餃子の「もう一つの歴史」を描く冒険小説
今回紹介されるのは、蜂須賀敬明さんによる小説「皿の上のジャンボリー」です。
もともと「焼き餃子」というタイトルだった作品が改題され、上下巻に分かれてリニューアルされた冒険小説だと説明されています。下巻の帯には小野寺さん自身のコメントが寄せられているそうです。
この小説は、餃子の歴史として「こんな世界線もあってもおかしくなかったのでは」と思わせるストーリーだと語られます。
餃子好きな方なら、現実にはあんな企業のこんなことなのかな、こんなことが歴史的にあったのかなという事実と突き合わせをしながら楽しんでいただける冒険小説だと思います。
また、この作品はポッドキャスト「喫茶クロスロード」で小野寺さんのお便りをきっかけに紹介されており、その返答として今回の3つの見どころが語られています。
見どころ1 世界の餃子に出会える
1つ目の見どころは、世界の餃子に出会えることです。
主人公の郡蔵が究極の餃子を目指して大陸をさまよう中で、さまざまな餃子に出会っていきます。そして、その餃子は実在する料理だと語られます。
作中には、朝鮮のマンドゥ、モンゴルのボーズ、ロシアのペリメニ、イタリアのラビオリなどが登場します。小麦粉でにんにくや野菜を包んだ料理は、世界各地に存在すると紹介されています。
これらの料理を食べたときの感想や描写がどれも美味しそうだと小野寺さんは話します。日本の餃子や中国の水餃子までしか知らない人にとって、その先にある世界の餃子を知るきっかけになるとされています。
見どころ2 戦後の餃子ビジネスのリアルな描写
2つ目の見どころは、主に下巻で描かれる戦後の餃子ビジネスの広がりです。
時代が戦後から高度成長期へ向かう中で、作中の店や会社の業態が変わり、ビジネス的に拡大し、そこで衝突が起きていく様子が描かれています。
実際の戦後の日本の飲食業や食品会社の成長をなぞると、「こういうことがあったのだろうな」と見えてくると語られます。
小野寺さんは、作中の企業は実在する複数の企業を重ね合わせたものではないかと推測します。飲食業では餃子の王将、家庭用餃子では最初に作ったとされるニチレイ、現在シェア1位の味の素などの名前を挙げています。
さらに、作中で最初の店が大森にあるという設定にもふれ、渋谷の美味味や楼館{要確認: 美味味や楼館}といった初期の餃子店や中華料理店がモデルになっているのかもしれないと話します。
実際はその1つの会社が飲食業から食品製造して販売みたいなところはやってないと思うんですが、いろんな実際の企業をぎゅっと一つのところに絞ってストーリーにしていらっしゃるのかなと思います。
また、商品開発時のトラブルも数多く描かれており、戦後の食材の仕入れ事情や、カップラーメンの登場、働き方や暮らし方の変化の中で食がどう変わってきたかも読み取れると語られます。
戦後の日本の食文化そのものが小説の中で紹介されている点にも注目してほしいと話されています。
見どころ3 餃子が人を結ぶ
3つ目の見どころは、この小説の主題だと小野寺さんが語る「餃子が人を結ぶ」というテーマです。
餃子の「餃」という字は「食で交わる」と書きます。餃子があれば人が集まり、みんなで食べて心が通じ合い、会話が弾み、新しいことを生み出すエネルギーが生まれると説明されます。
その背景にあるのが、餃子は作り方も食べ方も自由だという考え方です。世界各地に似た料理があるのも、餃子がそもそも自由に作れる料理だからだと語られます。
餃子というものが自由だ、自由に作れる料理なんだと。そんな自由があるからこそ、餃子を通して仲間が生まれたり、敵対関係が生まれたり、いろんな人間関係が生まれてくるんじゃないかなと思います。
餃子に関わる人には大手企業も小さな店もあり、餃子屋同士や支援組織の中にもいざこざが生まれると小野寺さんは話します。
そのうえで、自分が正しいと思うことは信念を持って貫きつつ、他人の自由も同時に尊重していきたいという自身の姿勢を語ります。
自分が正しいと思うことは、信念を持って貫き通すべきだと思いますし、同時に他人にも自由がある。その他人の自由も同時に尊重していかなきゃいけないと思っています。
餃子がつなぐ過去と未来
餃子は今いる人間だけでなく、過去から未来を、そして古今東西の世界をつないでいく食文化だと小野寺さんは語ります。
餃子を作った人は歴史に残っていませんが、最初に作った人が「こうすればもっと美味しく、楽しくなるのでは」と自由に発展させ、空間も時間も超えて現在に至った料理ではないかと話します。
だからこそ餃子は世界の人たちに愛されており、日本では焼き餃子という食文化として発展してきたとまとめられます。小野寺さんは、この焼き餃子という食文化と向き合い、発展を目指したいと語ります。
対談記事と朝ドラへの期待
「皿の上のジャンボリー」については、執筆者の蜂須賀敬明さんと小野寺さんの対談記事が、双葉社のサイト「カラフル」で公開されています。リンクはポッドキャストの詳細欄に記されています。
また、紹介元となった「喫茶クロスロード」で青空さんが語ったように、小野寺さんもこの小説が朝ドラの原作にならないかと期待していると話しています。
喫茶クロスロードで青空さんがおっしゃった通り、この小説が朝ドラの原作にならないかなと私も期待しております。
まとめ
餃子好きの視点から、小説「皿の上のジャンボリー」の見どころが3つ紹介された回でした。世界の餃子、戦後の餃子ビジネス、そして餃子が人を結ぶというテーマを軸に、餃子という料理の広がりと魅力が語られています。
- 「皿の上のジャンボリー」は改題・上下巻化された餃子をめぐる冒険小説
- 見どころ1は、実在する世界各地の餃子に出会えること
- 見どころ2は、戦後から高度成長期の餃子ビジネスをなぞるリアルな描写
- 見どころ3は、餃子が敵も味方も結ぶという小説の主題
- 餃子は作り方も食べ方も自由で、過去から未来、世界をつなぐ食文化だと語られた

