患者がよく口にする「強い薬」という言葉
薬局で患者さんの対応をしていると、たいぞーさんは「この薬ってなんか強いんやろう」「あれよりもどうなんやろう」といった質問をよく受けるといいます。
薬の強い弱いを説明することはもちろん大切です。ただ、たいぞーさんはその前に押さえておくべきポイントがあると、いつも注意しているそうです。
薬局で患者さんの対応をしていると、この薬ってなんか強いんやろうとか、あれよりもどうなんやろうみたいなことをよく聞かれることがあります。
そのポイントとは、患者さんの言う「強い」が、必ずしも一つのことを意味するわけではないという点です。ここが情報を伝えるときの注意点になると、たいぞーさんは考えています。
「強い」という一言に隠れた3つの意味
たいぞーさんは、患者さんが使う「強い」という言葉に、大きく3つの意味が隠れていると説明します。
1つ目は、薬の効果への期待です。症状をより改善してほしいという気持ちから、その薬の効果の面を確認したくて「強い」という言葉を使っている場合があります。
2つ目は、副作用への不安です。「この薬って強いんでしょ」という言葉の裏に、副作用が強くて飲んでも大丈夫なのかという戸惑いが隠れているケースがあります。
3つ目は、他の薬との比較です。患者さんがある特定の薬剤をイメージしていて、その薬と比べてどうかを知りたくて「強い」という言葉を使っている場合もあります。
効果の面
症状をより改善してほしいという、薬の効果への期待を確認したい
副作用の面
副作用が強くて飲んでも大丈夫かという不安を確かめたい
比較の面
頭にある特定の薬と比べてどうかを知りたい
同じ「強い」という言葉でも、患者さんが本当に知りたいことは、このように大きく分かれています。
薬剤師と患者で「強い」の意味がずれると何が起こるか
大事なのは、薬剤師の思う「強い」と、患者さんの思う「強い」が一致しているかどうかだと、たいぞーさんは指摘します。一致していれば問題はありません。
ただ、複数の意味を含む言葉は、どうしても認識の齟齬 ── 同じ言葉を使っていても、話し手と聞き手で意味の受け取り方がずれてしまうこと。ここでは薬剤師と患者が「強い」に別の意味を込めている状態を指しますが生じやすくなります。
患者さんと薬剤師の「強い」がずれてしまうと、話が食い違ったり、患者さんに間違った薬の認識を与えてしまうことにつながります。
たいぞーさんは、こうしたずれが薬物治療を大きく阻害したり、治療の継続を損なうことにもなると話します。
言葉を揃えることが、伴走のスタートになる
たいぞーさんが目指すのは、薬学の専門性を最大限に生かして、患者さんの治療を経過的に見ながら関わっていくことです。
ところが「強い」の意味がずれたままだと、スタート地点でボタンの掛け違いが起こってしまいます。そうなると、いくら専門的な視点で患者さんを見ようとしても、その力は十分に生かされません。
だからこそ、初歩的に見えても、患者さんときちんと言葉を揃えることが大切だと語られます。患者さんと言葉を揃えることが、伴走のスタートを切ることにつながるという考え方です。
せっかくの力というのが生かしきれないということになってしまいかねない。
たいぞーさんは、この放送が患者さんとの言葉を揃えることの重要性に気づくきっかけになればと締めくくっています。
まとめ
患者さんの「この薬って強いんでしょう?」という一言には、効果への期待、副作用への不安、他の薬との比較という複数の意味が隠れています。まずその意味を揃えることが、薬剤師が患者さんに伴走していくスタートになるという回でした。
- 患者さんの言う「強い」は、一つの意味とは限らない
- 「強い」には、効果への期待・副作用への不安・他の薬との比較という3つの背景がありうる
- 薬剤師と患者で「強い」の意味がずれると、話の食い違いや誤った薬の認識につながる
- 認識の齟齬は薬物治療の阻害や治療の中断を招きかねない
- 言葉を揃えることが、患者さんへの伴走を始める第一歩になる



