11月スタートと関東の生産調整、牧場の今
11月1日の日曜日に収録されたこの回で、川上さんはまず、日曜日の仕事として育成牛舎の掃除、離乳する子牛の移動とワクチン、体調の悪い牛の治療を予定していると話しています。
11月から関東で牛乳の生産調整 ── 牛乳が余らないよう、酪農家が出荷する生乳の量を減らすこと。需要が落ちたときに、乳価の下落や廃棄を避ける目的で行われますが始まることについて、川上さんは「なんでこうなってしまったんだろう」と悲しさをにじませます。物価高のなかで生産も落とさなければならず、年末に向けて他の地域にも広がるかもしれないと見ています。
生き残りをかけたなんか戦いみたいになっちゃってますね。
川上牧場自身も出荷する牛乳の量が減ってきているそうです。だからこそ川上さんは、毎日コップ1杯の牛乳を続けてほしいと、リスナーに強めにお願いしています。
お知らせとしては、配信を文字起こしして再構成したnote記事、メンバーシップ、支援金で子ども食堂への牛乳提供や食育活動を行う「#未来の牛乳」、週1回まとめ記事が届く公式LINEが紹介されました。
子宮脱と「全部放牧」のイメージ、現場はどう見ている?
最初のコメントはXから。研修生と収録した回で、分娩のときに起きる子宮脱の話をしたところ、メイプルさんから反応が届きました。
私もまだ出会ったの1回だけです。
メイプル さんから
川上さんの説明では、子宮脱は牛が分娩でいきんだときに、カルシウム不足などさまざまな要因で子宮がひっくり返ってしまう状態です。川上さんも別の牧場を含めて2回ほどしか見たことがないそうです。
本当に大変なんです、(子宮脱を)直すのがね。
同じくメイプルさんからは、牛乳パックに描かれた牛の絵をきっかけに、研修生が「酪農は全部放牧だと思っていた」と話した回へのコメントも届いています。
私は生まれは埼玉県ですが、お恥ずかしながら、北海道へ来る前は北海道の牧場は全部が放牧の牛乳だと思っていました。
メイプル さんから
川上牧場は牛をつないで飼うつなぎ牛舎 ── 牛を1頭ずつ決まった場所につないで飼う牛舎。餌やりや観察がしやすい一方、牛は自由に歩き回れませんです。ライブ配信では「ずっとつながれたままですか」とよく聞かれるそうで、川上さんは牛舎で飼われている牛が大半だと話しています。
牛舎の中を自由に歩けるスタイルの牧場もあり、飼い方はいろいろです。川上さんは、放牧のイメージと現実の差を「消費者と生産者のギャップ」と捉え、伝えていく必要があると話しています。
バナナミルクとカルピス、搾乳ロボットの本当の手間とは
YouTubeでは、牛乳と相性のいい食べ物を紹介した回に、マユさんから「バナナミルクが最強ですね」というコメントが届きました。牛乳とバナナは調理いらずで手軽に食べられて、栄養も満たせる組み合わせとして配信で紹介されていたものです。
カルピスのカルシウムは100グラム当たり約10ミリグラムだと紹介したショート動画には、初コメントのヒロシさんから反応がありました。
当然でしょ。笑笑
ヒロシ さんから
牛乳とカルピス一緒だよって思ってる人もいるんですよ、世の中には。
川上さんは、そうした人に伝えるために配信していると答えます。そのうえで「カルピスさんは本当に頑張ってくださってます」と、カルピスへの応援も呼びかけていました。
搾乳の方式が牧場ごとに違うという回には、メイプルさんから現場の実感がこもった長めのコメントが届いています。
何度かタイミーでロボットを導入している牧場に行って、まだ自分からロボットに入らないデビューしたばっかりの初産牛たちを何頭も搾る場所まで誘導しました。牛が大好きな美味しい配合飼料が食べられるからすぐ覚えるのかなと思っていたら、自分からロボットに入れるようになるまで意外と時間がかかる牛が多いらしいです。
メイプル さんから
うちはパラレルパーラーでデビューしたばっかりの初産牛は積極的に入りませんが、牛は群れで行動するので、最後ホールディングエリアに一人ぼっちになれば大抵入ってくれます。搾乳ロボットだから仕事が楽になるわけではなくて、仕事の種類が変わるだけだと実感しました。
メイプル さんから
メイプルさんの体験から見える、搾乳ロボットとパラレルパーラー ── 牛を横並びに立たせ、後ろ側から人が搾乳機を付ける搾乳施設。複数頭を一度に効率よく搾れますでの初産牛の様子を整理すると、次のようになります。
好物の配合飼料があっても自分から入るまで時間がかかる牛が多く、人が搾る場所まで誘導する
積極的には入らないが、群れで動く習性から、待機場所で1頭だけになれば大抵入る
川上さんによると、牛がロボットに入るかどうかは、いくつもの条件で変わるそうです。
- ロボットに慣らすための馴致の仕方
- 飼養管理や飼っている頭数の規模
- ロボットまでの牛の動線
- 餌の濃さ
- 乳頭の配置など、遺伝改良による搾乳性
慣れたら楽になりますけどね。そこまでが人間も牛も大変だなというところですね。
ことわざ、直売牛乳、ふるさと納税。牛乳の「意外な事情」
「食べてすぐ寝ると牛になる」ということわざの由来を調べた回には、メイプルさんからコメントが届きました。
昔は農耕や運搬で人々の暮らしのそばに牛がいるのが当たり前で、だから牛になるぞって子供たちに教えやすかったんですね。牛は寝ているのではなく、反芻という仕事をしている。いい表現ですね。さすがAI川上さん。
メイプル さんから
本当に彼女たち(牛)は、トップアスリートですから。頑張ってるんですよ、あんな可愛い顔してね。
牛は横になっている間も、反芻 ── 一度飲み込んだ餌を口に戻してかみ直す消化の仕組み。牛は1日の多くの時間を反芻に使い、草の繊維を分解していますという大事な仕事をしています。川上さんは、そう思いながら牛を見て牛乳を飲むと、また美味しくなるのではと話しています。
農家から直接牛乳を買える二股出荷 ── 生乳を指定の団体にまとめて出荷しつつ、一部を自分で販売したり別の先に出したりすること。認められるにはルールがありますのルールを解説した回には、まゆさんから「観光牧場では牛乳が買えて、川上牧場から買えない理由がわかりました」というコメントが届きました。
川上牧場には「牛乳はどこで買えますか?」という質問がよく届きますが、川上牧場だけの牛乳は売っていません。観光牧場と一般的な牧場の違いは、次のように整理できます。
6次産業化して自前の加工場を持ち、自分の牧場の牛乳を処理して販売できる
自分では販売できない。乳業メーカーと組んでブランド化する例はあるが、簡単ではない
乳製品がふるさと納税に少なく見える理由を話した回には、メイプルさんから自分の町の様子が届きました。
私の住んでいる町は、アイスクリームやバスク風チーズケーキ、よつ葉乳業の詰め合わせセットなど、乳製品の返礼品はたくさんありますよ。うちの田舎町はふるさと納税に支えられていると言っても過言じゃないくらいです。笑笑
メイプル さんから
川上さんは、全国的には乳製品は返礼品として扱いにくいとしたうえで、町内に乳業メーカーがあれば、そこが出品するのが形として簡単で、農家の負担も少ないのではと話しています。ふるさと納税に支えられている自治体は「目の色を変えて」取り組んでいるのだろう、とも見ています。
牛乳石鹸は赤か青か、TikTokから届いた反応
TikTokでは、牛乳石鹸の箱の色が東と西で青と赤に分かれるというスライド投稿に、NNNさんからコメントが届きました。
赤箱派です。九州人。牛乳は何にでも活用されるんですね。
NNN さんから
川上さんは、牛乳石鹸には牛乳そのものではなく、牛乳の成分の一部が使われていると補足しています。自分は赤か青か聞かれると迷いつつ、イメージは青だそうです。
牛にもエディプスコンプレックスがあるのかを考えた回には、きみよさんから「ちょっと悲しい感じね」という反応が届きました。
酪農や畜産では、子牛はほとんど人工授精で生まれ、父牛と顔を合わせることがありません。そのため、父牛と子牛が一緒になっても親子という認識はなかなか無いだろう、というのが配信の内容でした。
悲しいとかもないんかなと個人的には思いますけど。
川上さんは、人間の感情と牛の感情を同じものとして考えるのはあまりよくない、という話も配信でしていると添えています。
「牛もうつ病になると思いますか?」というスライドには、きみよさんから528ヘルツと432ヘルツの周波数が大事だというコメントが届きました。川上さんは詳しくわからないとしつつ、牛に快適な周波数があるのか調べてみたいと答えています。
農作業の事故を扱ったショート動画には、介護職のマリ姫さんから「ベテランになればなるほど叩かれないように気をつけている」というコメントが届きました。川上さんは、人と牛を同じに考えると話が変わると前置きしつつ、介護の現場の大変さに思いを寄せていました。
牛乳12本の重さを問うショート動画には、初コメントの鈴木ゆいさんから、重さや物流コストの話が勉強になったという感想が届きました。長文になりそうなのでメッセージで送ったそうです。
長文の感想や質問は、YouTubeのコミュニティ、公式LINEの質問フォーム、メルマガへの返信からも送れると、川上さんは案内しています。
ヴィーガンが牛の餌を作る?爪切りと牛舎の匂い
Instagramでは、牛が1キロ太るのに必要な餌の量を扱ったショート動画に、アキラキラさんからコメントが届きました。
豆腐、豆乳製造で出るおからや豆皮、野菜ジュースの絞りかす、サトウキビ、サトウダイコンの絞りかす、全部牛の餌です。いい餌をヴィーガンが作ってくれます。ありがたいです。
アキラキラ さんから
植物性の食品をたくさん食べるヴィーガンの人が増えるほど、製造時に出る副産物が牛の餌になる、という発想です。川上さんは「これは考えたことがなかった」と面白がっています。
ちょっと意図が違うのかもしれないですけど、僕はちょっとそういう風に捉えて、ちょっと前向きになりますね。
牛の爪をどれくらい切るかを扱ったショート動画には、かきうちさんからコメントが届きました。
和牛の肥育なら一生に1回から○回、繁殖牛なら年に1回から2回です。
かきうち さんから
川上さんは、削蹄 ── 牛のひづめを切って形を整える作業。伸びすぎると歩きにくくなり、足の病気や食欲の低下につながりますは年に1〜2回が牛のためにいいとされる一方、体の大きな肥育牛は足を上げるときに痛めることもあり、牧場や牛によってケースバイケースだと答えています。爪を切ると餌をよく食べるようになる面もあるそうです。
Threadsでは、牧場の匂いは牛の糞だと思っていないかと問うスライドに、hideさんさんから「私もそう思っていました。酸っぱいような匂いがしてました」と反応がありました。
川上さんによると、牧場でいちばん強い匂いはサイレージ ── 牧草やトウモロコシを密閉して発酵させた牛の餌。乳酸発酵による酸っぱい匂いが特徴ですの匂いだそうです。牛舎が臭いときは、換気の悪さ、サイレージの置き場所の近さ、糞を外に出す頻度などが関係していて、匂いも牛舎それぞれだと話しています。
職場体験の中学生の手紙に何が書かれていた?
SNSのコメントの後は、先々週に職場体験に来た中学生からのお礼の手紙が紹介されました。1通目の生徒は、牛乳の出荷までに多くの労力や人が関わっていると知ったと書いたうえで、こう続けています。
手紙には「私は3日間のうち、何回か仕事内容を正しく理解できず、目的と手段がずれている場面がありました」「自ら考え、自主的に行動し、自分の正解を自分で見つけます」とありました。人生プランニングや金融教育もためになったそうです。
川上さんによると、この生徒に牛の餌やりを頼んだところ、牛がいない場所にまで餌をやっていたそうです。そこで、言われたことをやるだけでは仕事にならないと伝えたといいます。
小学校、中学生はもう親の言うことと先生の言うことを聞いておけば、とりあえず何とか回りますけど、仕事になるとね、それが変わるんで。
2通目の生徒は、初日に双子の子牛の出産を見たことや、ライフプランシミュレーション、お金の使い方を教わったことが心に残ったと書いています。今しなければならないことを全力でしようと思えた、という手紙でした。
3通目の生徒は、「牛や商品が届く方々のことを大切に考える」ことを学んだと書いています。餌やりをしながら牛の体調を観察すること、搾乳を「飲む人にも届くものだから」と丁寧に行うことが心に残ったそうです。
川上さんはこの手紙を受けて、牛乳を搾る目的をあらためて言葉にしています。中学生に伝えた「目的と手段」の話と、搾乳の仕事のつながりを整理すると次のとおりです。
牛を大事にする
餌やりの中で体調を観察し、牛の健康を守る
丁寧に搾る
飲む人に届くものとして作業する
飲んでもらう
消費者が美味しく楽しく過ごし、健康になる
牛乳って何のために搾るのかっていったら、飲んでもらうために搾ってるんで。
毎日なにげなくやっていることが中学生に届いたと知り、川上さんは「嬉しい限り」と話しています。何のために搾るのかを中学生も感じ取ってくれたことが、明日からの搾乳の励みになったようです。
コメントの送り先と、Kindle本・AI・アプリのお知らせ
締めくくりに川上さんは、各SNSのコメント欄、公式LINE、メルマガの返信など、どこから届いたコメントも日曜日に返していくと話し、まだコメントしたことがない人にも気軽に送ってほしいと呼びかけています。
お知らせでは、Kindle本『酪農未経験者のために 遺伝改良と飼養設計編』が発売中であることが紹介されました。この本のデータを読み込ませたAI「FarmEcho AI」も作り、酪農でのAIの使い方に悩む人に試してほしいとしています。
さらに、黒毛和牛の近交係数 ── 交配する牛どうしがどれだけ血縁的に近いかを示す数値。高いと生まれる子牛に病気や発育不良が出やすくなりますを計算できるアプリ「和牛交配チェック」は、現在86の牧場で使われているそうです。
まとめ
日曜恒例のコメント返しでは、子宮脱や搾乳ロボットといった現場の話から、直売牛乳やふるさと納税の仕組み、牛乳石鹸やヴィーガンと牛の餌の意外な関係まで、幅広い話題が取り上げられました。最後は職場体験の中学生の手紙を通じて、「牛乳は飲んでもらうために搾る」という酪農の原点が語られています。
- 関東で11月から生産調整が始まり、川上さんは毎日コップ1杯の牛乳で応援してほしいと呼びかけています
- 搾乳ロボットは仕事を楽にするというより、仕事の種類を変えるもので、牛が慣れるまでは人も牛も大変です
- 川上牧場だけの牛乳が買えないのは、6次産業化して加工場を持つ牧場でないと自前で販売できないためです
- おからや絞りかすなど植物性食品の副産物も、牛の大事な餌になっています
- 中学生に伝えた「目的と手段」の話は、牛と飲む人のことを考えて搾乳するという仕事の姿勢につながっています

