前回のおさらいと今回のテーマ
前回のエピソードでは、誰のために、どんな強みを活かして課題解決をするのかを整理するために、リーンキャンバスというフレームワークが紹介されました。
その放送の最後で、さらに深く絞り込みをしていくとよいという話が出ました。今回はその「絞り込み」を深掘りする、ランチェスター戦略の回です。
最初から聞く人は、一つ前のエピソード33をあわせて聞くと理解しやすいと案内されています。
ランチェスター戦略とは何か
ランチェスター戦略は、もともと戦いのシーンで使われる戦略の話です。兵力の差における戦い方を説明したもので、第一法則や第二法則があります。
原理そのものは各自で調べてほしいとしつつ、小規模事業者向けに超簡単に言うとどうなるか、が語られます。
すごい簡単に言うと、大企業と同じ土俵で戦っても勝つのはかなり難しいですよねって話です。難しいっていうか、無理ゲーですねって話なんですけど。
では、なぜ「小規模事業者のための」ランチェスター戦略なのか。ここが今回のポイントになります。
絞り込んで局地戦に持ち込む
ランチェスター戦略を実際に戦いに活かすとき、端的に言えば「局地戦に持ち込む」ということだと説明されます。これが弱者の戦略と呼ばれる理由です。
局地戦とは、地域、商品、顧客、専門分野などを絞り込み、自分の強みが一番活かせるところで戦うことを指します。
自分がこの範囲だったら絶対勝てるよね、みたいなことを探すわけですよ。それをランチェスター戦略って言ったりします。
自身の例:WordPressの決済システム導入への絞り込み
伊藤さん自身の例として、絞り込みが段階的に説明されます。まず「WordPressに困っている人の課題を解決する」という広い課題があります。
そこから一段掘り下げると「WordPressの高度なカスタマイズ」になります。ただ、これは横並びでできる人がたくさんいるため、まだ広いといいます。
さらに絞ると「WordPressに決済システムを入れたい」になります。それでもボタンリンクやコード実装など方法は複数あり、まだ広いと考えられます。
最後に「特定の決済代行会社の決済システムを入れたい」まで絞り込むと、かなり絞れた状態になります。
WordPressに困っている
企業や個人の幅広い課題を解決する段階
高度なカスタマイズ
できる人が多く、まだ競合が多い段階
決済システムを入れたい
方法が複数あり、なお広い段階
特定の決済代行会社のシステム
競合がかなり減る絞り込んだ段階
伊藤さんはこの絞り込みを実際に行い、SEO経由で仕事の依頼を受けることがあるといいます。絞り込むほど競合が減っていくのがメリットで、これはニッチ戦略とも呼ばれます。
もう一つの例:整体師の特化
クライアントに多い整体師の例も挙げられます。「何でもできます」という総合的な整体師の場合、絞り込みをした方がよいといいます。
絞り込みの軸としては、施術する部位、施術方法、年齢層、悩みなどが考えられます。特定のスポーツの怪我といった切り口も出てくるかもしれません。
実際に何かに特化した専門の整体師は多いはずだと話されます。前回作ったリーンキャンバスを見ながら、もっと絞り込めないかと考えていくとよい、とすすめています。
需要がないところまで絞り込まない
ただし注意点として、需要がないところまで絞り込んではいけないと釘を刺されます。絞りすぎるとお客さんが来なくなってしまうからです。
そこで、Googleの広告を登録すると使える検索ボリュームを調べる方法が紹介されます。特定のキーワードで検索している人が月間何人いるかなどがわかり、需要調査に使えます。
伊藤さん自身は、誰もSEOで引っかかっていない領域を探すのが好きだといいます。この技術とこの技術を組み合わせて上位にいる人がいるかを検索し、サービス化するのが得意分野だと語られます。
全くこの検索されてないキーワードでやっても、超ニッチすぎてそれこそ仕事にならないっていうんじゃ困るから、それは気をつけてほしいなと思います。
絞り込むとお客さんは減るのか
絞り込むと拾えるパイが減るのでは、と心配する人もいます。もっと届けた方がよいのでは、という不安です。
これに対して伊藤さんは「逆だ」と答えます。拾えるお客さんをなるべく拾おうという発想は、大企業と同じやり方になってしまうと指摘します。
拾えるところまで念のため、みたいなのはやめた方がいいですね。潔く諦めるなりした方が、私は尖るっていう気がしています。
リーンキャンバスの真ん中にある「自分が選ばれる理由」こそが肝であり、ランチェスターもリーンキャンバスも、結局は選ばれるための戦略だと語られます。
理想は、誰でもいいからたくさん、ではなく、「ぜひあなたにお願いしたい」という人と、少数でも長く付き合うことだといいます。これはLTVを高める考え方につながります。
絞り込みをすると事業の軸が定まり、SNSやブログ、メールマガジンでの発信の仕方も変わってきます。狙うお客さんが想像でき、顧客の解像度が上がるといいます。
最後に、次回のテーマとして「ポジショニング」が予告されます。「〇〇といえばあなた」と言ってもらうための見せ方の戦略で、絞り込みをさらに活かすものだと説明されました。
まとめ
資金力で劣る小規模事業者は、大企業と同じ土俵で戦わず、地域や専門分野を絞り込んで局地戦に持ち込むのがランチェスター戦略の要点です。絞り込みは顧客を減らすためではなく、「ぜひあなたに」と言ってくれる相手と長く付き合うためのものだと語られました。
- 大企業と同じ土俵で広く浅く戦っても勝つのは難しいため、絞り込んで局地戦に持ち込む
- 地域・商品・顧客・専門分野を段階的に絞り、自分の強みが一番活きる領域を探す
- 絞りすぎて需要がなくならないよう、検索ボリュームなどで需要を確認する
- 少数でも長く付き合える顧客との関係(LTV)を重視し、発信の軸と顧客の解像度を上げる
- 次回は絞り込みを活かす「ポジショニング」がテーマになる
