中学生からの質問「牛は模様で価値が上がる?」
この日の配信で取り上げられたのは、StandFMのレター機能に届いた匿名の質問でした。以前の配信で引退した牛の話を聞いて、ふと思ったことがあったそうです。
牛さんは模様によって流通上の価値が上がったりするのでしょうか?その特徴的な模様がある牛はタレント牛になれたりするのでしょうか?川上牧場で一番美人の子はどの子でしょう?
川上さんはこの質問をとても喜んでいました。配信が聞き手の生活の中に入り込んでいる手ごたえを感じたようです。
いや、いい質問が来ましたね。配信を聞いてふと思ってくれたみたいで、なんか生活の中に入っている感じがめちゃめちゃ嬉しいですね。
牛の価値は「模様」ではなく何で決まる?
まず結論から。川上さんによると、模様で牛の価値が上がることは今のところないそうです。では何で価値が決まるのか、場面ごとに整理してくれました。
牛乳としての価値は、まず乳量、つまりその牛1頭がどれだけお乳を出すかで決まります。そこに乳成分が加わります。
乳脂肪や乳たんぱく、無脂肪固形分は牛乳パックの裏にも書かれている数字で、牛ごとに濃い・薄いの個性があります。日本では乳脂肪や乳たんぱくが濃い牛のほうが価値が高いそうです。
他の牧場へ牛を売るために家畜市場に出す場合は、また評価軸が変わります。
この場合も乳量や乳成分の良い牛が高く売れますし、下痢や病気・怪我がない健康状態も重視されます。さらに血統も大きく、競走馬のように優秀な父牛と母牛から生まれた牛は価値が高くなるそうです。
見た目の要素もあります。乳房がしっかりついているか、足の形や角度がしっかりしているか、太っているか痩せているかといった点でも評価が変わります。
お肉になるときは、また別の見方になります。
体が大きくて太っていればお肉がたくさん取れるので価値が上がります。黒毛和牛ならサシの入り具合やロースの大きさ、バラ肉の厚さなどが評価されますが、ホルスタインはミンチや切り落としになることが多く、そこはあまり関係しないそうです。
乳量と乳成分(乳脂肪・乳たんぱくが濃いほど高評価)
乳量・乳成分・健康状態・血統・乳房や足の形
体の大きさと肉量、和牛はサシ・ロース・バラの質
SNSで生まれた「タレント牛」たち
模様のある牛はタレント牛になれるのか。ここで川上さんは、SNSやメディアで話題になった牛の例を紹介します。
最近は牧場がInstagramなどで牛の写真や動画を上げていて、それをメディアが取り上げたりSNSでバズったりすることがあるそうです。
一昨年か去年に流行ったのが「牛界の浜辺美波」という投稿です。おすましポーズをした子牛が可愛らしいと話題になり、その後の動向まで取り上げられたとか。
牛界の浜辺美波の今後はどうなったのか、みたいなのもあったので。牛界、界隈の界ですね。
模様がきっかけではないものの、真っ白な牛がニュースになった例もあります。とある畜産試験場で、頭の先から足の先まで真っ白な牛が生まれたそうです。
川上牧場で一番美人の牛は?
最後の質問、「川上牧場で一番美人の牛は?」への答えです。川上さんは共進会に出品した牛の話を持ち出しました。
島根県の共進会に子牛の部で出品した牛がいて、中国地区ではほぼ最下位くらいだったそうです。発育が少し悪かったものの、バランスは良かったとのこと。
その写真は川上牧場のXやInstagramに投稿されていて、「共進会」で検索すると見られるそうです。今は共進会に力を入れているわけではないと川上さんは話します。
いい牛ってなかなかないです。でも悪い牛はあんまりいないので、自分の気に入った牛しか揃えてないので。
一方で過去には結果を残した牛もいて、島根県の共進会で2連覇し、春と秋の両方でトップを取った牛もいるそうです。
代替牛乳の時代、牛の存在価値をどう上げる?
質問への回答を終えたあと、川上さんは話をより大きなテーマへと広げます。それは、消費者からの素朴な疑問が新しい酪農の価値を生むという話です。
酪農をずっとやってると、もう固定概念ガチガチになっちゃうんですよね。牛の価値といえばこれだ、と思っちゃうので。
だからこそ、消費者からふとした疑問を投げてもらうと、それを牛のように反芻して、これからの酪農の新しい価値が生まれるかもしれない、と川上さんは言います。
さらに川上さんは、若い研修生にもよく話しているという「代替牛乳」の話を持ち出しました。牛を使わずに牛乳を作る技術がすでに登場しているそうです。
川上さんによると、あと10年以内には牛がいなくても牛乳が作れるような商品が出てくるといいます。そうなったとき、牛乳もお肉も生まない牛の価値はどうなるのか、という問いが生まれます。
牛乳を出さない、お肉を産まない、その時に牛の価値ってどうなんだろうっていうのを、若い子には考えていかないといけないよ、と言ったりするんですけど。
その一例として、これまで価値がないとされてきたフリーマーチンなどの牛を預かり、クラウドファンディングで支援を集めて価値を上げる牧場もあると紹介されました。
川上さんは、いろんなスタイルの酪農がこれから広がってくるのが楽しみだと語りました。
模様で高く売れる牛乳?消費者への呼びかけ
コメントを拾いながら、川上さんはSNSで話題になる牛の模様についても軽く触れます。
ハートマークが頭にある牛や、隠れミッキーのような模様の牛がSNSで上がることがあるそうです。もしそんな牛の牛乳を高く買ってくれる人がいたら、と川上さんは冗談まじりに呼びかけます。
これの牛乳だったらもう100万円で買っちゃうぜっていう消費者の皆さんが出てきてくれたら、もう酪農家は必死で模様を探すでしょ。
模様そのものに価値はなくても、消費者の見方次第で牛の価値が変わりうる、という話にきれいにつながっていきました。
まとめ
今回は中学生リスナーの「牛は模様で価値が上がる?」という質問から、牛の価値の決まり方や代替牛乳時代の牛の存在価値まで、川上さんが幅広く語る回になりました。消費者の素朴な疑問が新しい酪農の価値を生むという言葉が印象的です。
- 牛の価値は模様ではなく、乳量・乳成分・健康・血統・体型などで決まる
- SNSでは「牛界の浜辺美波」や真っ白な牛など、話題になった牛もいる
- 代替牛乳の技術が進むなか、牛の存在価値をどう上げるかが酪農の課題になっている
- 消費者からのふとした疑問が、これからの酪農の新しい価値を生むきっかけになる


