新人育成という「答えのない課題」
この回のテーマは、主体的に情報収集することの価値です。たいぞーさんはまず、新人育成の難しさから話を始めます。
昨年入社した新人と一緒に働くなかで、どう関わればスタッフが成長するのかは、自分が実践するよりも難しい課題だと感じているそうです。
現場に放り込んで経験させることで伸びる人もいれば、仕事を与えるほど疲弊してしまう人もいます。だからこそ、相手の様子を見極めながら育てる必要があると話します。
自分であればどんどんやればいいというのでやっていくことで、成長の機会を自分自身は得ていくようなタイプなんです。
でも、そうじゃない方もいる。育成というのはやはり奥深く難しいなということをいつも思います。
新人に在宅訪問を任せた理由
そんな折、たいぞーさんが担当する在宅患者さんの訪問予定があり、その訪問を若手スタッフに任せてみることにしました。
理由は、単独で訪問する際に必ず行っている、あることを体験してもらいたかったからです。
たいぞーさんは訪問時に必ずバイタルサインを測定しています。血圧、脈拍、パルスオキシメーターによる酸素濃度などを測り、体の状態を把握します。
その目的は、服用している薬が今どのように体に働いているかを、自分自身で測定した情報から見極めることにあります。
測ることで見えてくる「薬が効いているか」
たいぞーさんが強調するのは、測定という行為そのものより、測ることで患者の姿が見えてくることに価値があるという点です。
「もしかして薬がうまく効いていないかな」「これならうまく効いていて良かった」といった感覚が、自分で情報を収集するとイメージしやすくなると話します。
その実感を若手にも味わってほしいと考え、測り方をレクチャーしたうえで訪問に送り出しました。
「血圧、測れました」から確かめられた治療の成果
訪問から帰ってきたスタッフに様子を聞くと、感激した様子で「血圧が測れました」と話してくれたそうです。
行ってみてどうだった?と聞いてみたところ、いや、血圧測れました、ととても感激したような様子で話をしてくれました。
血圧を測れたこと自体が、技術面での自信になるのだと、たいぞーさんはそこから感じたと言います。
さらにこの患者さんは、先日血圧の薬が変更になったばかりでした。ちょうどその日の訪問が、薬の効果が出始めるタイミングだったのです。
実際の血圧を尋ねると、しっかり下がっていたことが確認できました。変更された薬が効果を発揮し、治療がうまくいっているとわかったのです。
その順調な経過を、自らの手で確認できたことを、スタッフと一緒に確かめ合えたと振り返ります。
聞き取る情報と、自ら触れて得る情報の違い
たいぞーさんは、主体的な情報収集には2つの側面があると整理します。患者から聞き取って集める情報と、自ら患者に触れて取得する情報です。
相手からもらう情報。会話を通して状態を把握する
自分で測定・関与して取得する情報。価値が大きく変わると話す
聞き取った相手の情報をもらうのではなく、自ら患者に触れて関わって情報を取ると、情報に対する価値が大きく変わるのではないかと、今回の経験から感じたそうです。
そしてそれは、薬剤師として、臨床家としての大きな成長につながる経験になると話します。若手に任せたことを通して、たいぞーさん自身が学んだ経験でもあったと締めくくりました。
まとめ
新人に在宅訪問のバイタル測定を任せた経験から、自ら患者に触れて情報を得ることの価値を語った回でした。測ることは、単なる技術ではなく、治療の成果を自分の手で確かめる行為だと伝わってきます。
- 新人育成は、相手の様子を見極めながら進める奥深い課題
- 訪問時のバイタル測定は、薬が体にどう働いているかを見極める手がかりになる
- 測ること自体より、測ることで患者の姿が見えることに価値がある
- 薬の変更後の血圧低下を確認でき、治療の成果を自らの手で確かめられた
- 聞き取る情報より、自ら触れて得る情報のほうが体験価値が大きく、成長につながる



