初のゲストは杵築で餃子を作る小春餃子オーナー
聴く餃子は、焼き餃子協会代表理事の小野寺力さんがお送りする番組です。今回は、番組として初めて餃子屋さんへのインタビューが実現しました。
迎えたゲストは、大分県杵築市で小春餃子を経営する株式会社SASUKE・スタイル代表取締役の松垣敬祐さんです。カラフルな餃子が特徴の餃子屋さんとして紹介されています。
1月の一品餃子頒布会では、小春餃子から3種類の餃子が届けられました。会員のすみれさんからは、あっさり優しい定番、干しエビ香る春雨入りのエビ餃子、カボスが爽やかなカボス餃子について、好意的なコメントが寄せられたと伝えられています。
本当に一つ一つの材料が大分のものを使っていて、エビ一つにしても、プリッとしたエビが入っているというより、エビの香りがする餃子です。カキエビというエビを使っていて、そういうところを感じていただけているのがありがたいですね。
地元の食材を使っているからこそ、素材の香りが残っている。そんな特徴が、看板のスタンダード餃子、カキエビ餃子、カボス餃子という定番3種に表れているといいます。
マリンスポーツからラーメン、そして餃子へ
松垣さんが餃子屋を始めたきっかけは、それまで営んできた飲食店にありました。杵築市で約20年、居酒屋を営み、もともとはマリンスポーツの店も手がけていたといいます。
生まれは大分市内で、若い頃は東京へ。ウェイクボードができる海の環境を求めて、国東半島の杵築市に移り住みました。その後、結婚し、仕事をしながら子育てをしています。
飲食店のなかにはラーメン店もありました。松垣さんは、ラーメン屋の餃子にあまりクオリティの高いものと出会えなかったことから、自分で美味しい餃子を作ろうと考えたと話します。
ラーメン屋さんでも美味しい餃子を出したいなというところで、餃子を一緒に作ってみようというのがきっかけです。作るものがすごく好きなので、ラーメンでも麺やチャーシューまで全部手作りしていて。
それで思わず餃子にも落としてしまったという。
作れば作るほど大変になる。それでも突き詰めていく姿勢が、さっぱりとした優しい味わいの小春餃子につながっているようです。
名前の由来は古民家の家紋
食べ歩きの経験も、餃子づくりに生かされています。関東、九州、広島などをめぐり、福岡の鉄鍋餃子や、妻の実家がある広島の薄皮餃子が美味しかったと振り返ります。
薄皮で包みたてという要素は、工場前の居酒屋でも取り入れられています。居酒屋では重たくならないよう薄皮を特注し、包みたて・焼きたてを鉄板で提供しているといいます。
店の名前「小春」の由来は、工場となっている建物にあります。杵築に移住した際、家がなかなか見つからず、やっと借りられたのが古民家でした。
その建物が、大分では有名な小春時計店という時計屋さんの実家で、小春という家紋がついていたんです。その物件にすごく助けられたので、小春という名前を使わせていただいて。
ホームページにあるロゴは、その家に付いていた家紋がもとになっています。名前を使うにあたっては、相手方の小春さんの家族に家族会議で許可をもらい、応援してもらったといいます。
定番と、あんこや花束餃子への挑戦
店の一番人気は、大分らしく塩唐揚げ。餃子も少しずつ人気になってきたといいます。餃子づくりは3期を終えたところで、通販は前年に始めたばかりです。
お店でじっくり研究しながら、お客さんの反応を見て、これいけるぞと思って通販を始めた感じですか。
それもありますし、なかなか地元で販売が伸びていかないので、いろんな人に食べていただきたいという思いからですかね。
その成果として、大丸松坂屋のギフトにも採用されました。展示会や商談会からの話が多く、見た目のカラフルさや、担当者に試食で気に入られたことが後押しになったといいます。
カラーの皮は現在すべて自作で、白を入れて5色あります。作るだけでかなり時間がかかるため、試作は手ごねで少しずつ進めているといいます。
試作では手ごねで少しずつ作るので、これ美味しいなと思うんですけど、どこまで数が作れるかというと。
定番のスタンダード餃子に次いで人気なのが、しそを巻き込んだ餃子と、粗挽きで肉感を強めた甘めの「ニラ豚餃子」です。ニラ豚には「米の恵み」という豚が使われています。
一方、小野寺さんが好きだと語ったのが、つぶあんの餃子です。皮の薄さとあんこのバランスがよく、焼き餃子として焼いてもパリパリ感と相性がいいと評価しました。ただ、催事などではあんこはなかなか売れないのが現状だといいます。
見た目にも華やかな花束餃子は、第14回チームシェフコンクールで審査員特別賞を受賞しています。中身は通常のネタに大葉とチーズが入った、やや洋風の味わいで、皮を2枚分ほど使うため手間がかかるといいます。
厚みがあると美味しくないので、それ用に一回薄く伸ばすんです。楕円形にして、それを包むという。
大分の餃子事情と、これからの夢
餃子を出す際のタレにも地元色があります。地元のかぼす農園に作ってもらったかぼすポン酢と、自家製のラー油で食べてもらっているといいます。
大分はもともと餃子文化があまりなく、餃子屋も少ない地域だと松垣さんは話します。餃子を食べるのは中華屋やラーメン屋が多く、個性的な餃子に出会いにくかったといいます。
大分は元々餃子文化があまりないので、餃子屋さんもすごく少ないんですよね。そういう中で、あまり個性的な餃子に出会わなかったんです。
大分の美味しい餃子として、松垣さんは老夫婦が手包みで続ける大野食品、日々ぎょうざ、こだわりが強く美味しかったという限界突破などの名前を挙げました。
今後については、餃子の素材価格が上がり、キャベツなども高騰するなかで、現実的に苦労していると率直に語ります。
餃子で今携わってくれている従業員さんや家族が、まず豊かになれるようなことができればいいなと思っています。
さらに、海外の人にも食べてもらえるような試みができればと漠然と考えているといいます。杵築は小京都として観光客も訪れており、着物姿で散策する人も戻ってきているためです。
小野寺さんは、大分名物として打ち出せる鶏の餃子や、賞や採用の実績を掲げることの効果を提案しました。松垣さんは、大分で有名な地鶏「冠地鶏」から餃子づくりの話が届いたばかりだと明かします。
冠地鶏の方から、これをぜひ使って餃子を作ってみませんかという話がつい先日あって、少し前にお肉が届いたような状態です。
まとめ
マリンスポーツから飲食、そしてラーメンを経て餃子づくりにたどり着いた松垣さん。地元大分の素材と手作りへのこだわりが、優しい味わいとカラフルな見た目の小春餃子を支えています。
- 小春餃子は、カキエビやカボスなど大分の地元素材を生かした餃子が特徴
- ラーメン店で美味しい餃子を出したいという思いが、餃子づくりの原点になった
- 店名の「小春」は、工場となった古民家に付いていた小春時計店の家紋に由来する
- カラーの皮や花束餃子など手間のかかる商品に挑戦しつつ、定番の人気も支えにしている
- 素材高騰の逆風のなか、従業員や家族が豊かになれること、海外への展開を今後の目標に据えている

