実習が半分に差し掛かり、患者対応の見学が増えてくる
この回でたいぞーさんが取り上げるのは、実務実習で学生を受け入れる中での「学び方」についての気づきです。ちょうど実習の1か月が過ぎ、2か月半のうち半分が終わろうとしている時期の話です。
実習が始まった当初、学生は処方箋の薬を揃えながら、身につけてきた知識を臨床現場で患者さんに使っていく第一歩を踏み出します。
そして時間が経つと、学生自身が患者さんに直接関わる服薬指導を経験する機会も増えてきます。ここまでが実習前半の流れだと、たいぞーさんは説明します。
薬を揃える
処方箋の薬を揃えながら患者さんの治療に触れる
知識を使う
学んできた知識を臨床現場で患者さんに使う第一歩を踏み出す
服薬指導
患者さんに直接関わる服薬指導を経験する機会が増える
学生に「ちょっと見といて」と見学を任せる場面がある理由
たくさん経験できるほうが学生にとってプラスになる。それはたいぞーさんも認めています。ただ、臨床現場は患者対応を仕事として行う場でもあります。
体調が悪い患者さんもいる中で、不慣れな学生がずっと現場に立ち続けるのは、現実的に難しい部分もあるとたいぞーさんは話します。
そうした事情から、学生には薬剤師の患者対応を見学してもらう、という機会提供の仕方を選ぶこともあります。たいぞーさんの現場でも「ちょっと見といて」と学生に見学を任せることがあるそうです。
ちょっと見といてという風に、薬剤師の服薬指導を見学してもらう、そういう風な機会提供の仕方を選ぶことも、実際現場の中ではあります。
見学の質を一歩上げる、たった1つのポイント
現場で働く薬剤師の実際のパフォーマンスを間近で見られる機会は、とても貴重だとたいぞーさんは言います。見るだけでも学べることはたくさんあります。
ただ、ポイントを1つ押さえて見学するだけで、ただ見て学ぶという段階から、一歩高い学びを得られる機会に変えられるとたいぞーさんは気づいたそうです。
そのポイントとは、見学しながら「自分ならこの患者さんにどう対応するか」を頭の中で想像することです。
想像した自分の対応と、実際にやっている薬剤師の対応を見比べると、同じ部分もあれば違う部分も出てきます。
そこで、なぜ同じだったのか、なぜ違いが生じたのかを比較する。この比較から、今後さまざまな患者対応を経験するときに活かせる気づきや学びが生まれると、たいぞーさんは考えています。
そのまま真似る学びと、比較から得る学びの違い
薬剤師の行動をただ見るだけだと、「こう伝えればいいんだ」という言葉やアクションを、そのまま自分の中に取り入れることになります。それ自体は悪くないとたいぞーさんは言います。
ただ、薬剤師が目の前でしている対応は、その人のその瞬間に必要な言葉や声かけ、働きかけです。場面や相手が違えば、また別の対応が必要になります。
つまり、それは個別具体的なアクションであることが多いのです。そっくりそのまま学び取っても、次の場面で活かせるとは限らないと、たいぞーさんは指摘します。
一方、自分のイメージと実際の対応を比較して得られる気づきは、少し抽象化・一般化されたものになります。
たとえば「なぜその言葉を言っているのか」がわかると、「こういうポイントがあるからこの言葉を使っている」ことが見えてきます。すると、そのアクションがどんな結果をもたらすためのものかまで理解できます。
そこまで理解できれば、次に似た場面に遭遇したとき、言葉をただ発するのではなく、今この人に何が起きていて、どんな結果を求めてどう動くべきかを考える思考力の土台になるとたいぞーさんは話します。
薬剤師の言葉やアクションをそのまま取り入れる。個別具体的なため、場面が変わると活かしにくい
自分のイメージと実際の対応を比べ、なぜそうするかを抽象化して掴む。次の場面に応用できる思考力の土台になる
見学を「知恵」に変えて、実習で大きく成長する
臨場感あふれる臨床の場から得られる経験には、多くの学びがあります。それをさらに一般化して、自分の中の知恵にできれば、単なる知識では得られない普遍的な気づきが積み重なっていきます。
そうして積み重ねることで、2か月半の実習の中で大きな成長を遂げられるのではないか、とたいぞーさんは語ります。
この見学の仕方は、実習生だけでなく、新人や若手の薬剤師にも当てはまるとたいぞーさんは言います。臨床現場では、彼らにも同じように学ぶ機会が設けられていることがあるからです。
ただただ目の前のことを目の前のこととして学ぶのではなく、どうやったら自分の中に応用の利く学びになっていくのか、ぜひこの機会に考えていただけたら非常に嬉しいなということ思います。
学生向けイベント「トライコン」の案内
最後に、たいぞーさんはイベントの告知をしています。9月26日の土曜日15時から17時まで、オンラインで行う学生向けイベント「トライコン」を開催します。
このイベントでは、学生と現場で働く薬剤師が1つの症例について検討を行います。薬学部で学ぶ専門知識が現場でどう使われるのか、薬剤師として働くとはどういうことかを、具体的なイメージとして掴んでもらうねらいです。
参加は無料です。学んできたことを抽象的な学びにして思考力に変えたい人や、内容を面白そうだと感じた人に向けて、たいぞーさんは参加を呼びかけています。
まとめ
実務実習の見学は、薬剤師の対応をただ見るだけでも学べますが、「自分ならどうするか」を想像して実際の対応と比較することで、応用の利く学びに変わります。行動をそのまま真似るのではなく、なぜそうするのかを一般化して掴むことが、思考力の土台になるという回でした。
- 実習が半分に差し掛かると、患者対応の見学を任される機会が増える
- 見学の質を上げるコツは、自分ならどう対応するかを想像し、実際の薬剤師の対応と比較すること
- 行動をそのまま真似ると個別具体的な学びに留まり、次の場面で活かしにくい
- なぜその対応をするのかを一般化して掴むと、応用の利く思考力の土台になる
- この見学の仕方は実習生だけでなく、新人や若手の薬剤師にも当てはまる



