水餃子部門1位「吉春」とはどんな店か
今月発売の雑誌「大人の週末」に、JAPAN餃子大賞の水餃子部門トップ5が掲載されています。
その1位に輝いたのが、調布市国領にある「手作り餃子の店 吉春」です。
吉春の最大の特徴は、注文を受けてから皮を伸ばし、餡を包み、茹でたり焼いたりする点です。まるで寿司屋のようなスタイルで、その作業をカウンター越しに見られる体験型の店だと紹介されています。
場所は京王線・国領駅の近くです。東京都民でもなかなか降りない駅ですが、いまや予約しないと入れないほどの人気店になっています。
カウンター9席のみの小さな店を、店主の吉村千枝子さんと弟の竜一さんの2人で営んでいます。
店主のルーツと開業までの道のり
店主の吉村千枝子さんは、中国の吉林省長春市の出身です。お父さんが中国の方で、お母さんは残留孤児だった方だと紹介されています。
中国出身ということで、餃子には元から親しんでいたそうです。
高校卒業後は地元のホテルでメンテナンスとして経験を積み、餃子はもちろん、饅頭や麺類、パンなど、さまざまな小麦粉料理の技術を身につけました。
その後、ご両親とともに日本へ移住します。最初から餃子店を開いたわけではなく、はじめは地元のお祭りで屋台を出して餃子を提供していたそうです。
そこで「食べたことのない食感とおいしさ」だと評判になり、ファンが増えていきました。
そうしてお店を持つことになり、2020年12月に2人で餃子専門店「吉春」を国領に立ち上げました。
注文を受けてから作る「寿司屋スタイル」の強み
吉春の魅力は、餃子を注文してから皮も餡も練り始めて作る、寿司屋のようなスタイルにあります。
本当にこれを見てるだけで、胃が満たされていくような気持ちになるんですけど。
注文を受けてから包むことの魅力は、食材の新鮮さです。
皮は棒状のものからプチッと切って伸ばし、餡には旬の野菜をその場で切って包み、すぐに茹でます。
この作りたてのおかげで、皮はプリンプリンの食感になり、餡からは新鮮な旬の野菜そのものの旨さがしっかりと感じられると話されています。
餃子店ではよく、皮を作って平たく伸ばして置いておき、使う時だけ取り出して包むことがあります。
ただ、そうすると皮が少し乾燥してしまいます。皮が乾燥すると、水餃子にしてもモチモチ感が下がってしまうのだそうです。
一方で吉春は、注文を受けてから伸ばして包み、すぐ茹でるため、皮の食感が断トツにいいと語られています。
皮を先に伸ばして置いておき、使う時に包む。時間が経ち皮が乾燥しやすい
注文を受けてから伸ばして包み、すぐ茹でる。皮の食感が保たれる
皮と食材へのこだわり
皮は自家製で、いろいろな小麦粉を研究し、複数の種類をブレンドしています。
塩と水だけでシンプルに練り上げ、季節や湿度に合わせて水分量を調節しているそうです。だからいつ行っても同じおいしい食感が感じられます。
焼き餃子用と水餃子用で皮を分けており、茹でと焼きで最適な出方になるよう変えているとのことです。
餡のベースはキャベツと豚肉で、素材を主役に引き立てるシンプルでベーシックな味付けです。
餃子もタレなしで食べても本当に美味しいと感じるぐらい、食材の味がしっかり感じられます。
まずは何もつけずに一口、そのあと味変としてお酢などをつけるのがおすすめだと話されています。
豚肉は山形県産の米沢豚を肩ロースの塊で仕入れ、餡を作る直前に粗挽きします。肉にも新鮮さを求めるこだわりです。
季節ごとに変わる旬の餃子
野菜は非常に新鮮なものにこだわっており、店には黒板に「今旬なもの」として5種類ほどの季節限定餃子が書かれています。
レギュラーメニューも常時10種類ほどあり、焼き餃子と水餃子がそれぞれ5種類ほど。ピーマンや大根、人参などの餃子があります。
季節限定では、春はセロリやフェンネル、フキノトウ、夏はトマトやキュウリ、秋はキノコやナス、冬は長芋などが登場します。
たとえば長芋なら、シャキシャキとした食感と、食べた瞬間のとろっとした感覚が楽しめます。美味しい食材の美味しい食べ方を突き詰めていると感じられると語られています。
食材によって肉と野菜のバランスや水分量を調整し、旬の食材を主役にした餃子に仕上げているそうです。
カウンター席ですが、複数人で行ってシェアしながら全種類制覇を目指すのがおすすめだと話されています。
東京の餃子との違いと味わい
東京の餃子は大粒で皮が厚めのものが多いのですが、吉春の餃子はそれほど大きくなく、小粒寄りです。
皮と餡のバランスがよく、つるんと胃に入っていくため、お腹がいっぱいになった時の満足感が高く、ちょうどいい量が食べられます。
ラードでガンガン肉汁を出すタイプではないため脂っこさがなく、食べたあとには爽やかさが後味として残ると語られています。
麺店としての技術と職人技が光る餃子で、姉の千恵子さんと弟の竜一さんが仲良く連携するところも微笑ましいと話されています。
ランキングは絶対ではない──審査員としての本音
今回、吉春は水餃子部門1位を受賞しましたが、小野寺さんはランキングそのものは「さほど大事なものではない」と語ります。
水餃子部門には、吉春のほかに北谷のニイハオ、中華街の山東、阿佐ヶ谷の初八戒、中目黒の東京台湾がランクインしています。
どの店も1位になってもおかしくない、根強いファンの多い名店だといいます。今回はたまたま審査員5人の意見がこうまとまっただけだとのことです。
味の好みは人によっても季節によっても変わるため、1位も当然違ってくるものだと考えられます。
だからこそ、ランキングへの異論反論は大歓迎だと呼びかけています。
いろんなところで議論が起こるっていうのが、餃子の文化を発展させる上では第一だと思ってますので。
番組では感想や意見、餃子にまつわるエピソードやリクエストを募集しています。表に出したくない場合は、特設ページ「gyoza.fm」のフォーム、または小野寺さんのSNSのDMで送れます。
水餃子は焼き餃子のルーツ
最後に小野寺さんは、焼き餃子協会は水餃子に関心がないのではと聞かれることがある、と明かします。
協会名の「焼き餃子」は、日本の食文化としての焼き餃子をリスペクトして付けたものだと説明します。
もともと水餃子は、焼き餃子のお兄さんお姉さんでございます。
焼き餃子はただ焼くだけでなく、茹でて蒸して焼く料理です。美味しい水餃子が時間で少し経ったから最後に焼いて食べよう、というところから発祥しているのだといいます。
そのため水餃子は焼き餃子の大事なルーツであり、特に皮が主役になる料理だと語られています。
JAPAN餃子大賞に選ばれている店はみな自家製麺で、その職人の技術や新鮮さへのこだわりを大事にしていきたいと締めくくっています。
まとめ
「吉春」は、注文を受けてから皮と餡を仕込む寿司屋のようなスタイルで、旬の食材と自家製麺の技術を活かした餃子が評価され、JAPAN餃子大賞水餃子部門1位に選ばれました。ランキングは絶対ではないとしつつ、水餃子文化への敬意が語られた回です。
- 吉春は注文後に皮を伸ばし旬の野菜を包む、カウンター9席の体験型店
- 店主・吉村千枝子さんは中国・長春市出身で、2020年12月に弟と開業
- 皮は複数の小麦粉をブレンドし、焼き用と水用で分けるこだわり
- 季節ごとに変わる旬の餃子と、脂っこさのない爽やかな後味が特徴
- ランキングは審査員や季節で変わるもので、異論反論も歓迎という姿勢

