なぜタスクシフトの議論は順番が逆になりがちなのか
今回のテーマは、薬剤師が育つのが先か、タスクシフトをするのが先か、という問いです。
たいぞーさんは、タスクシフトの議論を見ていると、どうにも順番が逆になっているケースが多いと感じていると話します。
よくあるのは、業務負担を減らそう、効率化しようという発想から入り、まずタスクシフトをして仕組みを整えようとするやり方です。
これでうまくいく場合もあるとしつつ、たいぞーさん自身は以前の会社でタスクシフトに取り組んだとき、この方法では難しいのではないかと感じたと振り返ります。
仕組みを先に整えると、なぜうまくいかないのか
タスクシフトを先行させるとうまくいかない理由として、たいぞーさんは薬剤師側の「その後」が定義されていない点を挙げます。
タスクシフトした後に何をするかが決まっていないと、業務が減って時間だけが空き、薬剤師はその時間を持て余してしまいます。
現場としても、これで本当にいいのかという空気になりかねません。
もう一つ起こりうるのが、タスクシフトへの抵抗です。
自分たちの仕事が奪われ、存在価値が薄くなるのではないか。こうした薬剤師の不安から、反対意見が生まれる可能性があると指摘します。
やることが見えていない状態で、今の仕事だけ減らされるようなことになると、それは抵抗したくなる気持ちも出てくるというものだと思います。
育成を先に置く:薬剤師が専門性を発揮できる土台づくり
だからこそ、たいぞーさんはタスクを減らすことよりも先に、薬剤師の専門性を教育し、力を発揮できる状態を作ることを先行させたと言います。
具体的には、薬学的な視点で患者を評価し、治療に対して専門性を持って介入する。その結果をフォローアップしながら、次の介入につなげていく関わりです。
こうした関わりの土台となる「薬学の専門性の活かし方」を薬剤師の中で教育していくことで、どこで価値を出せばよいかがわかるようになります。
すると、時間が生まれたときに、自分の能力を活かす先を見出せるようになる、という順番です。
先に業務を移して時間を空ける。その後の役割が未定義だと、薬剤師が時間を持て余し、抵抗も生まれやすい
先に薬剤師の専門性を発揮できる状態を作る。価値の出しどころが定まり、空いた時間の活かし先が見える
調剤事務を巻き込む:現場から生まれる前向きなタスクシフト
育成を先に置く効果は、薬剤師だけにとどまりません。
薬剤師が専門性を活かして患者に関わる姿は、業務が増える側の調剤事務にも大きな影響を与えるとたいぞーさんは話します。
自分たちにはできない仕事を薬剤師がしている姿を見ることで、調剤事務スタッフも「そうではない仕事を担うことが薬局全体の価値を高める」と、目の前の事象として理解できるようになります。
その理解があると、調剤事務側も前向きにタスクシフトへ向き合えるようになるという流れです。
さらに、調剤事務側から「もっとできることはないか」という感覚が生まれ、薬剤師側にも「任せられる仕事を任せたい」という思いが出てくると言います。
この双方の思いが一致することで、現場の中からタスクシフトを前向きに取り組んでいく空気感が醸成されていく、というのがたいぞーさんの見立てです。
薬剤師を育てる
専門性を発揮できる状態を先に作る
専門性を発揮する
薬剤師が患者に薬学的に関わる姿が現場に見える
調剤事務が理解する
自分たちの役割が薬局全体の価値を高めると納得する
双方の思いが一致
任せたい・担いたいが噛み合い、前向きな空気が生まれる
たいぞーさんは、この順番を守ることが、タスクシフトを本質を見失わずに定着させる上でとても重要だとまとめています。
まとめ
今回は、タスクシフトを「仕組み先行」ではなく「薬剤師の育成先行」で進めるべき理由を、たいぞーさんの経験から解説しました。順番を間違えないことが、現場での定着につながるという内容です。
- タスクシフトを仕組みから先行させると、薬剤師が時間を持て余し、抵抗も生まれやすい
- その後の役割が定義されていないことが、うまくいかない大きな要因
- 薬剤師の専門性を発揮できる状態を先に作ると、空いた時間の活かし先が見える
- 薬剤師が専門性を発揮する姿は、調剤事務の理解と前向きな姿勢を引き出す
- 「薬剤師が育つのが先、タスクシフトはあと」という順番が定着の鍵



