そもそも医薬連携とはどんな場面か
たいぞーさんはまず、医薬連携とは具体的にどういう場面を指すのかを整理していきます。自身が行っている業務を例に挙げながら説明します。
一つは、医師の在宅訪問に薬剤師が同行し、一緒に診療・診察を行う訪問診療同行です。訪問診療同行 ── 医師の在宅訪問に薬剤師が同席し、患者の状態や薬の使用状況を確認しながら診療に関わる形。薬剤師が現場で直接情報を得られる点が特徴とされる。
それ以外にも、疑義照会を行って処方変更を医師に打診すること、服薬情報提供書やトレーシングレポートを作成して文書で処方提案や患者の状況を伝えることも、医薬連携の一つの形だと話されています。トレーシングレポート ── 服薬情報提供書とも呼ばれる、薬剤師が患者の服薬状況や気づいた点を医師へ文書で伝える書類。緊急性は低いが医師に知っておいてほしい情報を共有するために使われる。
薬剤師は「医師の専門外」をフォローする存在?
続いてたいぞーさんは、医薬連携で薬剤師に求められる視点として、講演会などでよく聞く考え方を紹介します。
その考え方の前提にあるのが、薬剤師は診療科が限定された医師とは違い、薬剤を通して幅広く治療に関わる専門家だという見方です。
専門に特化した医師は、専門外の領域では情報が乏しかったり、苦手な領域を抱えていたりすることもあります。それは誰しも同じで、医師にも自信を持ちにくい領域は出てくるといいます。
だからこそ、薬剤師が医師の専門外の領域をフォローアップし、患者の状態を幅広い範囲で一緒に見ていく。それが医薬連携における薬剤師の役割ではないか、という話を講演会などで聞いてきたと振り返ります。
たいぞーさんはこれを「確かに一つの視点だ」と受け止めつつも、本当にそれが薬剤師の役割でいいのかという疑問を、その場で抱いたと語ります。
医師の専門領域は本当に医師に任せていいのか
たいぞーさんが引っかかったのは、「では医師の専門領域は本当にその医師に任せていいのか」という点です。ここを改めて考えておくことが大事だといいます。
専門領域について、医師が持つ知見は最新で、薬剤師では理解が到底及ばない範囲のことも多く、知識や経験では遠く及ばないと認めます。
とはいえ、と話は転じます。医師が専門としている領域の中にも、薬剤師が介入できる薬学の領域は必ずあるはずだ、という視点です。
その薬学の部分というのを薬剤師が担うことによって、医師はもっと自分の専門領域に特化した部分に介入することができる。
つまり、薬学の部分を薬剤師が引き受けることで、医師には医師にしかできない専門的な仕事に集中してもらう。その結果、患者の薬物治療がトータルでより良くなる、という役割分担の発想です。
専門領域の中で薬剤師にできる薬学の仕事
たいぞーさんは、専門領域の中でも薬剤師が担える具体的な例を挙げていきます。
たとえば、この薬を使い始めてどれくらいで効くのか、今の使用状況で薬がちゃんと効いているのかいないのか、といった見立てです。
さらに、患者に生じている症状に対して、他に服用している薬を含めて影響しているものがないかを薬剤師が確認することも挙げます。
こうした見立ては医師にもできることかもしれないが、薬剤師にもできる部分であるなら、そこを薬剤師がきちんと担う。そして医師には、その専門家にしかできない部分を担ってもらう。それが上手な役割分担であり、医薬連携の一つの形ではないかと話されています。
薬剤師が医師の専門外の領域をフォローし、患者を幅広く一緒に見る
医師の専門領域の中でも薬学の部分を薬剤師が担い、医師に専門のコアな仕事へ集中してもらう
専門領域に踏み込むには自信がいる
たいぞーさんは、専門領域の先生の領域に関わる介入へ一歩踏み出すのは、心理的に勇気がいることだと、自身の活動を通じて感じていると打ち明けます。
それでも、薬剤師が学んできた薬学は自分たちの強みであり専門性なのだ、という自信を持つことが大事だと語ります。
ドクターの専門領域である、ないに関わらず、薬剤師の担うべき範疇をきちんと担っていく。
多岐にわたる薬学の視点で評価できること
たいぞーさんは、薬剤師が担う薬学の領域は本当に多岐にわたると話し、評価できることを具体的に並べていきます。
まず内服薬について、薬の作用や副作用の発現状況がどうかを評価することです。
塗り薬を使っている患者では、その塗り方で本当に効果が出るのか、薬が皮膚に定着・浸透しやすい剤形が選ばれているかどうかも確認できるといいます。
さらに、インスリンなどの注射薬や吸入薬といったデバイスが必要な薬を適切に使えていて、体に作用した状態で今に至っているのかどうか。こうした点も薬剤師ならではの視点で評価できるとまとめます。
- 内服薬の作用・副作用の発現状況の評価
- 塗り薬の塗り方や、皮膚に定着・浸透しやすい剤形かの確認
- 注射薬・吸入薬などデバイスを適切に使えているかの確認
たいぞーさんは、この領域は薬剤師が果たせる役割のある範疇なのだと自信を持ち、積極的に介入しながら医師と連携していきたいと語ります。
そのうえで、この放送が、医師と連携するうえで薬剤師に担える領域、薬学の武器を生かせる領域はどこかを、聞き手それぞれが考えるきっかけになればうれしいと結んでいます。
学生向けイベント「Tricon」の告知
最後にたいぞーさんは、9月26日に開催する学生向けのオンラインイベント「Tricon」を告知します。Tricon ── 薬学生が現場の薬剤師と一緒に一つの症例を検討するオンラインイベント。エピソード説明によると9月26日開催で、参加費は無料とされている。
このイベントでは、現場の薬剤師と学生が一緒に一つの症例を検討します。学生が薬学で学んだ知識が、現場で患者にどう生かせるのかを、話を聞くのではなく症例検討を通して体験してもらうねらいだといいます。
たいぞーさんは、大学で学ぶ専門知識の意義や目的、果たせる価値を知ることで、学習へのモチベーションが変わったり、学習が定着しやすくなったりする効果が期待できると話します。
大学の勉強を頑張っているけれど、これ何のためにやってるんやろう、将来意味あるんかなと思いながら悩みつつ勉強している方は、ぜひ参加していただけると。
参加費は無料で、気になった学生はもちろん、現場で働く薬剤師にも、周りの学生や実務実習に来ている学生へイベントを伝えてほしいと呼びかけます。
またこのイベントは、大学1年生から6年生まで全ての学年の学生に学びがあるものにしたいと考え、プログラムを詰めている最終段階だといいます。臨床に出ていく高学年だけでなく、低学年のうちから学ぶ意義を理解できることは大きな強みになるとして、いろいろな学年の参加を待っていると締めくくりました。
まとめ
この回でたいぞーさんは、医薬連携における薬剤師の役割を、医師の専門外をフォローするだけの存在にとどめず、医師の専門領域の中にある薬学の部分まで担う存在として捉え直しました。
- 医薬連携には訪問診療同行、疑義照会、トレーシングレポートなど複数の形がある
- 「薬剤師は医師の専門外をフォローする」という見方は一つの視点だが、それだけでよいのかを問い直している
- 医師の専門領域の中にも薬剤師が介入できる薬学の領域は必ずあり、そこを担うことで医師は専門のコアな仕事に集中できる
- 内服薬の作用・副作用、塗り薬の剤形、デバイスの使用状況など、薬剤師ならではの視点で評価できることは多岐にわたる
- 9月26日には、薬学生が現場の薬剤師と症例検討を行う無料オンラインイベント「Tricon」が開催される


