十数年進まなかった機械化が、いま劇的に変わり始めた
今回のテーマは「任せることで増える薬剤師の責任」です。タスクシフト ── 業務の一部を、より適した職種や人・機械に移し替えること。医療現場では医師や薬剤師の負担を減らし、専門性を発揮させる目的で進められている。や機械化によって、薬剤師の業務を人やものに任せる機会が確実に増えている、とたいぞーさんは現場での実感を語ります。
振り返れば、たいぞーさんが薬剤師になった10年ほど前には、機械化が進むことで薬剤師の必要人数は減っていくと言われていました。
ただ、本人にとって機械化はむしろ歓迎するものでした。業務の負担が減れば、その分もっと患者さんに関われる時間が取れると考えていたからです。
しかし現実には、なかなか進まない状態が十数年続きました。それが今になって、ある種劇的に薬剤師の業務のあり方が変わってきていると感じているといいます。
特に増えているのが、機械化だけでなく、調剤事務スタッフに薬の取り揃えや在庫管理を担ってもらう場面です。
「任せれば楽になる」は半分正解で半分間違い
ここで、一つ誤解されやすいポイントがあるとたいぞーさんは指摘します。「薬剤師が仕事を任せると、薬剤師の仕事が楽になる、減ってしまう」という考え方です。
これは半分正解で半分間違いだといいます。確かに業務を任せれば、作業としての負担は減ります。
ただし、その分だけ薬剤師の責任はむしろ重くなる、というのが本人の見立てです。
その理由は、調剤事務スタッフが担ってくれた時間が、本来は薬剤師が使っていたはずの時間だからです。
薬剤師が使っていた時間が他の人の時間に変わるということは、その分「薬剤師はその時間を何に使うのか」が問われることになります。
空いた時間を何に使うか──価値が生まれる条件
もし任せた結果、余裕ができただけで終わり、患者への関わりが何も変わらないのであれば、本質的には業務をする人が変わっただけです。
それでは、調剤事務スタッフが業務を担ってくれた価値は何も生まれていない、担ってくれたことを生かしきれていない状態だとたいぞーさんは言います。
逆に、生まれた時間をうまく使い、患者さんにより深く介入して薬学的な視点で評価し、治療をより良くする関わりへ一歩踏み込む。その結果、患者さんが元気に過ごせるようになったり、薬が減ったりする。
そうなって初めて、タスクシフトに意味や価値が生まれるという考え方です。
つまり、薬剤師が仕事を任せるということは、生み出された時間をよりよく使わなければいけないという責任を引き受けることでもあります。
余裕ができただけで終わり、患者への関わりが何も変わらない。業務をする人が変わっただけの状態
生まれた時間で患者に深く介入し、薬学的に評価して治療をより良くする関わりに踏み込む
任せる側にも意味を──調剤事務スタッフの視点
もう一つ大事な視点として、たいぞーさんは任せられる調剤事務スタッフ側の見方を挙げます。
自分が仕事を担うことで薬剤師の仕事の質が上がり、患者さんが良くなっていく。その結果を実際に見るからこそ、薬剤師をサポートする意味を感じられるようになる、という考え方です。
もしそこが見えなければ、「自分は何のために薬剤師の仕事をわざわざ担っているのか」という疑問が生まれてしまいます。
もしここが見えなければ、自分は何のために薬剤師の仕事をわざわざ担ってやっているのかという疑問が生まれてきます。
だからこそ薬剤師が結果を出すこと、そこにかなり意識を向けて実践していくことが求められる。それがむしろ薬剤師たちの責任を引き上げることにつながる、とまとめます。
こうした視点を持ってチームとして連携し、薬剤師がチームの一員として働くことで、タスクシフトによる質は大きく変わっていくと語られました。
まとめ
タスクシフトや機械化で薬剤師の作業負担は減っても、それは責任がなくなることを意味しません。生まれた時間をどう患者のために使うかが問われ、その結果が任せる側の納得にもつながっていく、という一貫した視点が語られた回でした。
- タスクシフトや機械化で薬剤師の業務を任せる機会は現場で確実に増えている
- 「任せれば楽になる」は半分正解で半分間違い。作業は減っても責任は重くなる
- 任せて生まれた時間で患者に深く関わり、治療を良くして初めて価値が生まれる
- 薬剤師が結果を出すことで、サポートする調剤事務スタッフも意味を感じられる
- チームの一員として連携する姿勢が、タスクシフトの質を大きく変えていく


