鶏南蛮そばで乾杯、秋の晩酌のはじまり
五十嵐家の晩酌は、この回もレモンサワーでの乾杯から始まります。飲んでいるのは「こだわり酒場」のタコハイで、夫は「まあチューハイやな」と言いつつ、たまにはこういうのもいいと話しています。
オープニングのあと、夫は前回自分が突然雑談を振られた仕返しに、なぎさんに短い雑談をリクエスト。なぎさんが挙げたのは、その日に作った鶏南蛮そばでした。
あったかいおつゆに冷たいキンキンに冷やしたそばをつけて食べるっていう。この秋にぴったりなこの食べ方、めちゃめちゃ最高でしたね。
なぎさんによると、この鶏南蛮そばのつゆは、友達に教えてもらったインスタのリールを参考に作ったものだそうです。夫は「俺ら食事のこと話す機会多いよね」と笑い、なぎさんも「テーブルについてる時点で食事の話をしたくなる」と返しています。
お店で無言のままスマホを見るカップル、どう見える?
この回のテーマは「スマホ依存症」、つまりスマホ見過ぎ問題です。夫は一人のときならほどほどでいいと思っていたものの、結婚して子どもも生まれた今、スマホ時間をどう減らすかは多くの現代人に共通する大事なテーマだと考えて持ってきたといいます。
夫がテーマを考えるきっかけになったのは、ファミレスやカフェなどの飲食店でよく見かける光景でした。カップルが座るやいなや、二人ともスマホを出して無言で見続ける、という場面です。
ずっと無言でお互いスマホを見続けるって見たことない?
ところが、なぎさんは「そんなことある?」と驚きます。なぎさんは店内で他のお客さんをあまり見ないようにしていて、お店を眺めたり本を読んだりしているため、周りの様子にそもそも気づかないのだそうです。
実際、なぎさんは同じお店で何度か見かけた人から「ずっと話しかけたいと思ってました」と言われることが多いのに、相手のことはまったく覚えていないといいます。
一方の夫は、店内のインテリアにはあまり興味がなく、ふと人間観察をしてしまうタイプ。「あの二人はどういう関係だろう」と想像するなかで、ずっとスマホを見て会話のないカップルを勝手に心配してしまうそうです。
なぎさんはなぎさんで、本を置いて一呼吸したいタイミングに、隣の席の会話を「BGMとして面白いか」ノールックで確かめることがあると告白。夫からは「そっちのがちょっと悪趣味だわ」とツッコまれています。
夫婦のすれ違いを減らすために、スマホ依存を下げたい
夫は話を本題に戻します。お店でスマホを見ている人たちは、調べ事や仕事をしている可能性もありますが、多くは個人ごとに別々のことをしているのではないか、というのが夫の見立てです。
せっかく夫婦でカップルでね、来てるのに、お店に。なんか会話がなくて、なんかなみたいな、もったいないなとかちょっと思わないことはないわけよ。
夫婦二人はそういう場面が多いわけではないものの、夫は、お互いスマホを見ながらすれ違う時間ももったいないと感じています。だからこそ、スマホへの依存度を下げれば、いろんな意味ですれ違いは減るのではないか、というのがこの晩酌のテーマです。
単に俺がスマホを使う時間を減らしたいとか、そこではないんですよ。
夫が強調しているのは、個人の使用時間の話ではなく、夫婦やカップルという関係のなかでのスマホの話だという点です。
スクリーンタイムを見たら、意外と平均だった?
なぎさんから見て、夫は「結構スマホ触ってるな」という印象があるそうです。逆に夫から見たなぎさんも、スマホを手放して生活しているというよりは、そばに置いている方だと感じていて、夫の中では二人とも似たり寄ったりだといいます。
そこで夫は、お互いのスクリーンタイムを確認しようと提案します。夫の1日の平均は4時間41分でした。
はい、ここで面白くない事実が判明しました。
なぎさんはスクリーンタイム ── スマートフォンの使用時間をアプリ別や日別に記録・表示する機能。iPhoneなどに標準で搭載されており、使用制限の設定もできますを一度も確認したことがなく、そもそも計測が始まっていなかったことが判明。今日の記録は26秒とのことで、夫は「つまらんな」と苦笑しています。
代わりになぎさんが調べたところ、一般的な成人の平均スクリーンタイムは約3〜6時間。夫の4時間41分は意外と平均の範囲内でした。
夫は、仕事中もパソコンと並行してLINEやメッセンジャーをスマホで確認するため、スマホを覗きやすい働き方だと説明します。対してなぎさんは、午前は外来、午後は病棟でカルテやパソコンを触っているので、仕事中はほとんどスマホを開かないそうです。
なぎさんのスマホ時間は、夫の推計どおり2〜3時間くらいだろうとのこと。家にテレビがないので、朝のニュース、音楽やAudible、買い物メモ、予定の確認、帰宅後の動画まで、ほぼすべてをスマホで済ませているといいます。
逆に家でテレビを見ているような時間が、多分私にとってはスマホタイム。
暇が耐えられない「刺激依存」の正体
なぎさんは夫について、スマホはよく見ているけれど本もたくさん読んでいて、メリハリがあると見ています。ただ、Xと漫画を中心に「めっちゃ見てるよね」とも。
なんかでもこれはね、やっぱこう刺激依存症みたいなとこあって。なんかこう、情報に触れてないと、なんかこう退屈になっちゃうみたいな。
夫自身もそれを自覚しているので、なるべく見ないようにしていて、23時ごろからはスリープモードで通知が鳴らないように設定しているそうです。それ以上減らすべきかは悩むところで、実害はまだそこまで出ていないと話しています。
唯一の問題として挙がったのが、夫の「トイレが長い問題」。夫は、トイレの長さは世の妻から夫への文句ランキングに入る定番だと言いますが、なぎさんからは「一般化して自分の罪を軽くしようとしてるな」と鋭いツッコミが入ります。
スマホをこのリビングで見てるとちょっと目立つし、なんかしなさいよって言われたくない世の夫たちは、トイレだとようやくこう落ち着いてスマホ見れるみたいな。
夫は、トイレは昔から新聞や漫画を読むプライベートタイムだったとも話し、スマホに限らず「手持ち無沙汰恐怖症」のような感覚が根っこにあると分析しています。
ボーッとできる人、発狂しそうになる人
暇の感じ方について、夫婦の違いがはっきり表れます。なぎさんは「お香の煙を見ていたら十分」というタイプですが、夫は手持ち無沙汰な時間がとにかく苦手で、サウナも無理だといいます。
寝かしつけについても対照的です。なぎさんは以前はイヤホンでラジオやAudibleを聞いていましたが、体調を崩したこともあり、最近は無音で子どもと一緒にボーッとするようになったそうです。夫は寝かしつけ中にボーッとできないといいます。
ただし夫も、すべての「無」の時間が苦手なわけではありません。美容院のシャンプータイムや映画、音楽を聴きながらの運転など、没頭できる時間は大好きだと話しています。
つまらない会議とかマジで発狂しそうになる。何もスマホも見れない、何かやっちゃう、飲み物も飲んじゃいけない会議とか、本当に発狂しそうになる。
高校や大学の授業はどうしていたのかと聞かれると、夫の答えは「寝てた」。つまらない環境では起きていられないのだそうです。ちなみに夫はガラケーで大学時代を過ごし、iPhoneを買ったのは国家試験の直前だったといいます。
お店や電車でスマホを出さない、なぎさんの流儀
なぎさんは、刺激を求めてスマホを見ているわけではなく、手持ち無沙汰や単純に面白いから見ているだけだといいます。ただ、スマホは目も脳も疲れるので、家を出たらなるべく使いたくないそうです。
そのため、なぎさんは一人で外出するときは本とイヤホンを持ち歩き、小説やラジオを耳から聞くか、お店では本だけを開くようにしています。
根本的には私なんかスマホが、スマホというこのなんかデバイス自体がお店の雰囲気を壊すと思ってて。邪魔だなって、景観の邪魔だなって思っちゃうのよ。
なぎさんによると、チェーン店ならまだ気にならないものの、行きつけの個人店やこだわりのお店のカウンターでスマホを出すと、自分で「景観を乱すな」と思ってしまうそうです。夫は立派なフレンチなら分かるとしつつ、なぎさんは普段のお店でもその感覚だといいます。
夫は少し違う角度から共感します。スマホを使いすぎる自分がそもそも好きではない、という美学の話です。
本読んでる自分とか新聞読んでる自分は好きだけど、スマホになんかのめり込んでる自分とか、それこそゲームめちゃめちゃやっててとか、そういうのは好きじゃない。
夫は、歩きスマホで危ない目に遭うような姿は「かっこいい大人」とは思えないと話し、なぎさんも電車やお店でスマホを開くのは「風情もないし、かっこよくない」と同意しています。
スマホに逃げないと、出会えるものが増える
なぎさんにとって、お店は会話を楽しむ場所です。一人のときは、隣の人の会話を聞くか、お店の人と話すか、本に没頭するか、食事を満喫する。スマホに「逃げる」ことはしないようにしているといいます。
なのに、なぜか知らんけど本読んでたら基本みんな話しかけてくるのよね。なぜか。本はみんな気にしないらしい。
スマホを触っている人には基本的に誰も話しかけませんが、本を読んでいると、お店の人からも隣の席の人からも声をかけられやすいそうです。なぎさんは、スマホを触らない方が見えるもの、味わえるもの、出会えるものが多い気がすると話しています。
景観や風情を乱し、話しかけられにくい
味わえるものが変わり、お店の人や隣の人から話しかけられやすい
依存症の一歩手前?幸福から遠ざかる感覚
夫は、日常生活や仕事に支障をきたすかどうかが依存症の目安としてよく言われると前置きし、自分は「一歩手前でギリギリ」だと話します。なぎさんは、意識して自分でコントロールできているうちは依存症ではないと思う、と返しています。
あんまりこう幸福に近づいてる感じはしないよね。スマホ時間を増やすほど。むしろちょっともう少し三分の一ぐらいは減らした方がいい気もする。
とはいえ、夫にとって悩ましいのは、減らしたスマホ時間を何に置き換えるかです。なぎさんに「ゆうちゃん趣味がスマホだもん」と言われ、夫は自分を「悪く言うと落ち着きがない人間」で、落ち着かせる刺激が欲しいのだと認めています。
なぎさんが「代替手段は本でしょ」と言うと、夫も新聞や音声などがあると気づきます。代わりになるものは、実はちゃんとあるようです。
依存先を増やす、そして「没頭」できるものを持つ
ここでなぎさんが紹介したのが、依存症を専門とする精神科医・松本俊彦先生の話です。依存先はたくさんある方がいい、という考え方です。
なぎさんは、夫はXにも依存しているけれど、会話や晩酌、本、新聞、noteのブログ、ゴルフなど、ほかにも依存先がたくさんあるので、そこまで心配はしていないといいます。心配なのは目が悪くなることくらいだそうです。
スマホを手放して、何かに没頭してる時間を増やすことが自分の幸せにつながるような気がするって思ってる。
夫のこの言葉を受けて、なぎさんは「依存というか、その没頭だね」と言い換えます。旅行中はほとんどスマホを触っていないことも思い出し、依存しすぎないためには没頭できるものを増やすという方向に話がまとまっていきます。
中途半端な面白さが、スマホを呼び込む
夫は、ドラマの『VIVANT』のように面白い作品ならスマホを見ないのに、つまらないドラマやバラエティだとすぐスマホを触りたくなると話します。なぎさんも、バラエティは没頭とは違って「ながら見」できてしまう、と同意しています。
なんかあの中途半端なのってよくないよね。そんなに面白く、なんか本当に面白いものでもないから、別のなんかより、より刺激の強いものを見たくなるっていうか。
夫によれば、最近のドラマはとにかく飽きさせない作りにしないと、自分のような「令和男子」はすぐ別のものを見てしまうそうです。
一方のなぎさんにとっての没頭先は日記。1日を無になって振り返る時間が好きだといいます。夫も瞑想のようなものは本当はいいと認めつつ、筋トレ中はトレーナーさんと筋肉と「会話」するのでスマホを手放せていると話し、なぎさんに「意外とあるじゃん、没頭先」と言われています。
それでも夫はもう少し没頭先を増やしたいそう。体を動かしたいという夫に、なぎさんは子どもが生まれる前によくしていた夫婦の夜の散歩を思い出します。ひたすら歩きながら会話する時間はスマホを触らないので良かったと二人は振り返り、子どもがいない家庭には朝や夜の散歩がおすすめだと話しています。
隙間時間を埋めるほど、没頭できる時間が消えていく
夫は話を振り返り、スマホは没頭できないときの「逃げ道」であり、悪く言えば「人生の惰性の象徴」、そして隙間時間に侵入してくるものだと表現します。「悪く言い過ぎか」と笑いながらも、核心をついた見立てです。
なぎさんは、没頭するにはまとまった時間が必要なのに、まとまった時間が取れない人ほどスマホでリフレッシュを求めてしまう、と指摘します。夫も、1〜2分で見られるショート動画が隙間時間の可処分時間まで奪いに来ると話しています。
まとまった時間が取れない
没頭するにはある程度の時間が必要
スマホでリフレッシュ
ショート動画などで隙間時間を埋める
時間が細切れになる
食後にスマホ10分、食器洗い10分、またスマホ10分
没頭できる時間が消える
さらにスマホに頼る
夫は、家事などをまとめて済ませればまとまった時間が取れるのに、スマホと家事を10分ずつ行き来するうちに時間が細切れになってしまう、と具体例を挙げます。そして、スマホが隙間を埋めることで没頭の時間を奪っているという見方を「結構真理だね」と受け止めています。
最後になぎさんは、リスナーにも「没頭できるおすすめのもの」をお便りで教えてほしいと呼びかけ、この晩酌は締めくくられました。
まとめ
スマホ見過ぎ問題の答えとして夫婦がたどり着いたのは、ただ我慢することではなく、スマホを忘れるくらい没頭できるものを増やすこと。隙間時間をスマホで埋めないことが、没頭の時間を取り戻す第一歩になりそうです。
- お互いにスマホを見ながら過ごす時間は、夫婦やカップルのすれ違いにつながると夫は感じている
- 夫は情報に触れていないと退屈になる「刺激依存」を自覚し、通知制限などで工夫している
- なぎさんはお店や電車ではスマホを出さず、本や会話を楽しむことで出会えるものが増えると話す
- 依存先を複数持ち、日記・筋トレ・散歩など没頭できる時間を増やすことが大切
- スマホで隙間時間を埋めるほど、まとまった没頭の時間が失われる悪循環が生まれる





