コロナ禍で相談が増えたリモートワークの実情
番組では働き方の制度を全4回で扱う企画がスタートし、第1回のテーマはリモートワークです。コロナ禍で一気に普及した言葉として取り上げられました。
アシスタントの安田さんが、リモートワークには良い点が多く浮かぶと話す一方で、吉田さんは相談が寄せられている現状を明かします。
コロナ禍になってこの言葉が普及して、社労士にもリモートワークの注意点とか、そういったところの相談が来てます。
良い点もあれば悪い点もある、というのが吉田さんの見立てです。そこでまず、経営者から見たメリットから整理していきます。
経営者から見たリモートワークの3つのメリット
吉田さんが最初に挙げたのは、求人の強さです。働く場所を限定しないため、採用の対象範囲が大きく広がると説明します。
東京にオフィスがある会社の場合、通常の出社型ではせいぜい関東圏の人しか通勤できません。しかしリモートなら、法的なハードルはあるものの全国、さらには全世界が採用圏になると言います。
満員電車に乗らずに済む点も、求人上の強みだと吉田さんは話します。従業員にとってのメリットでもあります。
私、経営者ですけど、満員電車に乗るの嫌いです。
2つ目のメリットは、通勤手当が浮くことです。通勤手当は通勤にかかる費用の実費を補填するものなので、在宅勤務になれば基本的にかからなくなります。
ただし吉田さんは、これは就業規則の規定次第だと補足しています。浮いたお金が賞与や昇給の原資になれば、従業員にとってもメリットになると話しました。
3つ目は、オフィス賃料が下がることです。全員が出社できる規模のオフィスを借りる必要がなくなり、固定費が下がるためそのまま利益につながります。
見えないからこそ起きる、労務管理のデメリット
一方で、新しい働き方だからこそのデメリットも複数あると吉田さんは指摘します。まず、目が行き届かないため教育や研修がしづらい点です。
さらに、どこから仕事が始まりどこで終わるのかが曖昧になりがちで、労働時間の管理が難しくなります。
プライベートのパソコンを使ったリモートワークについても、機密情報漏洩のリスクが高くなると注意を促します。吉田さんはこうした使い方を勧めていません。
そして、目が行き届かないことで不正が起きうる点にも触れました。働いているはずの時間に働いていない、という事態です。
朝タイムカード打刻して、YOUTUBE見て、昼寝して、夕方タイムカード打刻して、業務日報に適当なことを書いて、仕事するっていうこともできなくはないですよね。
こうしたデメリットをすべて潰し、対策をした上でリモートワークをするのが望ましいと吉田さんはまとめます。
「サボっているのでは」という相談にどう答えるか
実際に社労士のもとには、業務指示を出したのに進みが遅く、サボっているに違いないという相談が寄せられるといいます。
業務指示を出したけれども、あまりにも進むのが遅い。サボっているのではないか。
まずは何をしたのかを1時間単位などで細かく報告してもらいます。その記録があれば、この仕事はこんなにかからないよね、という会話ができるようになります。
吉田さんが強調するのは、最初から疑ってかかるのはよくないという姿勢です。仮に本来1時間で終わる仕事を4時間かけているなら、真面目な顔で伝え方を工夫すると言います。
4時間もかかるのはちょっと他の人と比べると長いので、1時間で終わらせる方法を一緒に考えましょうとか言って、上司と部下で面談して適正化を図っていく。
疑いから入るのではなく、記録をもとに上司と部下で面談し、業務を適正化していく。これが最初のステップだと語られました。
吉田さん自身の会社での運用と実感
吉田さんの会社である社会保険労務士法人ワンハートでも、リモートワークを推奨しています。現在はほぼリモートワークで、週1回の出社日以外は原則として自宅で仕事をする体制です。
吉田さん自身、オフィスまでドアツードアで片道1時間かかり、往復で2時間になります。毎日その時間が浮くことに、経営者としても働く人としてもメリットを感じていると話します。
運用面では、社労士の紙の業務が一定数残ることが課題です。そこで、パソコンでできる業務はデジタルで処理し、印刷して作業することをなくしています。
それでもどうしても残る紙の業務だけを、出社日にまとめて処理する形にしていると説明しました。
通勤時間がないことは、経営者にも従業員にも大きなメリットだと安田さんも共感します。大雪などで通勤ダイヤが乱れれば、会社に着いた時点で疲れてしまうこともあります。
天候とかに左右されないっていうのもリモートワークの強みです。
導入で「これだけは気をつけたい」ポイント
これから導入する会社、すでに導入している会社に向けて、吉田さんが挙げた注意点はシンプルでした。何をやってもらうのか、仕事を明確化することです。
リアルな職場では阿吽の呼吸で成り立っていた仕事も、リモートではそれができなくなり、指示出しが難しくなると指摘します。
そのため、この日の仕事はこれ、あなたの仕事はこれと明確化した上でリモートワークすることが重要になると語りました。
まとめ
リモートワークには求人の強さや固定費削減といった大きなメリットがある一方、労働時間管理や不正、情報漏洩といったデメリットもあります。吉田さんは、疑いから入るのではなく記録に基づく面談で適正化を図り、何より仕事を明確化することが成功の鍵だと語りました。
- 経営者側のメリットは、求人の強さ、通勤手当が浮くこと、オフィス賃料の低下の3点
- デメリットは教育や研修のしづらさ、労働時間管理の曖昧さ、情報漏洩や不正のリスク
- サボりが疑われる場合は、疑うのではなく細かい報告をもとに上司と部下で面談し業務を適正化する
- 吉田さんの会社は週1回の出社日を設け、紙の業務は出社日にまとめて処理している
- 導入で最も大切なのは、各人の仕事を明確化してから始めること




