薬局に来るなり「早くしてください」と言われる現場
たいぞーさんは、薬局の待ち時間が患者にとってストレスの一因になっていると、現場で日々感じていると話します。
実際に薬局へ来るなり「今日は急いでいるので早くしてください」と言う患者がいて、毎日働いていると1人2人はそうした場面に遭遇し、こちらが急かされることもあると言います。
今日は急いでいるので早くしてください
一方でたいぞーさんは、患者の気持ちも理解できると続けます。体調が悪く病院にかかったうえで、早く帰ってゆっくり休みたいと思うのは当然だからです。
さらに患者から話を聞くと、病院で3時間待ち、4時間待ちということもあると言います。それだけ待って疲れ果てたところに薬局でさらに待つのは、しんどいことだろうとたいぞーさんは受け止めています。
ただし、薬剤師としてどうしても時間が必要になる部分は生じます。お待たせする時間が出るのは致し方ないと考えつつ、やるべきことはきちんとやろうと日々仕事をしていると話します。
ラーメン屋やテーマパークでは、なぜ長く待てるのか
たいぞーさんは、待ち時間を嫌なものだと思いがちだが、視点を変えると待っても平気な場面が世の中にあると指摘します。
例えばラーメン屋の行列です。お腹が空いていても、食べるまで30分や40分並ぶ人を見かけます。ラーメンに限らず、デザートなどでも並んでまで食べたいと行列を作る人がいると言います。
勤務先である兵庫県姫路市でも、街を歩けばいろいろな店の前に行列ができている姿を見かけると話します。
他にもUSJ ── ユニバーサル・スタジオ・ジャパン。大阪市にある大型テーマパークやディズニーランドのようなテーマパークでは、アトラクションに入るまで2時間待ちの大行列があっても、並んで待つことを選ぶ人がいます。
テーマパークの2時間、ラーメン屋の30〜40分や1時間という待ち時間と、薬局や病院で待つ時間は何が違うのか。たいぞーさんは、この点を考えてみたと言います。
2時間や30〜40分の行列でも、多くの人が並んで待つことを選ぶ
病院で4時間待てても、薬局では15分も待てない人がいる
病院では4時間待てるのに、薬局では15分も待てない
たいぞーさんは、体がしんどいかどうかという違いはまず一つあると認めます。そのうえで、それだけでは説明しきれない現象を挙げます。
それは、病院の待ち時間は4時間待てるのに、薬局の待ち時間は15分も待てないという、医療現場で実際に起こることです。同じ患者の中で行動に違いが生じています。
違いがあるから患者の行動にも差が出るはずだと考え、たいぞーさんは「待ち時間が生み出しているものは何か」に向き合うことが、ヒントになると話します。
待ち時間が生み出すものとして、まず疲労やストレスが思い浮かびます。しかしそれは、ラーメン屋に並んでも、テーマパークに並んでも、病院で待っていても同じだとたいぞーさんは言います。
待ち時間が生み出すのは「期待値」という考え方
では何が違うのか。たいぞーさんは、待ち時間が共通して生み出しているのは期待値なのではないかと話します。
待ち時間が長ければ長いほど、その先で待っているものへの期待値が大きくなるという考え方です。
テーマパークで言えば、同じアトラクションでも、10分で体験できた場合と2時間並んで体験した場合とでは、2時間並んだほうがそのアトラクションへの期待値が高くなっている、とたいぞーさんは説明します。
だからこそ、その先で待っているものは、高まった期待値を超えるだけの結果や価値を提供できないと、待った人にとっては不満になってしまうと言います。
待ち時間が発生
並んで待つ時間が生まれる
期待値が高まる
待つほど、その先にあるものへの期待が大きくなる
価値が期待値を超える
期待を超える結果が得られれば、待った甲斐があったと感じる
価値が期待値を下回る
期待に届かなければ、待った人にとって不満になる
テーマパークで2時間、ラーメン屋で1時間、病院で4時間待てるのは、その先にある価値が、待ち時間で高まる期待値を大きく超えるものだからだ、とたいぞーさんはまとめます。
薬局の15分は、提供している価値を問い直す機会
この考え方を当てはめると、薬局の待ち時間15分でも待てない人がいるのは、その人にとって薬局で得られるものが15分で高まる期待値を超えられていないから、とたいぞーさんは指摘します。
ただし、これを「薬局が提供しているものに価値がない」と捉えるのは短絡的だ、とたいぞーさんは注意を促します。
そうではなく、自分たちが患者に提供している価値は何か、もっと価値の高いものを提供できないか。待ち時間を、そうやって自分自身を振り返る機会にできると話します。
そう向き合えば、待ち時間は自分の仕事の価値を高める気づきを与えてくれるものになり、患者とのやりとりをプラスに変えられるのではないか、というのがたいぞーさんの見方です。
一方でたいぞーさんは、待ち時間を必要以上に与えると、越えきれないほど期待値を高めてしまい、かえって不満を生む機会になると釘を刺します。
どうしても必要な待ち時間は存在するものの、不必要な待ち時間を生まない工夫も大切だと最後に添えています。
提供している価値を問い直し、より高い価値を目指すきっかけにする
期待値だけが高まり、越えられないハードルとなって不満を生む
そのうえでたいぞーさんは、自分の薬局や周りで生じている待ち時間について、改めて考えてほしいと呼びかけて放送を締めくくります。
まとめ
たいぞーさんは、薬局の待ち時間を「期待値」という視点でとらえ直しました。待つほど期待は高まり、その先の価値が期待を超えるかどうかが満足と不満を分けます。待ち時間は、薬剤師が提供する価値を問い直す機会にもなるという回でした。
- 薬局の待ち時間は、患者にとってストレスの一因になっている
- テーマパークやラーメン屋で長く待てるのは、その先の価値が高まった期待値を超えるから
- 同じ患者でも、病院では4時間待てて薬局では15分も待てないことがある
- 待ち時間は、自分が提供している価値を振り返る機会にできる
- どうしても必要な待ち時間はあるが、不必要な待ち時間を生まない工夫も大切



