AIを本格的に使い始めたきっかけは議事録だった
結論から言うと、私もAIは思いっきり活用させてもらっています。本当に大助かりなんです。
本格的に使い始めたのは、チャットGPTが騒がれるようになった頃ですね。無料で試して「こんなのがあるんだ」と課金してみたら、精度の高いものが返ってきて驚きました。
決定的に「いよいよ自分も仕事にAIを入れたな」と感じたのは、議事録の作成でした。
商談や打ち合わせをボイスレコーダーで録音させてもらって、その音声をAIで文字化し、要約して議事録にする。この流れが業務にがっちり入ってきたんです。
以前はアシスタントの方に同行してもらって、横でノートを取ってもらっていました。今もその同行はありますが、メモや議事録作成はもうAIに頼っている、というのが現状です。
これのいいところは、私一人でも打ち合わせに集中できることなんです。ノートを取らずに済むので、会話が途切れない。
自然な会話から引き出せるものがあると思っているので、会話を止めないスムーズなラリーこそが、私にとってのヒアリングなんですよね。
精度もこの1、2年でぐっと上がりました。以前は「山家」が「山の谷」と誤植されていたのが、今はちゃんと「山に家」で出てくるようになったり。専門用語もそこそこ書き出してくれます。
商談段階でワイヤーフレームのたたき台まで出せるようになった
そしてつい最近、周りの仲間からずっと勧められていたことを、初めて自分でも試したんです。
商談でお客さんにどんなホームページを作りたいか、何に困っているかをヒアリングします。私は商談の段階でかなり聞きまくるタイプなんです。
その音声をAIに投げて議事録を作り、さらに「このお客さんはこういう目的だから、こんなページ構成で提案しようと思う」という自分の見解も一緒に食べさせる。
そのうえで、色はいらないから白と黒の線でいいので、ワイヤーフレームのたたき台を作ってくれとAIに投げてみました。
そうしたらHTMLが書き出されて、ダウンロードしてブラウザにドラッグアンドドロップで開くと、見事なワイヤーフレームができているんです。
これはかなり衝撃的でした。ワイヤーフレームとしてちゃんと成立しちゃってるんですよ。
これまでは受注してからワイヤーフレームを引いていました。それが商談の段階で、見積もりと合わせてたたき台まで出せるようになってきたんです。
実際、今週まさにそれがありました。「まだたたき台ですし、AIを使って設計図の一案として作りました」と、正直に伝えたうえで提案したんです。
そうしたら相手がすごく喜んでくれて。「ここまでイメージできるものを出してくれると金額の価値もわかるし、確かにいいねとイメージできる」と言ってくださったんですよ。
見積もり提案の仕方が何か変わりそうだなというのを、今週強く感じました。
便利だからこそ、AIが使えるだけではダメだと思う
ただですよ。今も言ったとおり、AIが出したものは完璧じゃないんです。絶対に手直しが必要になります。
クライアントから「これは違う」「これがないの」と言われることもあれば、「その角度もいいね」と言ってもらえることもある。どちらにせよ、必ず調整が入るんです。
その話し合いのレベルに達するには、ただAIが使えるだけではダメなんですよね。
結局は、クライアントの中に秘めている思いや目的を引き出す力です。AIに作らせたたたき台も、元は私がヒアリングして引き出したものを食べさせなければ、書き出されないわけで。
わかりやすい業界、たとえば美容室やヨガ教室、歯科医院みたいに世の中にたくさんあるビジネスなら、AIもそこそこのものを提案してくれると思います。
でも「こんなお仕事あったのか」というような、AIも知らないビジネスをされている方こそ、自分自身がその商売に興味を持って言葉を引き出せるかが問われるんです。
そのうえで持ち帰って、「これも入れた方がいい」という提案も含めてAIに投げる。書き出されたものを見て「これは違うだろう」「これはいいね」と目利きができる。
そのレベルにないと、私はAIを使うことを推奨しません。AIはあくまでアシスタントなんです。
仕事がめっちゃ早くて先回りして考えてくれるアシスタント。でも、そのアシスタントをハンドリングするのは自分だよ、ということなんです。
もしクライアントに「なぜこの提案なんですか」と聞かれて「AIが書き出したので」と答えたら、一気に信頼を失うと思うんですよ。
ベースはAIが作ったとしても、自分自身が納得して、自分の言葉で説明できるかどうか。これはめっちゃ大事だと思っています。
画像やイラストは、あえて人間の手を残したい
AIの便利さは他にもあります。たとえば社長のご挨拶文を「文章力がなくて恥ずかしいから書きたくない」という方がいらっしゃいます。
そういうときも、録音すればいいんです。自分の商品やサービスの説明なら、現場に出ている人が話せないわけがないんですよ。
話してもらったものを文字起こしして、AIに要約させる。文章力への遠慮でやらなかったことも、こうして引き出せるんです。
一方で、画像やイラストは現時点では違う考えを持っています。AIで書き出す画像は極力控えたいんです。
ホームページやチラシ、パンフレットなど、お客様に見てもらうものは手を抜きたくない。特にイラストは人間に描いてもらいます。
これは複数の方がおっしゃっていて私も強く共感するのですが、「AIだ」と感じた途端、なんだか見る気をなくすんですよね。
駅のホームで見かける「駆け込み乗車はやめましょう」みたいなポスターも、最近はAIで生成したようなものが貼ってあります。でも、どうも素直に受け止められないんです。
便利だと使っているのに、AIで生成されたものを自分に向けられると素直になれない自分がいる。これは私だけでしょうか。
それぞれが優秀なアシスタントを抱えて仕事をする時代
コーダーさん、つまりプログラムを実装される方も、AIにベースのコードを書かせて人間の目で確認する、という使い方をしていると聞きます。
私がワイヤーフレームをAIに書いてもらうのと同じで、コーダーさんも基本のコードを書かせて、調整が必要なら人間の手で直す。
みんながそれぞれ優秀なアシスタントを抱えて仕事をする、そんなイメージなんですよね。
「使っても使われるな」。飲んでも飲まれるなみたいな言い方ですが、今の私はそんな感覚でいます。
何より、お客さんもその先のお客さんも人間なんです。AIがお客さんですという場面に、私は今のところ出会ったことがありません。
だからある程度、人間臭さというか、多少不便でも人の手を残すことが必要かなと思っています。
このPodcastも私の肉声ですし、原稿もAIに作らせていません。毎日書いているコラムも、チェックはAIに見てもらうことはあっても、ベースは自分なんです。
全部AIになると人間味がなくなって、私らしさもなくなって、みんな読まなくなると思うんですよ。
まとめ
ホームページ屋さんという生き方は、まず人間であることが大前提だと思っています。八百屋さんと言ってAIが野菜を売っていたら、どう感じるでしょうか。私にとってはそんな感覚なんです。便利なものは使い、人間の温かさの方がいいものはそちらを選ぶ。今はそのバランスで向き合っています。
- AIは仕事の早い優秀なアシスタント。ハンドリングするのはあくまで自分
- ヒアリングで相手から言葉を引き出す力がなければ、AIのたたき台も生きてこない
- 商談段階でワイヤーフレームのたたき台を出せると、見積もりの根拠まで伝わりやすくなる
- お客さんは人間だから、あえて人間の手や温かさを残す判断も必要



