「対話」を持ち寄る番組として始める
番組の第1回は、タイトルコールをどうするかといった手探りな雰囲気から始まりました。番組名は「ネオ人文ラジオ」、サブタイトルは「徒然なるままに創発する人生の新しい物語を」と名づけられています。
高崎さんは、この番組が議論や討論ではなく「対話」を軸にすると説明します。お互いが話したいテーマを持ち寄り、徒然なるままに話してみるスタイルです。
なんかゆるっと始めてみましたが、ネオ人文ラジオの第1回目の収録ですね。
話す相手は、高崎さんと相方の谷口さんの2人。想定しているテーマとして、SNSってどうなのか、アイデアをどう見つけているか、今の若者について、などが挙げられました。
高崎優希さんの自己紹介:仕事と芸術活動
高崎さんはDoDashJapan株式会社の執行役員という肩書きを持ちますが、そこに固執はしていないと話します。本業は、非営利団体の寄付集めを支援する仕事です。
高崎さんの会社は、非営利団体がどんなメッセージを発信し、社会からどう共感を得て資金調達するかを手伝っています。加えて、マーケティング領域を中心に、4社ほどに籍を置いてフリーランス的にも関わっています。
もう一つの顔が、芸術家としての活動です。高崎さんは自らを「芸術家の端くれ」と表現します。
一応ですね、アーティスト活動をしていて。まあひとつは現代音楽ですね。デジタル音楽、コンピューターで作る音楽を作ってリリースしています。
高崎さんの音楽は、数えたことはないものの多分30カ国ほどからリリースしているといいます。デジタル配信のほか、カセットテープやアナログ盤でも出していて、東京の渋谷のレコード店などに置かれていることもあるそうです。
デジタルでだって作ってるのにアナログにすることってできるんですね。
高崎さんによれば、CDで出していた音源をあえてアナログにすると、音の質感が温かくなるのだといいます。
さらに、メディアアートの一つであるジェネレーティブアートも手がけています。こちらはほぼ趣味に近いと話します。
谷口さんの自己紹介:シェア界隈の仕事と4つの好きなもの
谷口さんは谷口浩樹さん。高崎さんとは同学年で、詰め込み教育の終わりかけの世代だと振り返ります。出身は名古屋の隣、愛知県春日井市で、大学は四国の香川県へ進みました。
就職先は広告代理店で、名古屋に戻ります。東京に出てきたのは、東日本大震災があった2011年でした。
東京の最初の印象は東京って街暗いなっていう、あの計画停電ってやってたじゃないですか。
当時は駅や電車の中、昼間の街全体で電気を消していて、東京はこんなに暗い街なのかという印象が今でも残っているそうです。
その後、谷口さんは会社を辞めて半年ほど過ごし、シェアハウスの管理運営会社でマーケティングを担当します。場作りに強い興味があり、2018年ごろに合同会社シェアリアルを立ち上げました。
現在はシェアリアルの代表社員として、シェアハウス7棟やシェアキッチン、練馬区光が丘のコミュニティスペースの管理運営などを手がけています。シェアハウスを中心に、管理・運営・企画・リノベーション計画までワンストップで担う仕事がメインです。
加えて、他社から業務委託で新規事業を作り、軌道に乗せる仕事も一部担っていると話します。
プライベートでは、好きなものが大きく4つあるといいます。1つ目は中日ドラゴンズで、毎日のように試合を見て一喜一憂しているそうです。
- 中日ドラゴンズ:毎日のように試合を見て応援している
- 釣り:小学6年生からで、釣り竿は20本以上
- ゴルフ:広いコースで頭を切り替えられるのが楽しい
- クラフトビール:国内銘柄を中心に200〜300種類ほど飲んできた
釣りは30年近い趣味で、大学時代は釣具店でアルバイトし、年に40〜50万円ほど釣具を買っていたといいます。谷口さんは、高崎さんと違ってアーティスティックな面はなく、より普通のおじさん感が漂うと自分を評していました。
なぜ「対話を残す場」をつくりたかったのか
ここから高崎さんは、この番組を始めたきっかけを語ります。谷口さんがゴルフについて「考えなくていいから」と話したのに対し、高崎さんは真逆で、考えるのが好きだといいます。
物事を結構深く考えることがもう癖になっているぐらい、考えてしまう人間で。
高崎さんは、若い頃は考えすぎることが生きづらさにつながっていたものの、年を重ねるうちに考えること自体が楽しくなったと話します。そして、湧いてくる疑問を誰かとシェアしたいという思いが強まっていきました。
ただし、会社の飲み会ではそうした話は少し違うといいます。静かな場所で、対話という目的を前提にした会話ができる場が欲しかったのだと語ります。
探すなかで出会ったのが「ワールドカフェ」という概念でした。高崎さんは、まさにこれだと感じたといいます。
高崎さんは番組作りの背景に、歴史を扱うポッドキャスト「コテンラジオ」の深井龍之介さんが説く「人文知の大切さ」への共感があったと明かします。人文知を実践する場を、自分でも作りたかったといいます。
ワールドカフェのオンラインコミュニティに参加することも考えたものの、高崎さんはいくつか気になる点があったと話します。
1つは、初めて会う人同士のプレッシャーで自由度が下がったり、期待外れになったりする可能性です。もう1つは、できれば会話をログとして残したいという思いでした。
パブリックに配信する、公表すれば、また違う人からの意見が飛んでくるかもしれない。
高崎優希さんが相方に谷口さんを選んだ理由
そこで高崎さんは、一番話しやすい相手を探すことにします。ただし仲が良すぎて内輪すぎると、聞き手にはつらくなるとも考えていました。
高崎さんは実際に何人かへ「対話しませんか」と声をかけたといいます。経営者やNPOの代表、大学教授や研究者にも打診しました。
対話しませんか、つって。であわよくばポッドキャストやりませんか、つって。
多くの相手には断られはしなかったものの、どこか微妙な雰囲気になってしまったと高崎さんは振り返ります。そんな流れのなかで浮かんだのが谷口さんでした。
高崎さんは2〜3週間前、谷口さんにパワーポイントまで作って番組の構想をプレゼンしたといいます。本人いわく、勝率は6割ほどで、断られる可能性もあると見ていました。
そこで高崎さんは、実際に誘われたときの印象を谷口さんに尋ねます。谷口さんの答えは、自分の判断基準に沿ったシンプルなものでした。
僕の判断基準は基本的に面白いかどうかだけなんで、ポッドキャストやろうぜって言われて、面白そうだねって思ったから、はい、やりますっていう、それだけなんですけど。
答えを出さない対話が持ち帰るもの
高崎さんは、ビジネスの場での対話を否定しているわけではないと補足します。利益をどう作るかという話も楽しいと認めたうえで、この番組では別の場を目指したいといいます。
高崎さんが求めるのは、合理化されすぎて最適解を求めなければいけない現場にはないものです。哲学や思想のように、ある意味で無駄に見えるものを考える時間だと語ります。
高崎さんは、それこそAIにはできないことを、リアルな場で声を発しながらやっていくのが面白い試みだと話します。
当面は2人で続けつつ、ゆくゆくは同じ考えを持つ人や、谷口さんのコミュニティから話したい人が出てくればゲストに呼びたいと高崎さんは構想します。
答えを出す必要はないし、どこかのゴールにたどり着く必要もないと思うので。
高崎さんは、参加して話した人たちが何か新しいことに気づいて持ち帰ってくれれば、それで幸いなのではないかと締めくくりました。
まとめ
「ネオ人文ラジオ」の第1回は、ソーシャルセクターで働きながら音楽やジェネレーティブアートも手がける高崎優希さんと、シェアハウスなどシェア界隈の事業を営む谷口さんの自己紹介から始まりました。考えることが好きな高崎さんが、対話を残す場としてポッドキャストを立ち上げた動機が語られた回です。
- 番組は議論や討論ではなく、テーマを持ち寄って話す「対話」を軸にする
- 高崎さんはファンドレイジング支援を本業に、音楽やジェネレーティブアートの活動も行う
- 谷口さんは合同会社シェアリアルの代表社員として、シェアハウスなどの管理運営を手がける
- 高崎さんはワールドカフェや人文知への共感を背景に、対話をログとして残せる場を求めた
- 答えやゴールを出すことではなく、参加者が新しい気づきを持ち帰ることを目的に据える






