寺子屋道場とは何をしているイベントなのか
今回のテーマは、「薬学で患者を語る」ことの難しさと面白さです。たいぞーさんが、前日に開催したイベントをきっかけに、この話をしています。
そのイベントが、勤務先である帽子屋薬局の公式YouTubeチャンネルで毎月行っている寺子屋道場 ── 薬剤師国家試験の問題を1題取り上げ、その知識を臨床現場でどう活かすかを解説する、たいぞーさんが毎月開催しているWebイベント。この回で16回目でしたです。今回で16回目、およそ1年半続けているといいます。
このイベントの狙いは、国家試験で問われる知識をもとに、それを臨床現場でどう活かすかを見せることにあります。薬学の知識を使って患者を見て評価する、つまり「薬学で患者を語る」実践を伝える場です。
大学で学んでいるこの薬学という薬剤師の土台は、現場で役に立つとても貴重な能力、専門知識なんだよということをお伝えできる機会になれば。
ドネペジルの副作用をどう読み解いたか
今回の寺子屋道場で取り上げたのは、認知症治療薬のドネペジル ── アルツハイマー型認知症などの治療に使われる薬。脳内の神経伝達物質アセチルコリンの分解を抑えて働きますを服用している患者さんの症例でした。錐体外路症状と思われる症状が現れたケースです。
添付文書を見ると、ドネペジルによる錐体外路症状の副作用報告があります。そのため薬の影響を踏まえつつ、処方の見直しを行うことになったといいます。
ここでたいぞーさんが改めて考えたのは、なぜこの患者さんにその症状が出たのか、という点でした。錐体外路症状がドネペジルで起こる作用機序と、これまでなぜ起こらなかったのかを、薬の働きと体のメカニズムから読み解こうとします。
薬の働きも、単純な薬理作用を見るだけではありません。薬の構造から、効果が得られる一方で体にどんな影響を及ぼしうるかを予測する、というアプローチです。あくまで仮説だとしたうえで、患者さんの体で何が起きていたのかをたどっていきました。
たいぞーさん自身、この内容はかなり複雑で、話しているうちに何がどうだったか分からなくなるほどだったと振り返っています。詳細はYouTubeチャンネルにアーカイブが残っているため、繰り返し見てほしいと呼びかけています。
資料作成に4時間かけて感じた薬学の複雑さ
資料を作成するにあたって、たいぞーさんは体の運動を調整するメカニズムや、そこに薬が関わったときの神経伝達の変化を、ネットで検索しながらおさらいしたといいます。
その結果、資料作成には4時間ほどかかりました。ほとんど一から勉強し直すような感覚だったと話しています。
勉強を進めるなかで実感したのは、薬学の領域も人の体も非常に複雑で、一つの変化を理解しようとしてもやはり難しい、ということでした。
一方で、その難しさは薬学の奥深さでもあります。複雑な体の仕組みを理解し、そこに薬の影響がどう結びつくかを紐付けていく。そして患者さんの体で起こる変化を読み解くうちに、患者さんの姿が見えてくる。臨床をやる醍醐味はここにあると、たいぞーさんは改めて感じたといいます。
体に染み付くまで学ぶ、薬学教育の神髄
もう一つたいぞーさんが強調するのは、これだけの情報を検索して全体像を理解できること自体、薬学の土台があってこそだという点です。
アーカイブを見た薬剤師や薬学生の多くは、体のメカニズムの話について「大学のどこかで聞いたな」と思い出すのではないか、とたいぞーさんは見ています。
大学で学んでることを覚えていなくても、体の中に染み付くぐらい、それぐらい時間と労力をかけて、僕たち薬剤師は勉強してきている。
だからこそ、情報を見たり話を聞いたりしたときに、それを理解するための基礎知識が身についている。それが薬学教育の神髄だと、たいぞーさんは考えています。
その神髄を生かして患者を診て、薬物治療に貢献し、患者に健康を届ける。これが薬剤師の役割であり、やりがいや面白さにつながる、というのがこの回の結論です。
9月26日開催のTriconはどんなイベントか
最後に、たいぞーさんは学生向けのオンラインイベント「Tricon ── 薬学生が現場の薬剤師と一緒に症例検討を行う、たいぞーさんが関わるオンラインイベント。9月26日開催、参加費無料と紹介されています」を紹介しています。9月26日の15時から17時にWebで行われ、参加費は無料です。
Triconは、寺子屋道場で話している内容よりも難易度を下げ、参加者自身が現場の薬剤師と一緒に症例検討をすることで「薬学で患者を語る」ことを体感する内容だといいます。
寺子屋道場のアーカイブを見て面白いと感じた人には満足度が高いはずだ、とたいぞーさんは話します。対象は大学1回生から6回生まで、誰でも参加できます。
現場の薬剤師に対しても、周りに学生や実習生がいれば勧めてほしいと呼びかけています。まず学生にこうしたイベントの情報が届くこと自体が嬉しい、というのがその理由です。
まとめ
この回は、認知症治療薬ドネペジルの副作用を題材に、薬学の知識で患者の変化を読み解く難しさと面白さを語る内容でした。難しいからこそ奥深く、その土台となる基礎知識こそが薬学教育の神髄だという視点が示されています。
- 寺子屋道場は、国家試験の知識を臨床にどう活かすかを毎月解説するWebイベントで、今回が16回目
- ドネペジルの錐体外路症状を、作用機序と体のメカニズムから読み解き、患者の変化を予測する試みが紹介された
- 資料作成に4時間かけるほど、薬学も人の体も複雑で、そこに理解の難しさと奥深さの両方がある
- 大学で学んだ知識が体に染み付くほど積み上がっていることが薬学教育の神髄だと語られた
- 9月26日には学生向けのオンライン症例検討イベントTriconが無料開催される



