青春時代の曲と『普通の軽音部』
冒頭は雑談から始まります。村田さんは漫画をよく読むそうで、最近は『普通の軽音部』の新刊が出たと話しています。
この漫画の良さは、ライブで演奏する曲の曲名まで出してくれる点だと言います。三十代から四十代の世代が青春時代に聴いた曲がよく登場するそうです。
村田さんは漫画を読みながら、その中でライブ演奏されている曲を実際に聴くのが好きだと語ります。
『普通の軽音部』の漫画を読みながら、その漫画のライブでやってる曲を実際に聴きながら読むっていうのが、結構好きでやってます。
昔の曲では、活動中止を発表したLOVEPSYCHEDELICO ── 日本のロックバンド。この回では『LASTSMILE』が名前として挙げられていますの『LASTSMILE』を挙げています。二千年発売の曲で、中学から高校時代によく聴いていたそうです。
多感な時期に聴いた曲はやはり特別になる、という感想でこの話題を締めています。
ブランディング会社に就職するには
続いて、相談の話に移ります。ほぼ未経験からスクールに通い、フリーランスを経てウェブ制作会社に就職して一年ほどの方に会ってきたと村田さんは話します。
その方の課題は二つでした。ひとつは、会社はウェブ中心だが自分は将来ロゴやグラフィックを学んでブランディングをやりたいという点です。もうひとつは、上司のフィードバックに悩んで手が動かないという点でした。
まずブランディングについて。村田さんは、ブランディング会社にはウェブだけでなくグラフィックのスキルが必要になると話します。
必要なのは、ブランディングという思考の方法と、実際に手を動かすHowのスキルの両方だと整理しています。
Howの学習としては、Pinterest ── 世界中の画像や作例を集めて閲覧・保存できるサービス。デザインの参考探しによく使われますからポスターなどを模写することをすすめています。写真や作字もやると幅が広がると言います。
写真家のチェックやフィードバックをする場面があるため写真の知識があった方がよく、ロゴやポスターを作るなら作字ができると幅が広がるという理由です。
仕事以外の鍛錬は、アウトプットをどんどん公開してフィードバックをもらうのがよいとすすめます。いいね数がモチベーションになりやすいそうです。
副業と、自分でブランドを立ち上げること
転職のためには、副業で実績を作ると有利になると村田さんは話します。
そのとき一番いいのは、クラウドソーシングではなく、友達や知り合いが営む自営業のロゴやパンフレットの案件をもらうことだと言います。
価格は安めになりますが、自由に好きにでき、いきなり案件を請けるよりも最初は取り組みやすいという理由です。
さらにこのAI時代においては、自分の好きなことを追求して自分でブランドを立ち上げるのが一番のおすすめだと語ります。
写真が好きならギャラリーのブランドサイト、作字が好きなら作字を集めたサイト、靴が好きなら靴を紹介するメディアブランドといった具合です。物を作って売るブランドでもよいと言います。
なぜブランド立ち上げをすすめるのか。それはほぼ事業開発であり、ブランディングの知見になり、経営者と話すネタにもなるからだと説明しています。
村田さん自身も、三年ほど前にデザインメンタープロ ── 村田さんが運営しているデザインメンター事業。この回で自身の例として挙げられていますを立ち上げ、ミッションビジョンバリューや強み弱み、ビジネスモデルを考えたと振り返ります。
自分で一からブランドを立ち上げていろいろやるのが大事ですね。そういうのでブランドを作って、どう認知を取っていくかを考えると、Howだけじゃなくて、そのWhatとかWhyの部分も学べるかなっていうふうに思いますね。
完璧主義を脱するには「下手なものを作りまくる」
もうひとつの相談、上司のフィードバックで手が止まる件に移ります。村田さんは、これは完璧主義な傾向のある人に多い悩みだと言います。
ただし完璧主義は悪いことではないと強調します。デザインは丁寧さが大事なので、完璧主義な人は丁寧に作れて向いているという見方です。
問題は、フィードバックに何時間も悩んで進まないこと。業務には締め切りがあるからです。
村田さんは、完璧主義には探索フェーズと詰めるフェーズがあると整理します。探索フェーズでは完璧主義はあまり向かず、詰めるフェーズでは向いているので、切り替えられるのが理想だと言います。
その上で、完璧主義を脱するひとつの方法として挙げたのが、下手なもの、ダサいものを作りまくることでした。
いいものを作ってやろうとしすぎちゃうから完璧主義になっちゃうし、「完璧主義をやめろ」って言われてやめれるもんじゃないんですよね、こういうのって。なので、一旦その壁を壊すためにも、もうダサいものを作りまくるのが大事です。
頭の中で「これはダサい」「これは違う」と思っても、実際に手を動かして作ってみることが大事だと言います。ダサいものも残しておき、悩むのは後回しにして、組み合わせでどんどん作るのがよいそうです。
その理由として、審美眼がないうちはいいデザインもダサいデザインもわからない、と村田さんは指摘します。有名なプロでもたくさん作って見比べないと判断できないからです。
そこから全然違うレイアウトの三案を選び、上司に持っていってフィードバックをもらうのがよいと言います。
なお、ほぼ同じで微細な変更をしただけのものを「再案」と呼ぶ人がいるが、それは案ではなく微調整でしかないと注意しています。探索フェーズなら全然違うレイアウトを持っていくべきだという考えです。
上司はAIだと思え
「上司が怖い」「フィードバックがつらい」という気持ちはわかると村田さんは言います。自身も白鳳のアフタースタジオ時代{要確認: アフタースチュージオ}に五年ほど上司にボコボコにされていたそうです。
自分の作ったものは分身のように感じてしまい、へこむのはどうしようもないと語ります。
そこで村田さんが最近いいと思っているのが、上司をAIだと思うという考え方です。
だってほら、インプットしてアウトプットするのって、もうAIも人間も一緒なんで、これをインプットしたらこう返してくるっていうのは変わんないじゃないですか、人間もAIも。
「また上司AIにフィードバックもらったわ」くらいの感覚でいると、変ないらいらが減ると言います。「またAIからフィードバックをくれたわ、助かるわ」と思って、どんどんもらいに行った方が成長しやすいという考えです。
村田さんは、この感覚はだいぶサイコパスっぽいと自ら添えつつ、心にダメージを受けにくい気がすると話しています。
目的を間違えると成長しない
村田さんは、完璧主義で悩むこと自体は悪くないと繰り返します。悩みながら手を動かすことが大事だからです。
逆に、目的思考の人が悩まずに言われたフィードバックだけをそのまま実行すると、デザインを終わらせることが目的になってしまい成長しない、と指摘します。
業務ならそれでも最悪よいものの、デザインメンターの目的はデザインのスキルを上げることであり、サイトを完成させることではないと言います。
目的思考でフィードバックをそのまま鵜呑みにして早く終わらせても、デザインはうまくなっていかない。作りきるのはもちろん大事なんですけど、それが目的じゃなくって、デザインがうまくなるのが目的なんで、そこを間違えないようにしないと成長はしにくいかなと。
村田さん自身も目的思考で高速に作るタイプだそうですが、フィードバックをきちんと抽象化し、いろいろ試して悩むことが大事だと感じていると話しています。
noteの質問箱と、おじさんの加害性
最後に近況として、noteの質問箱 ── noteに追加された新しい機能で、この回では読者からの質問を受け付ける用途として語られていますが面白いという話が出ます。村田さんは先行して使わせてもらっているそうです。
想定は数行の質問のようですが、村田さんに届くのはすんごい長文ばかりだと言います。noteを読んでくれている人が多いからではないかと推測しています。
多いのは五年目から八年目くらいの中堅層で、「会社がこういうフェーズで悩んでいる」「転職したが環境に合わず悩んでいる」といった重めの質問だそうです。村田さんは新しい視点をもらえてありがたいと話し、超長文でも大丈夫なので気軽に質問してほしいと呼びかけます。
さらに、話題になっている事件を扱ったnoteの記事にも触れます。佐藤二朗さんと橋本愛さんの事件から、おじさんはなぜ加害的でありながら自覚できないのかを考える記事です。
記事によると、佐藤さんが橋本さんの楽屋に行き、「トラウマがあって夫婦役を演じるなら、その状況を共有すべきで、俳優を続けるべきじゃない」といった趣旨のことを言ったとされ、外部弁護士の調査を経て厳重注意処分になったそうです。
記事の主張は、おじさんという存在そのものに加害性がある、というものだと村田さんは紹介します。体が大きく圧迫感があり、それだけで若い女性に物理的・精神的な圧迫感を与えるという指摘です。
おじさん代表として言いますけど、なんかもう本当に気をつけないと。ほんとおせっかいとか説教とかね、もうこれ最悪ですよね、本当に。
村田さんは、これはおじさんに限らないとも言います。長く会社にいるだけで地位や権威性が上がり、気づかないうちに自分の言葉に重みがつくからです。
たとえば十年目の自分が新卒一年目に気軽に話したつもりでも、相手は「頑張らなきゃ」と受け止めたり、へこんだりする。気軽な一言が大きな影響を与えるので、その自覚をしないと事故を起こすと注意していたと語ります。
まとめ
この回は、ブランディングを目指す人と、完璧主義でフィードバックに悩む人への具体的なアドバイスが中心でした。下手なものを作って壁を壊すこと、上司をAIと思うこと、そして目的を取り違えないことが繰り返し語られています。
- ブランディング会社を目指すなら、ウェブに加えグラフィック・写真・作字のスキルと、自分でブランドを立ち上げる経験が役立つ。
- 完璧主義で手が止まるときは、あえて下手なものを作りまくり、全然違う三案を持ってフィードバックをもらうとよい。
- 上司をAIだと思うと、フィードバックへのいらだちが減り、成長のための材料として受け取りやすくなる。
- 目的は作品を完成させることではなくデザインが上達すること。悩みながら手を動かすことが大事。
- 立場や年数で言葉の重みは自然に増す。気軽な一言が相手に強く響くことを自覚する必要がある。



