実務実習の折り返しで、実習生は何を振り返っているのか?
たいぞーさんの薬局では現在、実務実習 ── 薬学部の学生が病院や薬局で約11週間ずつ行う臨床実習。年間を通じていくつかの期に分かれて実施されますの第3期の実習生を受け入れています。受け入れから1か月半ほどが経ち、実習は折り返しを過ぎて終盤に向かっているところです。
たいぞーさんによると、実習生は日々の服薬指導を通して、大学で学んだことが何の役に立つのか、薬剤師が何のために患者さんに関わっているのかを実践の中で学んでいるといいます。
たいぞーさんの薬局では、実習生が服薬指導で患者さんに直接関わった際には、その対応を振り返って整理するようにしています。口頭ではなく、レポートのような文章として書き起こしてもらう形です。
そのレポートを読むと、「薬のこういったことを説明できた」「本来説明すべきことを十分に説明できなかった」「この情報を聞き取れた」「聞きたかったのに、とっさに聞き取れなかった」といった振り返りが非常に多いと、たいぞーさんは感じています。
たいぞーさんは、この傾向は今回の実習生が特別なのではなく、多くの実習生に共通するものだろうと話しています。
「できた・できなかった」だけでは振り返りの意味が変わる
たいぞーさんは、行動の可否を振り返ること自体は間違いではなく、学びの1つとして意味があると認めています。そのうえで、アクションの先にあるものを見つめることが大事だと指摘します。
そのアクションの先にあるものということをきちんと見つめていないと、そのアクションを振り返ることの意義や意味ということは、大きく変わってしまうんじゃないかなというふうに思います。
たとえば「患者さんにこのことを伝えられた」と振り返ったとき、問うべきなのは、伝えたことで患者さんにどんな価値を届けられたのかという点だと、たいぞーさんは話します。
逆に「伝えられなかった」場合も、できなかったこと自体が問題なのではありません。伝えられなかったことで、患者さんに届くはずだったメリットが失われたのか、それともできてもできなくても大きなデメリットはなかったのかを見極めることが重要だとされています。
たいぞーさんによれば、この見極めによって、できなかった行動の重さや、次にできるようになる必要性が大きく違ってくるといいます。
説明できた・できなかった、聞き取れた・聞き取れなかったという自分のアクションを整理する
その行動で患者さんにどんな価値が届いたか、できなかったことで患者さんにどんなデメリットがあったかを見つめる
患者さんへの価値を見ると、大学での学びの意味が見えてくる
たいぞーさんは、患者さんに届けた価値を振り返ることで、薬剤師としての役割だけでなく、大学で学んでいることが医療の現場でどれほど価値を持つかにも気づけると話しています。
一方でたいぞーさんは、緊張しながら患者さんに関わる実習生が、自分の行動に目が行きがちになるのは最初のステップとして仕方がないとも述べています。行動の可否は一番わかりやすく、まず着目する点でもあるからです。
ただ、実習が半分を過ぎた今の時期には、そこから一歩進んで、行動の向こう側にある患者さんへの価値にも目を向けてほしいというのが、たいぞーさんの考えです。そうすることで、実習での学びはぐんと深くなると語られています。
指導薬剤師に届けてほしい視点
たいぞーさんは最後に、実習生を指導する薬剤師にも呼びかけています。学生の振り返りが自分の行動だけに留まっている場合は、その先にある患者さんへの価値に着目する視点を学生に届けてほしいという内容です。
(学生が)それができなかったこと、できたことで、その先にある患者さんの価値っていうのはどういうふうに変化したのかなという、患者さんに届けられている価値、そういったものに着目する視点をぜひ、学生にも届けていただく
たいぞーさんは、今回の放送がそうしたことを考えるきっかけになればと締めくくっています。
まとめ
実習生の振り返りは「できた・できなかった」に集中しがちですが、たいぞーさんはその先で患者さんにどんな価値が届いたかを見ることで、行動の重さや学びの意味が見えてくると語りました。
- 服薬指導の振り返りは、自分の行動の可否だけでなく患者さんに届いた価値まで見つめる
- できなかったことは、患者さんへのデメリットの大きさで次に改善すべき必要性が変わる
- 患者さんへの価値に目を向けると、大学での学びが現場で持つ意味にも気づける
- 指導薬剤師も、学生に価値に着目する視点を届けることが求められる


