日本三大餃子と福岡の餃子
かつて日本三大餃子といえば、宇都宮、浜松、そして八幡と言われたことがあったそうです。
八幡まで足を運ばずとも、福岡の中洲で鉄鍋餃子や一口餃子を食べたという方もいると小野寺さんは話します。
福岡には現在さまざまな餃子があります。今回はそのなかから、一口餃子と鉄鍋餃子に絞って紹介されました。
一口餃子の元祖・宝雲亭
福岡の一口餃子の元祖は、久留米で創業した宝雲亭というお店であると言われています。宝雲亭は「宝」「雲」、亭主の「亭」の3文字で書きます。
創業者の跨宣之さんは、満州から帰国後の昭和24年に久留米で創業し、その後福岡の中洲へと移転していきました。
小野寺さんも先週、宝雲亭の中洲本店を訪れています。店に入ってすぐ左手では、皮を練り、伸ばし、包んで焼くという作業がずっと行われていたそうです。
その作業を見ながら、博多一口餃子1人前10個を注文しました。
出てきた餃子はにんにくを使わず、玉ねぎに牛肉と豚肉の合いびき肉の餡で、一口サイズです。
餡はねっとりせず、新鮮なシャキッとした食感を残しつつ、肉の旨味もしっかり出ていたと話します。皮もいい食感で、軽いコシを感じながら噛み切ると、口の中で餡と混じって甘く漂ってくるような餃子だったそうです。
テーブルの上には赤柚子胡椒が置いてあり、絡めて食べるとお酒との相性が抜群だったと振り返ります。
一皿10粒ですが、一口サイズなのでペロリといただけたそうです。
宝雲亭の暖簾分けと現在
宝雲亭は現在、3代目の山田隆広さんが受け継いでいます。
これまでこの店で修業した人たちが多く独立し、宝雲亭とは違う名前のお店もあるようです。福岡県内はもちろん、長崎や熊本にも宝雲亭は広がっています。屋台で独立した「たけちゃん」のようなお店もあります。
最近では宝雲亭が明太子メーカーのふくやの傘下になり、餃子の通販もふくやで行われています。
独立して暖簾分けした店は少しずつ味が違ってきているところもあるようですが、一口サイズで赤柚子胡椒が置いてあるという点は、ほぼ共通点になっているそうです。
宝雲亭を見かけたら、入って餃子を注文してみてほしいと小野寺さんは勧めます。
八幡から始まった鉄鍋餃子
続いて八幡の鉄鍋餃子です。小野寺さんは、一番詳しい資料は2023年の澤村さんのnoteだとして、それを参考に自身の考えも交えて話を進めます。
鉄鍋餃子の始まりは、昭和33年、現在の北九州市八幡西区、折尾駅の前からです。
後に大和餃子本店鉄なべを操業する宇久春子さんは、当初は饅頭屋を営んでいたそうです。近頃餃子が流行っているらしいということで、餃子屋に業態を変えていきました。
本店鉄なべのホームページによると、宇久春子さんは中華料理店で中国人が作る餃子に出会い、それを真似て日本人の口に合う餃子を考え出したそうです。店名を「大和餃子」と名乗るのも、日本人の口に合わせたものだからだといいます。
八幡、つまり北九州市というところは、地理的にも門司港という港があり、明治以降、多くの兵士が日本を旅立った場所であり、同時に中国から日本へやってくる入り口でもありました。
1901年に設立された八幡製鉄所があり、工業も盛んで、急激に住民が増えていきました。中国人もいて、戦後は中華料理店がこのエリアに多かっただろうと推察されます。
時期的にも、最初に紹介した宝雲亭が話題になった頃だったといいます。こうした背景のなかで、いろんな餃子を参考にしながら鉄鍋餃子が生まれていったのではないかと小野寺さんは考えています。
鉄鍋が生まれたきっかけ
本店鉄なべの鉄鍋餃子は、鉄鍋を使うところが一番の特徴です。
この鉄鍋が生まれたきっかけは、宇久春子さんのお兄さんが銀座の喫茶店で食べたナポリタンでした。熱々の鉄の皿に乗って出てきたことから、同じように鉄の皿に餃子を乗せれば冷めないと考えたそうです。
そこで京都の鋳物鍛冶職人に鉄鍋を作ってもらいました。その鉄鍋で出した餃子が大好評で、鉄鍋の店がどんどん広まっていきました。
なお、折尾駅で始まった大和餃子本店鉄なべは、再開発などの影響もあり、現在は黒崎駅の前に移転しています。
黒崎の本店鉄なべを訪ねて
小野寺さんは先週、澤村さんと、大牟田でエンジェル餃子を作る鶴田社長との3人で、黒崎の大和餃子本店鉄なべを訪れ、鉄鍋餃子をいただいてきました。
この餃子はキャベツ中心に豚バラ肉、豚もも肉が入っています。皮はホロっと優しい口溶けで、一口丸ごと入れるとポロポロとほどけ、野菜とお肉の旨味が口の中に広がっていく餃子だったそうです。
鉄鍋というとチンチンに熱いイメージがありますが、意外とそこまで熱くはなかったと話します。
程よく冷めない程度の温度で出てくるため、最初から最後まで美味しく食べられたそうです。他の地域の鉄鍋餃子も回ったなかで、本店鉄なべの温度が一番食べやすかったといいます。
皮の厚みもやや薄皮で、たくさん食べてもお腹いっぱいになりすぎず、ちょうどよかったそうです。餃子屋をハシゴする予定がなければ、焼き飯や焼きそばも食べてみたかったと振り返ります。
福岡へ広がった3人のプレイヤー
ここからは、本店鉄なべから派生していったお店の紹介です。
本店鉄なべで働いていた仁田さんと早矢さんの姉妹は、昭和37年に博多駅前で屋台を出店しました。
その後、姉の仁田さんは鉄なべ新栄本店を、妹の早矢さんは鉄なべ中洲本店を開きます。
元々の屋台は姉妹の親戚が譲り受け、その親戚もまた仁田さんという方で、博多祇園鉄なべというお店を始めました。こうして福岡に3人のプレイヤーが出てきたことになります。
大和餃子本店鉄なべ
昭和33年に折尾駅前で創業。現在は黒崎駅前に移転
仁田・早矢姉妹の屋台
本店鉄なべで働いた姉妹が昭和37年に博多駅前で出店
鉄なべ新栄本店/鉄なべ中洲本店
姉が新栄本店、妹が中洲本店を開店
博多祇園鉄なべ
姉妹の親戚が屋台を譲り受けて創業
黒崎の本店鉄なべ、鉄なべ新栄本店、鉄なべ中洲本店は、餃子を縦に並べます。3人前でも縦並びです。
一方、博多祇園鉄なべは3人前以上を注文すると円形に並べて焼いて提供します。これが人気になり、全国的に鉄鍋といえば円形に並べるものと認識されていくようになりました。
ちなみに阿佐ヶ谷にある人気店「博多鉄なべ餃子なかよし」は、博多祇園鉄なべの暖簾分けだそうです。博多祇園鉄なべの味を阿佐ヶ谷でも食べられるということです。
今や全国に広まった一口餃子と鉄鍋餃子ですが、ルーツはこうしたお店にあります。機会があれば、ぜひ福岡で食べに行ってみてほしいと小野寺さんは話します。
八幡の鉄鍋餃子はまだまだ多くあり、その詳細は澤村さんがnoteに書いているとのことです。もっと福岡の餃子について知りたいという要望が多ければ、福岡支部長の澤村さんをゲストに迎えて、ディープな福岡餃子の世界を話したいとしています。
鉄鍋ごとお取り寄せできる本店鉄なべセット
今週のお取り寄せ餃子コーナーは鉄鍋餃子です。餃子だけ送られてきても鉄鍋がないと思いがちですが、実は鉄鍋ごとお取り寄せできます。
小倉のデパート・井筒屋で、本店鉄なべ餃子セットという商品をお取り寄せできます。
内容は、冷凍餃子12個入りが2パック、タレとラー油の小袋が2パック、直径18センチの鉄鍋、直径18センチの木の蓋、鉄鍋を持つための専用ハンドル、そして「本店鉄なべ」と書かれたタレ皿です。
このセットは税込1万2650円です。自宅で鉄鍋餃子を食べたい方に、雰囲気を楽しめる一品として勧められています。
鉄鍋は蓄熱力が高いため、使う時には火力を上げすぎないことが大事なポイントだといいます。
鉄鍋で焼くのが不安な場合は、フライパンで焼いてから皿に返し、温めた鉄鍋にスライドインして食べるだけでも雰囲気は出せるとアドバイスしています。
食べ歩いたその他の福岡餃子
今回の福岡出張では、エンジェル餃子の鶴田さんと一緒に八幡の「ひすみ」というお店にも行ってきました。店頭で皮を練って包む様子を見ることができ、特に皮が美味しかったそうです。
お店の人に皮が美味しいですよねって言ったら、皮は命だからねなんておっしゃってました。
小倉駅からは少し遠く、住宅街にありますが、近くに駐車場もあるため、車を借りて行くのもいいのではないかと話します。見た目は餃子屋を名乗っていますが、内容は中華料理屋っぽい感じだそうです。
また、福岡市の西新エリアには、澤村さんがおすすめした「餃子の日 國勝」があります。繁華街から小道に入ったところにあり、良かったと振り返ります。
カウンターだけのお店で、焼き餃子、水餃子、炊き餃子のコースがあり、どれも美味しく、皮も自家製で練っているそうです。ご主人が蝶ネクタイで、雰囲気もとてもいいといいます。
素敵な餃子体験をしたい方には、西新の國勝を勧めています。お店に行ったら「聴く餃子で聞いた」「澤村さんの紹介を見た」と伝えてもらえると嬉しいとのことです。
出張での出会いとポッドキャストスターアワード
今回の出張では、大丸福岡天神店の宮崎展で餃子の焼き方実演と冷凍餃子の販売を行いました。すみれ子さんのポッドキャストを聴くチームアテシカの皆さんが多く来店したそうです。
また、以前ポッドキャストアークという番組で聴く餃子を紹介したササカさんとも福岡で会い、六本松の鍛冶屋餃子とおそまつさんの2軒をハシゴしながらゆっくり話したといいます。完全オフトークで録音はしていないため、内容は詳しく伝えられないそうです。
ササカさんは、小野寺さんがポッドキャストで話したことはもちろん、noteや記事まで見て話していないこともリサーチしていたそうです。
そんなとこまで見たり聞いたりしてくださってんの?っていうことを感じて、もうササカさんの愛としか言いようがないですね。
こうした出会いに触れ、小野寺さんは「こんな出会いのあるポッドキャスト、ほんと素敵だと思います」と話します。
そのうえで、第2回ポッドキャストスターアワードのエントリー締め切りが8月31日であることを案内しました。
エントリーするとリスナー投票に進み、エントリーした番組がプレイリストに載って多くの人に聴かれる流れになるそうです。ポッドキャストをやっている方、これから始める方に応募が呼びかけられました。
まとめ
福岡の一口餃子と鉄鍋餃子は、それぞれ元祖となる店があり、そこからの暖簾分けや派生によって全国へ広がってきました。小野寺さんの食べ歩きを通して、その系譜と味わいがたどられました。
- 福岡の一口餃子の元祖は、久留米創業で中洲に移転した宝雲亭とされる
- 鉄鍋餃子は昭和33年、八幡・折尾駅前の大和餃子本店鉄なべから始まった
- 本店鉄なべから派生した3店が福岡に広がり、博多祇園鉄なべの円形盛りが全国の鉄鍋のイメージになった
- 井筒屋では鉄鍋ごと揃う本店鉄なべ餃子セットを税込1万2650円でお取り寄せできる
- ひすみや西新の國勝など、福岡には食べ歩く価値のある餃子店が多くある

