調剤業務の事務スタッフへの移行が広がる背景
薬局の現場では、0402通知を受けて、ピッキングや一包化などの調剤業務を薬剤師以外のスタッフに任せる薬局が少しずつ増えているのではないか、とたいぞーさんは切り出します。
この動きは0402通知を通して公に認められているものであり、現場がその方向に動いていくのはごく自然なことだと話します。
ただし、ここで大切な区別があると釘を刺します。調剤業務を事務スタッフに任せること、それがそのまま薬局パートナー制度を導入していることにはならない、という点です。
ここを履き違えると制度の本質を見失うことにつながるので、とても危険なことだと考えられています。
制度の出発点は「どうありたいか」を思い描くこと
薬局パートナー制度は、単純に薬剤師のやっている業務を事務スタッフに移すことではない、とたいぞーさんは強調します。前職の会社で制度を導入していたときにも、常に意識していたことだと振り返ります。
まず大切なのは、どの業務を任せるかではなく、そもそも薬局や薬剤師がどんな存在でありたいのかという理想をきちんと思い描くことだといいます。ここが出発点になるという考え方です。
理想の姿として挙げられたのは、患者さんの症状をしっかり聞き取り、そこから得られる情報を薬学的な視点で評価していく関わりです。
薬物治療がうまくいっているか、副作用で患者さんが不利益を被っていないか、生活上の困りごとに薬が影響していないか。こうしたことを患者さんと薬剤師が向き合いながら一緒に考えていく姿だと語られます。
より良い薬物治療とは何かを患者さんと一緒に考え、プラスの方向へ向かう支援をしていく。これこそ本来薬剤師が発揮すべき価値であり、やりがいや面白さのある部分だと話します。
理想から逆算して業務を洗い出す
理想を描いたうえで、次に行うのは今の薬局の業務プロセスの点検です。どこに時間を使い、薬剤師のリソースがどこに向けられているのかを、業務をすべて洗い出す中で見つけていきます。
その業務は本当に薬剤師がやる必要があるのか、他に任せられないか、あるいはプロセスを変えれば他の人に任せられる可能性が生じないか。こうした点をきちんと見極めていくといいます。
そのうえで調剤事務スタッフに任せられる業務を任せ、薬剤師の時間を生み出す。生み出した時間で、薬剤師は患者さんと向き合い専門性を発揮した介入を行う、という流れです。
理想があるからこそ、生み出した時間を上手に使えます。そうして薬局全体として患者さんに届けられる医療の質を上げていく仕事につながる、と説明されます。
こうした目的を持って業務の役割を作り直していくことが、本来の意味での薬局パートナー制度の導入だとまとめます。
プロセスを踏まないと何が起きるか
逆に、このプロセスを踏まずに単純に業務を事務スタッフへ移すだけにしてしまうと、いろいろな問題が生じるといいます。
事務スタッフ側からは、薬剤師の仕事が自分に回ってきて仕事量が増え、業務が大変になったという声が出るかもしれません。
一方で薬剤師側からは、仕事が減って楽になったとただ楽をしてしまう人が出たり、逆に自分の仕事が奪われてこの先大丈夫だろうかという不安に襲われる人が出たりすることも十分考えられる、と話します。
損得ではなく、組織のあり方を変える取り組み
本来はそういう話ではないはずだ、とたいぞーさんは言います。薬局パートナー制度は、薬剤師と事務スタッフのどちらが得をして損をするというものではありません。
薬局全体でより良い医療を届けることを考えたとき、組織全体で何をすべきか、誰がどこでどうすべきかを考え、実践していく。それは今までの組織のあり方をガラリと変える取り組みになるといいます。
役割を分けることで、それぞれが専門性をより発揮し、持っている能力を最大限に活かしながら仕事ができる。そんな環境を作り上げていくのがこの制度だと、たいぞーさん自身は考えています。
言葉だけが独り歩きしないために
薬局パートナー制度という言葉だけが独り歩きしてしまうと、単なる業務分担で終わり、業務の効率化が図れるところにとどまってしまう、と注意を促します。
本当は薬局の未来を思い描き、その中で薬剤師がどんな価値を患者さんに届け、どんな存在でありたいのかを考え、そこから逆算して組織を作っていくことこそが制度を作るということだと締めくくります。
今日の放送が薬局パートナー制度の本質を考えるきっかけになればうれしい、という言葉で回は結ばれます。
まとめ
薬局パートナー制度は業務移管そのものではなく、薬局と薬剤師がどうありたいかという理想から逆算して組織を作り直す取り組みだ、というのがこの回の核心です。
- 調剤業務を事務スタッフに任せること自体は、そのまま薬局パートナー制度の導入を意味しない
- 出発点は業務の切り分けではなく、薬局や薬剤師がどんな存在でありたいかという理想を描くこと
- 理想から逆算して業務を洗い出し、生み出した時間で薬剤師が患者さんと向き合う
- プロセスを踏まず業務だけ移すと、事務の負担増や薬剤師の慢心・不安につながりうる
- 制度の本質は損得の分配ではなく、それぞれが専門性を発揮できる組織へと変えること



