在宅患者の入退院と、始めた一つの取り組み
たいぞーさんが勤める薬局は、在宅医療に積極的に取り組んでいる店舗です。現状でも約100名近くの患者さんに、在宅医療の中で関わっているといいます。
在宅療養されている患者さんは、体調が万全な方ばかりではありません。体が弱っている方も多く、入退院を繰り返すケースがあると話されています。
熱を出して肺炎を引き起こしたり、思わぬ状態の悪化や新たな疾患の発症も起こります。その都度入院し、回復すればまた自宅に戻る、という流れを繰り返しながら関わっていく仕事です。
そうした中で、たいぞーさんが最近意識して行っている取り組みが、入院時のサマリー作成です。
服用している薬剤の変遷や、直近で変更があればなぜ変更になったのか、今なぜこの薬を飲んでいるのかといったことをまとめ、病院に情報提供しています。
なぜ薬剤師同士で情報をやりとりするのか
外来の患者さんの場合、こうした情報提供は医療機関からの求めに応じて行うことで、調剤報酬上の評価につながるものでもあります。
一方で在宅医療においては、この情報提供は患者さんに継続的に関わる中の一環として行う業務になっている、とたいぞーさんは捉えています。
現状では、この取り組みに対する具体的な評価は設けられていません。それでも取り組む理由として、入院先の薬剤師の視点を挙げています。
病院に入院すると、なんでこの人この薬飲んでんねやろう、きっと病院の薬剤師の方も気になるというか、経過を見ていく上で情報がないことは困ることなんじゃないかなと思って
医師からも情報は共有されますが、たいぞーさんは薬剤師同士でやりとりする意義を強調します。同じ専門性を持つ者同士のほうが、必要な情報を理解しやすいという考えです。
医師の情報提供は病気をみる側面で語られますが、薬剤師同士の言語で語るという点に、薬剤師が情報提供する意義があるのではないかと話されています。
ただし調剤報酬上で評価される項目ではないため、比較的短い時間で端的に取り組むことも、全体を考えれば必要だと述べています。
サマリー作成は「日々の関わり」の結果発表
短時間で端的にまとめるうえで重要になるのが、日頃どのように患者さんに関わっているかだ、とたいぞーさんは指摘します。
むしろ入院を機にサマリーをまとめる作業が、自分たちがこれまできちんと患者さんに向き合えていたかを振り返るきっかけになるといいます。
今まできちんと自分たちが患者さんに向き合えていたのかなということを、ある意味、結果発表じゃないですけど、そういった今までの成績というか、患者さんへの関わりを改めて振り返るきっかけにもなる
直近の経過をまとめて共有するため、まず直近の状態を把握していなければ情報をまとめられません。経過的にこの人に関われているかが、一つの着目点になります。
さらに、単なる情報の羅列なら薬剤師がわざわざ文章を書いて送る必要はありません。そこにきちんと見立てがあることが重要だとしています。
日頃から薬学的な観点で見立てて介入していれば、直近の情報を転記するだけで済みます。しかしそれができていないと、入院を機に患者さんを見立て直す必要が出てきます。
書く時間が教えてくれる、日々の関わりの質
見立て直しが必要になると、さっと文章をまとめて情報提供することは難しくなり、時間を要することにつながります。
だからこそ、日々患者さんを薬学的な観点で継続的に見ているかどうかで、サマリー提出時の労力は大きく変わってくる、とたいぞーさんは話します。
うまく関われていればサクッと書けるし、時間がかかるなら、その患者さんへの関わりを見直す機会になる。ある種の結果発表として捉えているといいます。
この視点は在宅だけでなく外来にも広がります。手術で一泊二日入院すると話してくれる外来患者さんについても、サマリーを書くことで関わりを振り返る機会になると述べています。
学生向けイベントとバイタルサイン講習会の告知
最後に2つの告知が紹介されました。1つは、学生向けのオンラインイベント「Tricon」です。
9月26日の土曜日15時から17時に開催され、学生が現場の薬剤師と一緒に症例検討を行う内容です。参加費は無料とのことです。
大学で学ぶ薬学の専門知識を現場でも使うことを体感し、実際に使ってみることで科目間のつながりを理解し、学びの定着や意欲につなげてほしいという狙いが語られました。
もう1つは、日本在宅薬学会のバイタルサイン講習会です。10月25日の日曜日に兵庫県姫路市で開催され、収録時点で残り1枠となっていました。
バイタルサインの手技を学ぶとともに、薬剤師として専門性を活かして患者さんに関わる方法を学びたい方に勧められています。
まとめ
入院時のサマリー作成は、単なる情報提供にとどまらず、日々の患者さんへの関わりを映す鏡のような役割を持つ、というのがこの回の中心でした。
- たいぞーさんの薬局は在宅医療に積極的で、入退院を繰り返す患者さんに継続的に関わっている
- 入院時のサマリーは、薬剤師同士の言語で情報を伝える意義があると考えられている
- 直近の状態把握と薬学的な見立てがあれば、サマリーは転記するだけで済む
- サマリー作成にかかる時間は、日々の関わりの質を映す「結果発表」になりうる
- この視点は在宅だけでなく、外来の患者さんへの関わりの振り返りにも応用できる


