「今日、薬を飲んでなかった」という患者さんの声
薬局で血圧の薬を服用している患者さんと接していると、たいぞーさんはある場面によく出会うといいます。特に冬場など、血圧が高くなっているときに患者さんが話す内容です。
実は今日も朝、薬が無くて飲んでなかったねん
患者さんの多くは、寒さの影響もありつつ、今日血圧が高かったのは朝薬を飲まなかったせいだろうと考えて、こうした話を薬局でしてくれるのだろうと、たいぞーさんは受け止めています。
一見すると自然な結びつけですが、たいぞーさんはここで薬の効き方に立ち返って考えます。
すぐ効く薬と、じわじわ効く薬の違い
血圧の薬には、飲んですぐ体に働いて血圧を下げるタイプの薬もあります。一方で、血圧の薬の種類によっては効き方が異なるとたいぞーさんは説明します。
数日間じわじわと飲み進めていく中で、少しずつ体への働きを強めて作用していくタイプの薬があるのです。
飲んで体にすぐ働き、血圧を下げていく
数日かけて少しずつ体への働きを強めて作用する
後者のタイプを服用している人の場合、仮に今日の朝1回薬を飲まなかったとしても、体の中での薬の働きは理論上そんなに大きく低下することは考えにくい、とたいぞーさんは述べます。
だからこそ、血圧が上がっている要因として、その薬を飲んでいなかったことがどこまで影響しているのかには、疑問が出てくるといいます。
患者さんには判断しづらい部分を、プロとして見極める
薬を1回飲まなかったことが血圧上昇にどこまで関わっているのか。ここは患者さん自身が判断したり理解したりするのは少し難しい部分だと、たいぞーさんは考えています。
患者さんの状態に今薬がどういうふうに影響しているのか、薬の特徴も踏まえて見極めていく
患者さんの状態に薬がどう影響しているのかを、薬の特徴も踏まえて見極めること。それが薬剤師にできる関わりなのではないか、というのがたいぞーさんの見方です。
飲み忘れが原因でないなら、何が血圧を上げているのか
仮に朝の飲み忘れがあっても、それが血圧上昇に影響していないのであれば、血圧が上がっているのには別の理由があるはずだ、とたいぞーさんは話を進めます。
血圧は一過性にクンと上がることもあります。そのため、1回高かったことだけを取り上げて対策を打つほどではないかもしれない、とたいぞーさんは述べます。
ただし、高い状態がずっと続いている経過なのであれば、少し注意が必要だといいます。何かしら薬が体で働きにくくなっている要素があるのかもしれないからです。
たいぞーさんは、隠れているかもしれない要因をいくつか挙げます。
- 「今日の朝」と言っているが、実は定期的に飲み忘れが発生している
- 市販の薬をここ数日服用するようになっている
- 食べ物や飲み物が薬の効き方に影響している
薬によって影響するかどうかは様々なので、なぜ血圧が上がったのかという原因を丁寧に見ていく必要がある、というのがたいぞーさんの考えです。
医師は病気の視点、薬剤師は薬の視点で読み解く
血圧が上がった原因について、医師は病気の視点から、その人の病状の変化を捉えて判断していると、たいぞーさんは説明します。
一方で薬剤師は、同じ場面を薬の視点、薬学という観点で捉えます。薬の作用の変動が起こる要素がこの人に何か起こっていないかを、きちんと見抜いていくのだといいます。
病気の視点から、その人の病状の変化を捉えて判断する
薬学の視点から、薬の作用が変動する要素が起きていないかを見抜く
こうして薬剤師ならではの視点で治療上の課題を見つけていくことで、より良い治療を届けていくことができるのではないか、とたいぞーさんはまとめています。
今日の朝飲み忘れたということそのものより、血圧が高くなっている状態に影響しているのは何なのか。それを薬学的に読み解くために何を考えればいいのか。この放送がそのきっかけになればと、たいぞーさんは締めくくりました。
まとめ
血圧が高い原因を「今日の飲み忘れ」で片づける前に、薬の効き方の特徴に立ち返って考えることの大切さを、たいぞーさんが解説した回でした。
- 血圧の薬には、すぐ効くタイプと数日かけてじわじわ効くタイプがある
- じわじわ効くタイプなら、1回の飲み忘れが血圧上昇に与える影響は理論上大きくないと考えられる
- 高い状態が続く場合は、定期的な飲み忘れ、市販薬、食べ物や飲み物などの要因も考えられる
- 医師は病気の視点、薬剤師は薬の視点で原因を読み解き、治療上の課題を見つけていく



