「薬学で患者を語るのは難しい」という声の正体
たいぞーさんは、薬局で在宅医療や外来対応にあたりながら、社内の新人育成や研修講師、勉強会やオンラインサロンの運営も手がけています。
日々患者さんの状態を薬学の知識で読み解いていると、周囲からこんな声を聞くことがあると言います。
実践するのがいいのはわかるんですけど、正直ちょっと難しいですね
一方で、たいぞーさん自身は毎日特殊で難しいことをしている感覚はあまりないそうです。
そのズレはどこから来るのか。自分の中で整理してみたところ、多くの人が情報不足のままアセスメントしようとしていることが一因だと気づいたと話されています。
情報が足りないと、なぜ判断がぼやけるのか
情報が限られていると、薬が患者さんの状態に影響しているかどうかの判断がとても曖昧になります。
影響しているような気もするし、してないような気もするという、とても曖昧な評価になってしまう
しかも曖昧な状態では、いろいろな可能性が同時に当てはまってしまいます。
結果として「どれだろう」と原因を絞れなくなり、判断そのものが立ち行かなくなるのだと説明されています。
新人とベテラン、それぞれの強みと弱み
こうした情報不足に陥りやすいのは、新人や若いスタッフに多く見られる傾向だといいます。
患者さんとのやりとりにまだ不慣れで、必要な情報を十分に集めきれないのが経験の浅いスタッフの特徴なのだそうです。
逆に、経験年数の多い薬剤師は患者さんとのやりとりが上手で、自然と細かな情報を引き出したり、すでに把握していたりします。
つまり、考えるための材料をたくさん持っている状態です。
一方で、薬学で患者を語ることは考え方のコツをつかんでしまえば実践できるため、意外な逆転が起きるとたいぞーさんは指摘します。
これは、たくさんの薬剤師と現場で仕事をしてきた中で見られる傾向だと話されています。
最新の薬学知識は豊富だが、患者さんから情報を引き出す経験が浅い
患者さんとのやりとりが上手で情報という材料が豊富、コツをつかめば思考も使いこなせる
材料と技術を掛け合わせるチームの連携
では新人はひたすら経験を積むしかないのか。それも必要ですが、たいぞーさんはもう一つの視点を挙げます。
それが、ベテランと上手に連携を図るという考え方です。
ベテランが患者さんからしっかり情報を引き出し、その情報を新人や若手と共有します。
そして「この人の薬は大丈夫かな」「悪くなっていないかな」と一緒に考えるのだと言います。
そうすることで、ベテランは若手から薬学的なエッセンスを分け与えてもらえます。
若手は、しっかりした材料をもとに自分の知識を働かせて考えることができます。
これはちょうど、料理でいう材料とテクニックが揃う状態だとたとえられています。
新人が現場に入る季節に考えたいこと
材料と技術を掛け合わせることで、ベテランと新人・若手の協力が最大限に生きる患者さんとの関わりが生まれてきます。
これから新しい薬剤師がそれぞれの薬局に入り、現場で活躍していく季節です。
たいぞーさんは、新人の力を生かす意味でも、こうした関わりをみんなで一緒にやっていけるといいと締めくくっています。
まとめ
「薬学で患者を語るのは難しい」という声の多くは、情報不足が原因だとたいぞーさんは考えます。ベテランの持つ情報という材料と、新人が持つ知識という技術を掛け合わせることで、チームとして質の高いアセスメントが実践できるという回でした。
- 難しさの正体は、限られた情報の中でアセスメントしようとして判断が曖昧になること
- 情報を引き出す経験が浅い新人と、材料が豊富なベテランには互いの強みと弱みがある
- 薬学で患者を語ることは、料理でいう材料(情報)と技術(知識・アセスメント)の掛け合わせ
- ベテランと新人・若手が情報を共有し一緒に考える連携が、双方の力を最大限に生かす


