今日のセミナー告知と、生活習慣病治療をめぐる相談
本題に入る前に、まず告知がありました。3月13日22時から22時30分に、第111回薬剤師国家試験を実務に生かすセミナーをオンラインで無料開催するというものです。
たいぞーさんによれば、今年の国家試験には、薬剤師の実務レベルを上げることに直結するような問題がたくさん出題されていたといいます。
セミナーの狙いは、問題そのものを解説することではありません。問題を通して問われている薬学的な知識を、現場で患者にどう使うかを伝えることに置かれています。
その問題を通して問われている薬学的な知識を、現場で患者さんにどのように使ったらいいのか。そういった知識を使うことで、患者さんにどんな薬剤師としての視点からの健康を届けられるのか。そんな介入ができるのかということを、30分でお伝えできたらと思ったセミナーです。
そして本題です。薬局で働いていると、特に血圧の治療を始める人に多く見られる反応があるといいます。
「飲み始めたら一生辞められない」という言葉
血圧や糖尿病、生活習慣病の治療を開始する人の中に、治療そのものにネガティブな印象を持つ患者がいます。
その典型が、「血圧の薬は飲み始めたら一生辞められないんだよね」「糖尿病の薬も一生もんなんだよね」という言葉です。
たいぞーさんは、こうした言葉の背景にある感情を次のように受け止めています。
一生辞められない、この薬とはずっと付き合っていかなければならないんだろうなということを思うと、治療を始めることに躊躇してしまう。そんな感情が患者さんの中にあって、薬局でそういったお話をされているのかなと思います。
なぜ患者は治療を始めたくないのか
では、なぜ患者は薬を飲みたくない、一生薬と付き合うのは嫌だと思うのか。たいぞーさんはその理由を2つ想像しています。
1つ目は、毎日薬を飲み続ける負担です。手間もかかり、病院に行き、薬をもらいに来る必要もあるため、負担が大きいという要素です。
ただし、この負担には減らす方法があります。オンライン診療をうまく使ったり、状態が安定してくれば長期処方 ── 症状が安定した患者に、通常より長い日数分の薬をまとめて処方すること。通院や来局の頻度を減らせる利点がある。に変更したりする道です。
そのため、まずは治療を始めて状態を安定させることを目指し、そのうえで負担を減らす方法にシフトしていく関わりができると考えられています。
2つ目は、薬が体に悪い影響を与えるのではないかという不安です。一生飲み続けると薬が体に暴露し続けることへの恐れから、こうした言葉が出るケースもあると見ています。
負担への不安
オンライン診療や長期処方で来局・通院の負担を減らせる
体への影響への不安
薬の影響と疾患のリスクを天秤にかけて考える
薬剤師の関わり
まず治療を安定させ、その後に負担を減らす方向へ
抜け落ちがちな「もう一つの天秤」
こうした不安を抱える患者には、視点が1つ抜け落ちていることがある、とたいぞーさんは指摘します。
たしかに治療を始めれば、薬という外的な刺激が体に入り続けます。しかし、血圧や血糖値が高いことによって将来引き起こされる疾患のリスクも、同時に考えなければなりません。
疾患のリスクを下げるために薬で治療を行っているのですから、「一生飲み続けるから治療を始めない」という選択は、その疾患がいつ起こるかわからないという不安と生活していくことを意味します。
薬が体に暴露し続けることへの不安や負担
高血圧・高血糖が続き、将来の疾患が発症するリスク
薬剤師の視点から見ると、たいぞーさん個人としては、薬を長期的に服用する影響よりも、血圧や糖尿の悪い状態が続く影響のほうが大きいと考えています。
血圧や糖尿病の治療は比較的安価な薬で行えるものが多く、経済的な負担も少ないといいます。疾患が発症した場合の経済的なリスクも踏まえると、多くのケースで薬による治療のほうが有益になると話されています。
最後は患者と一緒に選ぶ
ただし、これらの状況を踏まえて最終的に何を判断するかは、患者との間での決断だとたいぞーさんは強調します。
どの方法がいいのか、今は何をすべきなのかは、患者の人生の選択の中で、状況によっても変わってきます。だからこそ、患者に寄り添いながら一緒に選んでいくことを大切にしています。
そのうえで、この回が問いかけているのは、そもそも薬は何のために飲むのかという原点です。
なぜこの患者は一生飲むことにネガティブな印象を持つのか。その特徴や今後の未来を見据えながら、どう関わっていくかを考えるきっかけになれば、と締めくくられています。
まとめ
「一生薬を飲みたくない」という言葉の奥には、負担への不安や体への影響への恐れがあります。その言葉に、薬を飲むリスクと治療しないリスクを天秤にかける視点を添え、最後は患者と一緒に選んでいく――そんな薬剤師の関わり方を考える回でした。
- 「飲み始めたら一生辞められない」という言葉の背景には、負担への不安と体への影響への恐れがある
- 通院・来局の負担は、オンライン診療や長期処方で減らせる余地がある
- 薬の影響だけでなく、治療しないことで将来の疾患が発症するリスクも天秤にかける必要がある
- 血圧・糖尿病の治療は安価な薬が多く、多くのケースで薬による治療のほうが有益と話されている
- 最終判断は患者との決断であり、寄り添いながら一緒に選んでいくことが大切



