改定は「薬剤師の視点」を変えるのか
たいぞーさんはまず、調剤報酬改定の話題から入ります。もうすぐ改定内容の告示が出る時期で、これから業務をどう見直すか考えている人も多いだろう、と現場の空気に触れます。
今回の改定について、たいぞーさんは薬局の枠組みという点で新しい仕組みが生まれてきていると感じています。ただ、注目しているのはそれだけではありません。
仕組みが変わることで、薬剤師が業務に向き合う態度や視点そのものが変わる可能性があると話します。仕組みが変わると、薬剤師の業務への向き合い方まで変わっていくという点に、現場の薬剤師としての面白さを見ています。
調剤事務は「もともといなかった職種」だった
薬剤師の働き方が変わるという話から、たいぞーさんの関心は薬局で働く調剤事務スタッフへと移ります。薬剤師の役割が変われば、事務スタッフの形も新しい時代に合わせて変化していくのではないか、という問いです。
ここでたいぞーさんは、意外な指摘をします。調剤事務という職種は、もともと薬局に存在していなかったというのです。
もともと調剤事務っていうのは、薬局の業務の中で役割を担う人としては、もともといなかった職種だろうなというふうに思います。
昔の薬局は、小さな小売りの商店という形態でした。そこで薬剤師が勤務し、OTC薬品や日用品を販売するような業務形態だったころは、いわゆる調剤事務のようなスタッフはいなかったといいます。
調剤事務という仕事が生まれたのは、薬局が保険調剤を担うようになってからのことです。様々な業務を行うにあたって、薬剤師以外のスタッフが必要だと業務の中で見えてきたことで、この職種が生まれてきたのではないか、とたいぞーさんは整理しています。
手書きの薬袋、紙のカルテを支えた事務スタッフ
調剤事務は、この30〜40年ほどの間に生まれてきた職種だとたいぞーさんは説明します。仕事の中身も、時代とともに大きく変わってきました。
最初のころは、プリンターの技術が今ほど発達していなかったため、お薬の薬袋を手書きで書かなければなりませんでした。そのため、機材のサポートといった役割が事務スタッフにありました。
薬歴の管理も、今とはまったく違う形でした。今でこそ電子薬歴で患者さんのデータをワンクリックで呼び出せますが、昔は紙の薬歴を使っていたと振り返ります。
当時は棚にカルテがずらりと差さっていて、患者さんのカルテを速やかに探し出す必要がありました。そのままにしておくとどこに行ったかわからなくなるため、適切な場所に戻すことも事務スタッフの大切な役割でした。
つまり昔の調剤事務は、薬剤師が患者さんに関わる仕事に集中できるよう、カルテの管理や薬袋の記入といった周りのサポートを担う存在だった、とたいぞーさんは整理しています。
パソコンの発達が変えた事務の仕事
その後、時代が進んでパソコンの技術が発達すると、調剤事務の仕事も変化していきます。電子薬歴が導入され、紙に書いていたものがパソコン入力へと変わっていきました。
保険請求の仕事も同じように変わりました。昔は手計算で行っていたものが、レセコンを使ってパソコンでできるようになったとたいぞーさんは説明します。
さらに在庫管理もパソコンで行えるようになりました。こうした変化によって、調剤事務は誰でも担える仕事として、事務スタッフが担当する薬局が多くなっているのではないか、と見ています。
現在の調剤事務の仕事は、こうした歴史の中でどんどんアップグレードされ、進化してきた結果として今の形がある、とたいぞーさんはまとめます。そして、薬剤師の仕事が変化すれば、事務の仕事の形もまた新たに変わっていくのではないか、と続けます。
多様な経歴がもたらす「無限大」の可能性
これからの変化がどんな形になるのかは、まだ模索していくところだとたいぞーさんは言います。ただ、調剤事務スタッフには多様性があるため、その可能性はかなり大きいと考えています。
調剤事務スタッフっていうのは、薬局の中でも様々な多様性を持つスタッフなので、可能性は実は結構無限大にあるなということも思います。
その根拠として、たいぞーさんは経歴の違いを挙げます。薬剤師は大学を卒業して薬剤師になるというキャリアを積むことが多いのに対し、調剤事務は前職の背景が実にさまざまだといいます。
販売業や小売店で働いていた人、製造業に関わっていた人、サービス業の出身者など、いろいろな職種の背景を持つ人がこの仕事に集まります。人生経験もさまざまなため、薬剤師とは異なった土台を持っていることが大きな強みだ、とたいぞーさんは話します。
その強みは、具体的な仕事にもつながると言います。今でこそ調剤業務の支援を行う仕事がありますが、店舗運営のマネジメントが得意な人もいれば、登録販売者として販売業を担う道もあります。
さらに、栄養学の知識を学んでいるスタッフもいます。その場合は、薬剤師とはまた異なったスペシャリティーを生かした栄養支援という仕事もあるかもしれない、とたいぞーさんは可能性を広げます。
事務スタッフを、薬局のどんな存在として位置づけるか
多様な経歴を持つ事務スタッフが、薬剤師とうまく協働し、連携して新しい価値を生み出していく。たいぞーさんは、薬剤師の役割が変わっていく中で、調剤事務の役割の変化もこれから考えていくべき大切なところになると話します。
そこでたいぞーさんが投げかけるのは、事務スタッフをどう位置づけるかという視点です。調剤報酬の変化に合わせて業務のあり方を見直すとともに、薬局のあり方そのものを考えていく。その時の一つの軸になる存在として、調剤事務スタッフを薬局の中でどう位置づけるかを考えることが、これからの薬局運営でとても大事だと語ります。
最後にたいぞーさんは、この放送が調剤事務スタッフの新たな役割とは何かを考えるきっかけになれば、と締めくくりました。
まとめ
調剤報酬改定を入り口に、薬剤師の働き方の変化から調剤事務という職種の歴史へと話が広がった回でした。手書きや紙のカルテの時代から電子化を経て進化してきた事務の仕事を、これからの薬局運営の軸としてどう位置づけるか、という視点が示されました。
- 調剤事務は保険調剤を担うようになって生まれた、比較的新しい職種である
- 昔はカルテ管理や薬代の手書きの記入が中心で、パソコンの発達で電子薬歴やレセコンへと仕事が変化してきた
- 調剤事務スタッフは前職の背景が多様で、薬剤師とは異なる土台を持つことが強みになる
- 薬剤師の役割が変わる中で、事務スタッフを薬局のどんな存在として位置づけるかが、これからの薬局運営の大事な視点になる



