なぜ退院時カンファレンスに薬剤師は呼ばれないのか
たいぞーさんは先日、地域のケアマネージャーや病院の地域連携室の職員と合同で行う研修会に参加しました。そこで「薬剤師が退院時カンファレンス ── 入院患者が退院して在宅生活へ移る前に、病院と在宅の医師・看護師・ケアマネージャーなどが集まり、療養方針や支援内容を共有する会議ですに呼ばれない理由」をグループで話し合う時間があったといいます。
研修会で最初に挙がった理由は、薬局側の都合でした。地域連携室が薬剤師に参加を打診しても、「外来の忙しい時間帯なので参加が難しい」と断られることがしばしばあるそうです。
そんな風に断られてしまうと、誘う側としても「もう薬剤師は来うへんからええか」という風になってしまう(という率直な意見を伺いました)。
もう一つの理由は、薬局が決まるタイミングの遅さです。訪問診療を担当する医療機関から、連携を取りやすい薬局に依頼してほしいと申し出があるケースもあり、訪問診療医が決まってから薬局が決まるため、カンファレンスの時点ではもう薬局が決まっていることがあるといいます。
訪問診療医が決まる
医療機関が連携しやすい薬局を希望することもある
その後に薬局が決まる
薬局の決定が訪問診療医の後になる
カンファレンスに間に合わない
薬剤師を呼べるのはカンファレンスが終わった後になる
「困ってないから呼ばない」が映す薬剤師像
たいぞーさんが研修会で一番印象に残ったのは、薬剤の管理をすでに訪問看護師に依頼しているので、薬局に頼むことは実はない、という意見でした。
(薬局さんに頼むことは実はなくて)「困ってないから、まあ呼ばないっていうのもあるよね」というような意見もありました。
たいぞーさんはこの意見を、薬剤師の役割が薬の整理や供給だけだと思われていることの表れではないか、と受け止めています。
実際、薬の整理だけなら訪問看護師も行うことができます。さらに訪問看護師は、状態の観察、処置、医師への報告、夜間の緊急対応まで幅広く担っています。
薬の整理や供給を担う「薬のセット係」
薬の整理に加え、観察・処置・医師への報告・夜間の緊急対応まで担う
たいぞーさんは、訪問看護師を薬だけでなく生活全体を支える職種と捉えています。そのため、薬剤師ではなく訪問看護師に任せたほうがメリットが大きいと考えるのは、すごく納得できると話しています。
薬剤師の本質は「薬学的な評価と介入」にある
とはいえ、たいぞーさんは薬剤師の役割が訪問看護師と完全に重なるわけではないと続けます。薬の設定や整理も行いつつ、薬学的な視点で患者の薬物治療を評価し介入することこそ、薬剤師の専門性を生かす本質かもしれないといいます。
たいぞーさんが挙げる具体例は、患者の体調の変化です。食欲が落ちてきた、ふらつきがある、倦怠感がある、最近ぼーっとするといった訴えがあったとき、それが薬の影響で生じている可能性はないかを考えるのが薬剤師の視点です。
たいぞーさんによると、研究データでも、内服薬が6剤を超えると様々な副作用のリスクがぐんと上がるという報告があるそうです。こうした状態は一般にポリファーマシー ── 多くの薬を併用することで、副作用や飲み間違いなどの問題が起きやすくなっている状態を指す言葉です。高齢者の在宅医療で特に注目されていますの問題として知られています。
薬が正しく飲める状態を作ることも大切ですが、たいぞーさんはそれだけでは不十分だと話します。薬の影響で崩れてしまった患者の健康状態を整える視点を持てることが、薬剤師の大きな強みだといいます。
薬の整理、それだけが目的ではなくて、薬の影響も含めて患者さんの薬物治療を患者さんの状態に応じて最適化していく、それが薬剤師が介入する価値になるのかな。
伝わっていないのは薬剤師が発信していないから
研修会の意見を聞いてたいぞーさんが痛感したのは、薬剤師側ができることを発信していないという現実でした。
たいぞーさんは、薬の整理で関わりが終わっていたり、治療の評価や副作用の見立てまで薬剤師が踏み込んでいなかったりする現状を挙げます。そうであれば、他職種が抱く薬剤師のイメージが薬の整理で留まってしまうのも納得できる、と話しています。
薬の整理で関わりが終わり、他職種のイメージも「薬の整理」に留まる
治療の評価や副作用の見立てまで踏み込み、結果を出して役割を知ってもらう
だからこそ、たいぞーさんはこれから実践の中で結果を出し、他職種と一緒に関わりながら役割を認識してもらうことが大事だと考えています。
あわせて、その取り組みを積極的に発信し、多くの人に薬剤師の役割を知ってもらうことも大切だといいます。たいぞーさんにとってこの研修会は、自分自身の業務への向き合い方を見直すきっかけになったそうです。
まとめ
退院時カンファレンスに薬剤師が呼ばれない背景には、薬局側の都合や依頼の順序だけでなく、薬剤師が「薬の整理係」と見られている現実がありました。たいぞーさんは、薬学的な評価と介入こそが薬剤師の本質であり、それを実践と発信で示していく必要があると語っています。
- 薬局が外来の忙しさで断ることや、薬局決定が訪問診療医の後になることが、呼ばれない理由として挙がった
- 薬の整理だけなら訪問看護師も担えるため、「困ってないから呼ばない」という判断には納得できる面がある
- 薬剤師の強みは、体調の変化が薬の影響ではないかを考え、薬物治療を最適化する視点にある
- 内服薬が6剤を超えると副作用リスクが上がるという報告も紹介された
- 薬剤師自身が実践で結果を出し、できることを発信していくことが求められている



