状態です。
苦手なことをやる意味。ホリエモンの「恥ずかしいことをやらないと老いる」
箕輪さんは、苦手なことや嫌いなことをやっている時のほうが、それはそれで面白い状態になると語ります。得意なことばかりだと同じことの繰り返しになり、話のネタも増えていかないからです。
ここで箕輪さんが引き合いに出すのが、ホリエモンがR1グランプリに出ていた時のエピソードです。「何やってるんだこの人」と思って本人に聞いたところ、印象的な答えが返ってきたといいます。
箕輪さん自身も、歌手デビューをしてボイストレーニングに通い、全国のショッピングモールを回り、新人歌手がやるべきことをひと通りやったそうです。ところが印税は4円だったとか。
印税で4円しか入ってこないって思った時に、恵まれてんな、俺の今のこの本業って思うの。
本業では本を出せばランキングに入り、YouTubeで紹介するだけで数十万円もらえる。苦手なことをやったからこそ、自分に向いていることのありがたさがわかったと箕輪さんは言います。
けんすうさんは逆のパターンにも触れます。もし箕輪さんが本気で歌手をやりたかったなら、たとえ4円でもそれが進む道になったはず。向き不向きを知るためにも、苦手なことをやってみる価値があるというわけです。
簿記1級よりYouTubeプロデューサー?最初の絞り込みが世界を狭める
けんすうさんは、この番組をプロデュースしている人の例を紹介します。大学時代に簿記1級まで取り、勉強ができるタイプでした。
最初はバックオフィス的な仕事をしていましたが、いろいろ試した結果、今ではYouTubeのプロデューサーがとても向いているとわかったそうです。
簿記1級も取れて、バックオフィスで働いたら成果出るって言われてたら、そこだけやってる人生になりそうじゃないですか。
たとえ簿記1級を取れて仕事ができても、その分野でトップになれるかどうかは別の話。得意そうに見える最初の場所で絞り込んでしまうと、本当に向いていることに出会えないまま世界が狭くなってしまいます。
箕輪さんは、自分にはこの後悔がないと言い切ります。理由は「トップレベルでやったことがないことがない」から。占い師、ラーメン屋、サウナ屋、格闘家、サッカー選手まで、ひと通りやったといいます。
本田圭佑のとこで全国レベルの若者たちに混ざって、俺アップで腰が痛くて動けなくなって。パス来ないように隠れ続けて。
35歳で本気でサッカー選手を目指してみて、当然のように無理だった。でも実際にやったからこそ「羨ましいな」とは思わない、と箕輪さんは話します。
赤字でも2年やってよかったラーメン屋。「できんじゃんキャラ」の効用
一連の挑戦の中で、意外とうまくいっているのがラーメン屋だといいます。始めて2年ですが、その間に積み上がった歴史そのものが資産になっていると箕輪さんは感じています。
いろんな師匠が生まれて、いろんな味とコラボして、これを半年でやろうと思っても絶対無理。結構資産になってるかな。
ただし箕輪さん本人はラーメンに詳しくありません。始めたきっかけも、ホリエモンとの会話でした。「ラーメン屋なんてOEMでスープ作ってるんだから明日からできる」と言われ、そのまま開店したそうです。
箕輪さんは、こうした「できんじゃん」と背中を押してくれる人が近くにいるとありがたいと語ります。ホリエモンや西野さんのような、チャレンジを当たり前にする人たちの存在です。
ホリエモンとか西野さんみたいなチャレンジ狂いの人たちがいると、「なんでやらないの」「まだやってないですか」みたいなテンションで聞いてくる。そうするとやりやすい。
さらに箕輪さんは、うまくいかないことにこそ価値があると言います。すぐに成功して終わってしまうより、そのほうがゲームとして面白いという考え方です。
実はこのラーメン屋、最近まで赤字だったそうです。とんかつを入れすぎていたのが原因で、減らしたらむしろおいしくなったとか。すぐにフランチャイズが成功していたら、逆に飽きていただろうと箕輪さんは振り返ります。
在宅か出社か。個人と組織で答えが真逆になる理由
2つ目の質問は、もっちゃんさんから。「在宅と出勤、どちらが生産性の高い仕事ができますか」という問いです。AIのご神託は珍しく断言口調で「在宅勤務こそ最も生産性を高める働き方」と答えました。
箕輪さんは、ちょうど前日にあった話を紹介します。ある上場企業のIT大手とクリエイターが、どちらもリモートをやめる方向に動いているという話です。
フルリモートは無理だっていう結論になってた。
その理由として出てきたのが、組織を「2対6対2」で捉える見方です。上位2割の優秀な層、中間の6割、下位2割の落ちこぼれという構図です。
上位2割
主体的に経営者目線で動くので、自由にリモートで働かせたほうが生産性が上がる
中間6割
出社しないと頑張らなくなり、一体感も生まれにくいので出社させたい
下位2割
会社に貢献できるようマネジメントが必要で、出社が前提になりやすい
つまり、上位2割は放っておいてもリモートで成果を出しますが、企業の仕事は中間6割と下位2割をどうマネジメントするか。そこは出社しないと回らない、というのが箕輪さんの整理です。
けんすうさんが「でもAIは在宅がいいと言っている」と促すと、箕輪さんは個人視点での結論を明快に示します。
組織は全体のかけ算をしたいから来てほしい。でも個人が儲けたり成長したりするなら在宅のほうがいい。この2つの論理がぶつかっているのが今の状況だ、と2人は捉えます。
AI時代、6割の人は「会社という宗教」に入る?
話はさらに先へ進みます。リモート環境が良くなり、AIも発達すると、上位2割の優秀な人ほど「組織にいなくていい」と考えるようになる、という懸念です。
ほとんどの優秀な結果残すタイプ、自発的に成長するタイプの人は、もうほぼサラリーマンじゃなくなるでしょうね。
一方で、企業側は優秀な人を雇えなくなっていく。けんすうさんは、月1しか出社しなくても会社の機能を使いこなす「タレント社員」型のパターンにしたほうがいいのでは、と提案します。
では、中間6割の仕事がAIに取られたら、その人たちはどうなるのか。けんすうさんの問いに、箕輪さんは独特の答えを返します。
その人たちはですね、宗教に入ります。
ここで言う宗教とは、必ずしも新興宗教のことではありません。推し活やスポーツの熱狂的なサポーター、スピリチュアルなど、広い意味での「生きている手応え」を得られる何かを指しています。
これまで人は仕事から生きる手応えを得ていたけれど、それが難しくなる。だから別の何かにすがって生きる意味を担保するようになる、という見立てです。
そこから話は「会社という宗教」へ。忠誠心を取りやすいカルト的な文化を持つ企業として、リクルートやサイバーエージェント、GMOの名前が挙がります。
GMOだって自分たちで宗教だって言ってますもんね。それをなんか気持ち悪くない程度に活用するっていうのは大事です。
結論として、個人は在宅で生産性を上げるか、会社という宗教に入るか。そのくらいの構えで働き方を考えておいたほうがいい、という整理に落ち着きました。
受託か自社開発か。「ストックになるか、お金になるか」で考える
3つ目の質問は、独立初年度の曽根っちさんから。受託で時間が埋まってしまい、ストック型のビジネスを作る時間がない、という悩みです。AIのご神託は「受託7割、プロダクト開発3割」でした。
独立したばかりのタイミングでの受託仕事と、プロダクト開発に割く時間の割合はどのぐらいにすればいいのでしょうか。
曽根っちさん さんからの質問
AIの答えは「受託7割、プロダクト開発3割」。箕輪さんも「そんな気がする」と同意し、まず死なないことが大事だと補足します。
箕輪さんは、自分の仕事に置き換えて説明します。顧問業はいわば受託で、本やYouTubeは自分のコンテンツ。稼ぎは受託で、好きにやるのが自分のコンテンツという構図です。
本とかYouTubeがブランディングになってるんで、その3の方が大事なんすけど、でも金になるのは7っていう。
箕輪さんの顧問先は60〜70社ほどで、月1で会うのが30社ほど。1日に1〜2件をこなす感覚です。それをやりつつ、本を作ったり喋ったりする配分が、だいたい7対3だといいます。
けんすうさんは、お笑い芸人の例えを持ち出します。舞台でお笑いをやりつつCMのほうが儲かる、という構図と同じだという指摘です。
さらに箕輪さんは、さらば青春の光の例を挙げます。テレビにたくさん出ていても、単独ライブのツアーは続けている。売上のためにそこを削ると、根っこの本当のファンやブランドが削られていくからだといいます。
受託は基本的にストックにならず、自分のリソースを提供する仕事。自社プロダクトはストックになっていく。だからまず7対3で始めて、当たったら4割、5割と増やしていく、というのが2人の見立てです。
AIで「1日で作れる」時代。自社プロダクトの価値はどこへ?
ただし、けんすうさんは自社プロダクトそのものの前提が変わりつつあると指摘します。誰にも知られない自社プロダクトは、実はストックになっていないケースもあるからです。
そのうえで、AIによって「作れること」の価値が下がっている実例を紹介します。長時間のライブ配信にタイムスタンプを付けたいと思い、やり方を募ったところ、驚くことが起きたそうです。
エンジニアじゃない人がAI使って6時間でソフト作ってくれた。URL入れたら全部タイムスタンプ一気に出るみたいな。
非エンジニアが1日でソフトを渡せる時代になると、「IT系の自社プロダクトを作れます」という価値そのものが落ちてくる、というわけです。
けんすうさんによれば、メルカリやクラシルのような「側」だけなら作れてしまう可能性があるといいます。セキュリティや大量アクセスの問題はあるものの、たとえば「1日だけ使えるメルカリ」なら実現しうる、と。
1日だけ使えるメルカリ作りましょうはできる可能性ありますね。そこやばいんですよ。
この流れを受けて、箕輪さんは出版の話に引きつけます。AIが書いた文章をそのまま本にするのは難しくても、箕輪さんがAIを使えば1冊を1日で作れてしまう。つまり、今できる人が10倍・100倍のスピードで作れるようになる、という見立てです。
「Uカーブ」で残る仕事。企画とマーケティングだけは代替されない
箕輪さんは、仕事の価値を「Uカーブ」で説明します。誰かから聞いた話として紹介した見方です。
企画・開発
儲かる部分。人を口説く、テーマを決めるなど、人間の判断が必要
製造・流通
儲からない部分。ライターやデザイナーの作業など、AIに代替されやすい中間
マーケティング
儲かる部分。今の時代にどう売るか、どう打ち出すかの嗅覚が必要
最初の企画・開発と、最後のマーケティングは儲かるけれど、中間の製造・流通は儲からない。Appleは企画開発からApple Storeでの販売まで、最初と最後を押さえているから強い、という理屈です。
本づくりも同じで、AIが代替できるのは中間のライティングやデザインの部分。一方で、誰にどんなテーマで本を作らせたいか、その人を口説き、なだめる。そして今の時代にどう売るか。この最初と最後はむしろ価値が上がると箕輪さんは言います。
箕輪さん自身も、年を取ってからは企画とマーケティングだけをやっていて、昔のように鬼のようにリライトはしていない。だからAI時代でもあまり変わらない感覚だといいます。
けんすうさんは、企画とマーケティングの両方ができる池谷さんが、本を1日で書いて10万部いった例を挙げます。企画とマーケティングができれば、間の工程はいらない、という象徴的な話です。
作れても売れない。「模造品」が溢れる時代に効く「お守り機能」
では、誰もがAIで大量に作れるようになったら、既存の作り手の仕事は減るのか。けんすうさんの問いに、箕輪さんは意外な角度から答えます。
俺が10倍作ってもそんなに需要ないと思う。
箕輪さんは、そもそも自分の本は「いらないのに買ってくれている」と言います。情報として絶対に役立つから買うのではなく、応援のような気持ちで買ってくれている、というのです。
お守りが1000種類あっても要らないのと同じで、量産されても消費しきれない。世の中のものは消耗品を除けば、何割かは「お守り機能」で成り立っているというのが箕輪さんの見方です。
たとえば宮崎駿クラスのクオリティで毎週ジブリ映画が作れるようになっても、逆につらい。「もういいよ、5年とか10年に一回のあの頃に戻ってくれよ」と思ってしまう、と2人はうなずき合います。
駿が苦悩してる「これじゃない、これじゃない」みたいな、そのストーリー込みでお守りとしての機能半分、あとは半分ほんと面白いから。
作り手が苦悩するプロセスや物語込みで価値になっている。だから、クオリティ100%同じものを大量生産しても、人は消費しきれないし、そこにはありがたみが生まれない。これがこの回の着地点です。
まとめ
ご神託ラジオ第4回は、自己変革・働き方・AI時代の仕事という3つの質問を軸に、箕輪さんとけんすうさんが実体験を交えて語り合う回になりました。共通していたのは、「決めつけず動いてみる」ことと、「作れること」より「人間にしかできない部分」の価値を見極める視点です。
- 自分を変えるには、なりたい人物になりきり、行動と癖から変えていく。ただし本気で変わりたいと思わないと難しい
- 20代での「向いてない」は経験不足の決めつけかもしれない。苦手なことをやってこそ向き不向きがわかる
- 在宅か出社かは、個人なら在宅、組織なら出社と答えが真逆になる。論理がぶつかっているのが今の状況
- 受託か自社開発かは、「ストックになるか、お金になるか」で考える。まず7対3で始め、当たったら比率を上げる
- AIで誰もが作れる時代でも、企画とマーケティング、そして「お守り機能」を生む人間の部分は代替されにくい






