宝探しのようなゴミ拾いで、薬のゴミに出会う
たいぞーさんは、地域で開催されているゴミ拾いのボランティア活動に、時々参加しています。この活動は長く続いていて、5年ぐらい前から続けているといいます。
街の中でゴミを拾うのは、たいぞーさんにとって宝探しのような感覚だそうです。ゴミを見つけて拾っていくのを、いつも楽しみながら参加していると話します。
ゴミを見つけて拾っていくのは、なんか宝探しをするような感じで、いつも楽しみながら参加させてもらっています。
タバコなどさまざまなゴミが街中に落ちている中で、時々「薬のゴミ」も見かけるといいます。胃薬のアルミのPTPシートのガラや、糖尿病薬が落ちていることがあるそうです。
薬局では見えない、患者が薬を飲む場所
たいぞーさんは、こうした薬のゴミを見かけると、薬局で薬を渡す中では気づけない患者の生活の風景に触れられていると感じるそうです。
薬局で薬を渡して情報を聞くやり取りの中では、その人がいつどこで薬を飲んでいるのかまで思い至らないことも多いといいます。たいぞーさんは、たいていは家で飲んでいるのだろうと想像しながら対応することが多いと話します。
けれど、よく考えると事情は違ってくると気づかされたそうです。普段仕事をしている人は家にいる時間のほうが短いため、家ではなく街中で薬を飲むこともあるはずだと、ゴミを通して感じたといいます。
たいぞーさんは、患者さんの生活背景をきちんと捉えながら関わることの大切さに、この活動を通して改めて気づかされたと語ります。
薬を渡し、情報を聞くやり取り。飲む場所までは思い至らず、家で飲んでいると想像しがち
家にいる時間が短い人は、街中で薬を飲むこともある。生活背景が具体的に浮かぶ
風邪薬が箱単位で捨てられている光景
ゴミ拾いでは、市販薬の風邪薬や栄養ドリンクがポンと落ちていることもあるそうです。たいぞーさんは、体調が悪い人がいるのかなと思いながら拾うこともあると話します。
ただ、風邪薬のゴミには気になる捨てられ方があるといいます。1回分のゴミではなく、箱単位で2〜3個まとめて捨てられていることがたまにあるそうです。
たいぞーさんは、これをニュースで話題になっている問題と結びつけます。市販薬を一気に大量に服用し、副作用で起こるふらつきや意識がぼんやりする感覚、気分が高揚する感覚を目的とする、薬の不適正な使用です。
こうした使い方はオーバードーズ ── 医薬品を定められた用量を超えて過剰に摂取すること。市販薬で意図的に大量服用するケースが近年問題視されていますというキーワードで、ニュースでも取り上げられていると説明します。特に若い世代の学生が手を伸ばしてしまうことが課題になっているそうです。
身近にある問題と、学校薬剤師としての向き合い方
たいぞーさん自身の薬局では、そうした購入希望者に出くわすことはあまりなく、テレビで見ても、どこか他人事のように感じていたところもあったといいます。
けれど、実際に街中で薬が箱単位で落ちているのを見ると、見方が変わったそうです。案外自分の身近なところでも、こうした問題が発生しているのかもしれないと感じたと話します。
実際街中でそういった薬が落ちているのを見ると、実は案外自分の身近なところでもそういった問題というのは発生しているのかもしれないな。
たいぞーさんは、自分の薬局にそうした子が買いに来たとき、自分はどう対応するかと思いを馳せながらゴミ拾いをすることもあるといいます。
さらにたいぞーさんは、今年から学校薬剤師として、学校の衛生環境管理などに関わる仕事を始めようとしているそうです。その中で、薬の適正使用に関する授業を頼まれることもあると聞いているといいます。
たいぞーさんは、そうした場でオーバードーズの問題を学生にどう伝えるか、また自分の子供にどう啓発するかを、しっかり向き合って考えないといけないと語ります。
まとめ
たいぞーさんは、地域のゴミ拾いで拾う薬のゴミを通して、薬局のカウンターでは見えない患者の生活や、身近に潜む社会問題に気づいたと語りました。薬に関する社会の問題が、気づかないうちに身近に存在していることに気づくきっかけになればと締めくくっています。
- 地域のゴミ拾いで拾う薬のゴミは、薬局では見えない患者の生活の風景を映し出す
- 家にいる時間が短い人は街中で薬を飲むこともあり、生活背景を捉えて関わることが大切
- 風邪薬が箱単位で捨てられている光景は、オーバードーズという社会問題と地続きになっている
- 薬に関する社会の問題は、気づかないうちに自分の身近に存在している



