約1ヶ月ぶりの再開と本編の入り口
この回は、けんすうがニューヨークに約3週間滞在し、帰国後に喉を痛めたことで、およそ1ヶ月ぶりの配信となりました。
久しぶりすぎて配信方法がわからず、5分ほど遅れてのスタートになったと話しています。
リハビリですね。前半の10分ぐらいで本編的に喋って、あとあれば質疑応答みたいな形です。
「点が増える方」で決断するという考え方
本編のテーマは「人生で迷った時は点が増える方で考える」です。きっかけは、前日にNewsPicksの講座「ニュースクール」で受けた質問でした。
質問者は、ChatGPTにキャリアを相談し、大学院に行く方がいいと考えていたところ、ChatGPTには行かない方がいいと言われたものの、結局自分の考えを選んだという人でした。
けんすうはまず、判断と決断の違いを説明します。判断は材料を集めれば答えが見えてくるものですが、大学院に行くかどうかは変数が多く、何が起こるか事前に調べられないと言います。
大学院行くか行かないかは、ちょっとその変数が多いというか、何が良くて何が良くなかったかをこう事前に調べられないじゃないですか。
そうした事前に調べきれない、しかも若干不可逆で大きなものについては「決断」が必要になります。その決断の基準の一つが「点が増える方」だと話します。
材料を集めれば「こっちがいい」と見えてくるもの
何が起こるかわからず、事前に調べきれないものを選び取ること
コネクティングドッツと「点の数」
「点が増える方」の背景にあるのは、スティーブ・ジョブズが語った「コネクティングドッツ」の考え方です。
けんすうは、点の数が少ないと引ける線のパターンも少なくなると指摘します。
点が三つの人はそれを繋いで人生を歩んでいくしかないが、点が百個ある人はいろんなパターンの道があるわけですね。
具体例として、3〜4歳の頃にハマったビックリマンシールが、今ではロッテと一緒に取り組むAIグッズメーカーの仕事につながっていると話します。
小学校や中学校の頃に読んでいた漫画も、今の漫画業界の仕事で効いていると言います。当時は勉強せずに無駄だと思っていた読書が、むしろ役立っているという実感です。
20歳頃から書いていたブログや、中学の部活で隣だった相手と今ポッドキャストをやっていることも、すべてつながっていると振り返ります。
だからこそ、どんな点を打つかより、点の数が増えること自体が大事だという結論に至ります。
この考えに沿えば、同じ会社で来年も働くより、仕事をそこそこにして大学院に通う方が、友達や教授とのつながりなど点が多く増える、というわけです。
最悪の出来事が、後の「点」になる
質疑応答の中で、リスナーからコネクティングドッツに救われたという声が寄せられ、けんすうはこの考え方の魅力をさらに掘り下げます。
当時としてはめっちゃ最悪の事件だなみたいなことが、将来的に結構効いてくるみたいなこともあるので、元気が出るっていうところですよね。
例に挙げたのはジョブズ自身の経歴です。自分が作ったAppleを追い出されたことが、結果的にNeXTやピクサーにつながったと説明します。
NeXTがAppleに買収されて現在のOSの基礎になり、ピクサーが映画業界を変えたことを踏まえると、Appleに残り続けていたらこれらは生まれなかったかもしれない、とけんすうは見ます。
当時「最悪」に見えた出来事が、振り返れば良かったと思えることはよくある。だからこそコネクティングドッツの話が好きだと語ります。
手札が多いほど有利というゲーム的な視点
けんすうは、前日の対談相手である深津さんの話も引きながら、点の多さを「手札の多さ」に例えます。
ゲームの理論として、手札が多い方が有利だという考え方があると言います。人生も同じで、この人生しかないという人は、状況が悪くてもやめられません。
一方、複数の種類のキャリアという手札があれば、その中から一番良いものを選び続けられるため、非常に有利になると話します。
だからこそ、なるべく点と線を増やしておく考え方がいいと締めくくります。
若いうちの体験に投資する意味
リスナーから「40を過ぎると若い頃の感度が得られず寂しい」という声が寄せられ、話は若いうちの体験の価値へと広がります。
けんすうは、若い頃のバカ騒ぎや初期衝動は年齢を重ねると得にくいとしつつ、音楽や美術への感動はむしろ経験を積んだ後の方が深まる面もあると話します。
そのうえで、Xで見かけた意見を紹介します。20代からコツコツNISAで積み立て、筋トレや節制を続けても、高齢になってから高級老人ホームで使うのは壮大な無駄ではないか、というものです。
けんすうはこれを抽象化し、金融資産は若いうちから貯めた方が有利な一方で、お金で買える体験は重要な「点」なのに投資されにくいと指摘します。
若い頃に無理して行った沖縄旅行やニューヨーク行きが良い経験になった実感を挙げ、その分の20万、30万を貯めていても大したリターンにはならないと話します。
若いうちから積み立てるほど有利だが、体験には回されにくい
お金で買える体験・経験は重要な点になるのに、投資されにくい
「日本人に生まれた」という手札を活かす
前日の対談で出た「今転職するとしたらどこか」という質問にも触れます。深津さんはアフリカで動物写真家、けんすうはナイジェリアでサンダルを作る会社、と答えたそうです。
その前提として、自分が持っているアセットを考えることが大事だと言います。日本人に生まれたことは、国ガチャで言えばSSランクを引いたようなものだという見方です。
日本は経済が発展しており、犯罪率が圧倒的に少なくて、戦争が80年間起きてない、紛争がない、徴兵とかもされない。
行政や警察に賄賂が不要で、健康保険もある。こうした条件を挙げ、日本という「超レアカード」をもっと活用して考えた方がいいと話します。
日本にいると周りに日本人が多く、この幸運を意識しづらいと言います。それでも、生まれの国の時点で有利なカードを引いているのに活かさないのはもったいない、というのがけんすうの見方です。
AIを使いこなす人が使っている「ソフト」
リスナーから、けんすうが自分のnoteをAIに学習させ、毎朝ニュースを読んで記事案を提案させている、という話に「どうやっているのかわからない」という反応があったことが紹介されます。
けんすうは、ChatGPTをブラウザやアプリのチャットとして使っている人から見ると、その仕組みが想像しづらいのは当然だと話します。
多くのAIを使いこなす人は、MacやWindowsに専用のアプリをインストールして使っていると説明します。
アプリを入れる利点は、許可した範囲でパソコン内のファイルを読めるようになることだと言います。指示をまとめたファイルを置いておき、それをもとに作業させられます。
さらに、ChromeやSafariといったブラウザを操作させることもできると説明します。ログイン済みのサイトで設定を変えるといった作業まで任せられるため、生産性が上がるのだと言います。
仕事の道具と昇降デスクへのこだわり
リスナーの「仕事でこだわっているアイテムはあるか」という質問に、けんすうはキーボードやマウス、スマホを挙げます。
特にGalaxy Fold8を高く評価し、折りたたみスマホにすると本を読む機会が増えると話します。本を買うかどうかより、読む時間を作れるかが成長に直結するという考えです。
机については、モジュール型でカスタマイズできる昇降デスクを使っていると言います。机の最適な高さは身長によって変わるのに、既製品では選べないと指摘します。
高さが合わない机を使うと体が歪み、呼吸が浅くなるなど影響が出る可能性があると話します。買い替えの少ない机だからこそ、昇降デスクへの投資は価値が高いという見方です。
体験は「そのタイミング」でしか得られない
話題は、けんすうが勧めていたゲーム「シュタインズゲート」のリブート版へと移ります。人生で面白かったゲームのベスト3に入ると語ります。
一方で、このゲームには当時のインターネットのノリやオカルト的な噂が色濃く反映されているため、今の人がやってピンとくるかはわからないとも話します。
ここからけんすうは、流行のエンタメはそのタイミングで見なければ意味がわかりにくい、という点を強調します。話題の映画やドラマも、当時の空気の中で見ることに価値があるという見方です。
この考えは、大学生の頃にハロープロのライブに通っていた経験にもつながります。後につんく♂と知り合った際、当時の現場の肌感覚を知っているからこそできる話があったと言います。
知識自体は後から取り戻せるんですけれども、その時にライブに行ってた、現場の肌感覚を知ってるみたいなものって、今からハマった人には出せない話なんですよね。
当時からいろいろやっておけば点がもっと増えただろう、という振り返りは、本編の「点が増える方」の話とも重なっています。
まとめ
この回のけんすうスピークは、キャリアで迷ったときに「点が増える方を選ぶ」という決断の基準を軸に、体験への投資や道具選び、AIの使い方までがリスナーとの質疑応答を通じて語られました。
- 大学院進学のように事前に調べきれず不可逆な選択は「判断」ではなく「決断」であり、その基準の一つが「点が増える方」を選ぶこと。
- 点がどうつながるかは予測できないため、どんな点を打つかより点の数を増やすことが重要だと考えられる。
- 手札が多いほどキャリアは有利になり、「これしかない」という状態が行き詰まりを生む。
- 若いうちの体験や、日本人であることといった手札は、後から取り戻しにくい重要な「点」になる。
- AIを使いこなす人はブラウザのチャットではなく、パソコンにインストールしたアプリを使っていることが多い。


