外来患者にも退院時カンファレンスは必要か
この回のテーマは、外来で薬局に通う患者さんの退院時カンファレンスに、薬局の薬剤師が参加することの意味です。たいぞーさんは、在宅医療や外来対応、社内の新人育成に携わる現場の薬剤師として、この話題を取り上げています。
たいぞーさんの説明では、退院時カンファレンス ── 入院患者の退院前に、病院の医師・看護師などと、退院後に関わる在宅医・訪問看護・ケアマネジャー・薬剤師などが集まって行う話し合いのことですは、退院する患者さんが自宅で生活を続けるために、今後関わる介護職や医療職が病院に集まり、計画を立てたり現状を共有したりする場です。
退院時カンファレンスの対象は、一般的には在宅医療を利用する患者さんです。薬局もそうしたケースで呼ばれることが多く、薬剤師は薬の管理方法や服用薬・用法の調整といった薬剤面から、自宅での生活の体制を整えていきます。
じゃあ外来で来られる患者さんは(退院時カンファレンスが)不要なんかというと、そういうことでもないのかなということを思います。
たいぞーさんによると、外来の患者さんでもヘルパーやデイサービスなどの介護サービスを使っている方は多くいます。薬局に薬を取りに来るのは家族で、実際の自宅には訪問看護を含むさまざまな職種が入っているケースもあるといいます。
気づいた薬剤師が在宅移行を提案する
たいぞーさんは以前から、外来患者でも退院時カンファレンスに薬局が参加する意義は大きいと考えていました。ただ、理想として思い描くだけで、病院に働きかけるような行動はできていなかったと率直に話しています。
そんなとき、ある薬局が外来患者の退院時カンファレンスに参加したという話を耳にします。たいぞーさんはこれを先進的で価値ある取り組みと受け止め、自分にその機会が巡ってきたらどう関わればよいかを考えてみることにしました。
たいぞーさんが挙げるポイントは大きく2つです。1つ目は、入院を機に在宅医療が必要かどうかを薬剤師が見極め、必要なら提案するという視点です。
外来で薬を取りに来ていた患者さんでも、入院の理由によっては、退院時に状態が急に悪くなっていたり、動けなくなっていたりすることは珍しくありません。そうなると、薬局が在宅で関わる必要が生まれます。
他の職種の方が、これは薬局さんに介入してもらった方がいいなという風に、必ずしも気づいてくれるとは限らないという風に思います。
たいぞーさんは、在宅医療で薬局が提供できる価値を一番理解しているのは、実際に介入する薬剤師自身だと考えています。だからこそ、必要だと思ったら薬剤師が主体的に薬局からの在宅介入を提案する姿勢が大事だといいます。
カンファレンス当日だけでは足りない理由とは
2つ目のポイントは、退院時カンファレンスの場だけで患者さんとの関わりどころを作ろうとしないことです。たいぞーさんは、カンファレンス当日だけでも価値があることは揺るぎないとしたうえで、より良くするには入院前や入院直後から薬局が介入することが大事だと話します。
入院前や入院直後に薬局ができる関わりとして、たいぞーさんは患者さんの情報を病院に伝えることを挙げています。伝える中身は、外来での経過、薬の服用状況、どこの病院からどんな薬をどのようにもらっているか、といった情報です。
さらに、薬剤師が外来でどんな視点で患者さんに介入し、薬物治療をどう見ていこうとしていたか、今後どう関わるつもりだったかという「介入の視点」も共有の対象です。
介入の視点を入院先の病院と共有しておけば、病院は入院中にそれを踏まえて関わってくれるかもしれません。加えて、退院時カンファレンスに呼ばれた際に、外来での計画が入院中にどうなったかという経過を追えるようになるといいます。
たいぞーさんは、こうした関わりによって退院後の支援に連続性が生まれると話しています。外来から入院、退院、そして再び外来へと続く流れを整理すると、次のようになります。
外来
服用状況や経過を把握し、介入の視点を持って関わる
入院前・入院直後
経過・服薬状況・介入の視点を病院に共有する
退院時カンファレンス
外来の計画が入院中にどうなったかを追い、在宅の必要性も見極める
退院後
外来や在宅での支援を、途切れずに続ける
この流れの中で、薬局の薬剤師が患者さんの薬物治療を途切れなく見守り続ける。
たいぞーさんは、入院段階から薬剤師が関わることは、退院時カンファレンスの質を上げるうえでもとても重要なポイントだとまとめています。
報酬がなくても積み上げる意味
たいぞーさんによると、退院時カンファレンスへの薬局の参加は、調剤報酬 ── 薬局が調剤や薬学的管理などのサービスに対して受け取る報酬で、国が定める点数で評価されます。定期的に改定されます上では在宅医療を利用する患者さんに限って評価されています。外来患者の場合、直接評価される報酬はありません。
それでも、先進的な薬局が患者さんの価値を思って介入を続け、成果を出せば、後から評価されて報酬化されていく。たいぞーさんは、そうした変化はこれまで調剤報酬の中で何度も起きてきたと話します。
先進的な取り組み
報酬がなくても、患者さんの価値を思って介入を続ける
成果
介入の積み重ねが成果として表れる
評価・報酬化
後から調剤報酬で評価されるようになる
評価がつきましたというその翌日から急にじゃあカンファレンスに呼ばれるようになるかというと、そういうわけではないと思います。
たいぞーさんは、評価される前の段階から病院と信頼関係を築き、患者さんに関わっていくことが大切だと強調します。報酬とは関係なく日々積み上げることが、評価されたときに日の目を見ることにもつながるという考えです。
こうした関わりは、将来の薬剤師の役割の方向性を形作る土台にもなる、とたいぞーさんは見ています。たいぞーさん自身も、ある薬局の事例を聞いて、自分も一歩踏み出せないかを考えさせられたと締めくくりました。
まとめ
たいぞーさんは、外来患者であっても退院時カンファレンスに薬局が参加する意義は大きいと考えています。在宅移行を薬剤師が見極めて提案すること、そして入院前から情報を共有して支援を途切れさせないことが、カンファレンスをより良い場にするポイントです。
- 外来患者にも介護職や訪問看護など多職種が関わっていることがあり、退院時カンファレンスに薬局が入る意義はある
- 退院後に生活が変わるタイミングは支援を見直すチャンスで、在宅医療の必要性は薬剤師が主体的に見極めて提案する
- 入院前・入院直後から服薬状況や介入の視点を病院に共有すると、退院時に経過を追え、支援に連続性が生まれる
- 報酬で評価される前から病院との信頼関係を積み上げることが、将来の薬剤師の役割の土台になる



