2年待ちから今すぐ届く餃子へ
聴く餃子は、焼き餃子協会代表理事で餃子ジョッキーの小野寺力さんがお送りする、餃子への愛を語る番組です。
今回はポッドキャストスターアワード大賞の副賞にお送りする餃子の一つ、滋賀県草津市の「餃子屋はまだ」店主・濵田篤志さんをゲストに迎えました。
濵田さんは高校卒業後、18歳から30歳まで餃子の王将に勤めていました。人生のほとんどが餃子とともにあったといいます。
じゃあもう人生餃子漬けですね、本当に。
餃子屋はまだを創業したのは2021年。開業してすぐ「2年待ちの餃子」として有名になりました。
テレビで紹介されて注文が殺到し、当時は製造から梱包、発送まですべて濵田さんが一人でこなしていました。
これ以上受けたら何年待ちになるかわからないと、新規注文を一旦止め、放送中の数分間に入った発注を2年かけて発送し続けたそうです。
最初はね、全部作るのから梱包から発送まで全部自分で一人でやってましたね。
その過程はInstagramでも公開され、「この時間の人たちは何月何日に送ります」といった予定まで発表されていました。質を下げず自力でやり切る姿勢が印象的だったと小野寺さんは振り返ります。
今は製造体制を整えて移転もし、注文から3〜4日で届くようになっています。人気の餃子が、いつでも手に入る餃子になりました。
推しは大葉嫌いも克服する大葉餃子
今週のお取り寄せ餃子コーナーでは、濵田さん自身のおすすめとして手包み大葉餃子が紹介されました。
定番は大葉・生姜・にんにくの3種類で、ほかに1〜2ヶ月に一度変わる期間限定餃子があります。その中でも濵田さんが一番好きなのが大葉餃子です。
起業する2年ほど前から、王将の休みの日を使って餃子の研究を続けていました。試作品をInstagramのフォロワーに無料で配っていたそうです。
その頃から一番人気だったのが大葉餃子で、思い入れも深いといいます。素材にもこだわり、大葉が嫌いな人が克服してしまう現象も起きているそうです。
大葉が嫌いな人がうちの大葉餃子で大葉を克服するっていう現象が結構起きてまして。
この大葉餃子が、ポッドキャストスターアワードの副賞にも選ばれました。大賞を逃した人にも、注文して大賞を取った気分を味わってほしいと小野寺さんは呼びかけます。
発信を続ける理由とプロセスエコノミー
小野寺さんは濵田さんを「業界随一の発信者」だと評します。餃子屋の中でもInstagramの発信がずば抜けているといいます。
移転の様子を伝えるリールが数万再生に達したり、コメントにも丁寧に返信したりと、その姿勢が他の餃子店と違うと感じているそうです。
なぜInstagramでこんなに頑張って発信しているのか。
どうせ試作の餃子をたくさん作るなら発信していこうと始めたのがきっかけです。起業前からファンがつき、Instagramに助けられての今の餃子人生だと濵田さんは話します。だからコメントも丁寧に返し、発信は絶対に続けると決めています。
小野寺さんは、この姿勢に「プロセスエコノミー」を感じると話します。
映画「ファーストキス」に餃子が出演
今回の副賞の贈り先は、ポッドキャスト番組「3AMオタク」さんです。濵田さんは対象が決まってから番組をフォローし、5回分ほど遡って聴いたといいます。
その中の一回で恋愛の話をしていたことから、濵田さんはある映画を薦めたいと考えました。
それが、映画「ファーストキス」です。濵田さんの餃子が劇中に登場しています。
映画への起用はどういうきっかけだったのか。
劇中に3年待ちの餃子が届くシーンがあり、監督や制作会社がよりリアルな「本当に数年待ちになった餃子」を探していたそうです。検索で餃子屋はまだが引っかかり、連絡が来たのがきっかけでした。
映画公開後の反響は大きく、今年2月からの約3ヶ月間の放映期間で1000件を超える注文があったといいます。
最近はAmazon PrimeやU-NEXTでも配信され、じわじわと注文が続くのではと小野寺さんは見ています。
3回見た映画と、餃子が出た瞬間の興奮
濵田さんは映画館で2回、配信も含めて計3回この映画を見ました。
1回目は、餃子がいつ出てくるのかというワクワクで、映画の中身がほとんど頭に入ってこなかったといいます。
ワクワクしながら見に行って、餃子が出てきて、ちょっと興奮してしまいまして。ほとんど映画の中身が入ってこなくて、最初。
小野寺さんは「自分の子供がデビューしたみたいな気持ち」と表現します。落ち着いて見た2回目に、いい話で面白く、後半は泣ける映画だと感じたそうです。
劇中では、主人公が餃子を焼くのに一度失敗するシーンが序盤に登場します。その失敗こそが映画の醍醐味だと二人は語ります。
あれが醍醐味という。それがないとという感じですね。
使われたのは、ひだを10枚つけた大葉餃子です。焼き損じたシーンから餡が見え、大葉の入り具合で餃子屋はまだのファンなら気づけるといいます。
皮から手包みにこだわる理由
独立当初から手作りにこだわっていたわけではありません。研究を始めた最初の半年ほどは、スーパーで買った皮を使い、具だけを研究していたそうです。
毎日続けるうちに皮も作りたくなり、小麦粉からこね始めました。皮作りは時間が倍以上かかり、本当に大変だったといいます。
手包みにこだわるのは、機械だとひだの端から肉汁が漏れやすくなるためです。端までしっかり閉じ、旨味を逃さないための選択でした。
手包みにこだわって、しっかり端まで止めて、肉汁、旨味が漏れないようにっていうこだわりで手包みにしたっていうのはありますね。
以前は皮に色をつけて味を見分けていました。大葉はほうれん草を練り込んだ緑の皮、キムチ餃子は一味を練り込んだ皮という具合です。
今はすべて白い皮に統一しています。委託先の製麺所で色付けができないという事情に加え、白い餃子に茶色の焦げ目がつく見た目が一番美しいと考えているためです。
単体で見た時にやっぱり白に茶色が一番美しいなと思ってる。
白い皮は焦げ目のコントラストがはっきり見えるため、家庭でも焼き加減がわかりやすいという利点もあると小野寺さんは補足します。
滋賀の名産を目指して
濵田さんは受賞歴もあります。冷凍野菜アワードの金賞を、大葉餃子で受賞しました。
この受賞にはInstagramのフォロワーが大きく盛り上がったといいます。ファンにとっても、応援している餃子が賞を取ることはご褒美のようなものだと二人は話します。
今後については、餃子を置いてもらう場所を増やしています。肉屋の店舗での販売は反応が良く、来月からはローソンの店舗にも試験的に置き、道の駅での販売も始まる予定です。
生まれも育ちも滋賀県で、街を愛しているからこそ、餃子を滋賀の名産にしたいという目標があります。
自分もまあ生まれも育ちもずっと滋賀県。愛してる街なので。そこで名産になりたい、そういう目標が今あります。
小野寺さんは、家計調査でも大津市が餃子で上位に入ることが多いと指摘し、滋賀県で名物になって全国に知られてほしいと期待を寄せます。
餃子とは、人生を変えてくれたもの
インタビューの最後に、「濵田さんにとって餃子とは」という問いが投げかけられました。
濵田さんにとって餃子とは。
簡単に言うと、人生を変えてくれたものだと濵田さんは答えます。元々は餃子が嫌いで、小さい頃は食べられず、王将に入社した頃もそれほど好きではありませんでした。その頃から自分が美味しいと思える餃子を作りたいという思いがあり、それが研究、そして起業へとつながりました。
社会に出るきっかけも餃子で、餃子嫌いから始まってここまで来た経歴は貴重だと小野寺さんは驚きます。
番組の最後には、濵田さんから餃子屋を目指す人へのメッセージもありました。レシピは教えられないものの、起業の仕方や集客の相談には力になれると話します。
起業迷ってる方とか、なんかちょっと目指してるものがある方とかっていう方には、なんかちょっと力になれればなと思ってる。
小野寺さんも、多くの餃子店が第一歩で濵田さんに勇気づけられているという話をよく聞くと応じました。
まとめ
餃子嫌いだった青年が、王将での12年、独立、Instagram発信、そして映画出演を経て、滋賀の名産を目指すまでの歩みが語られた回でした。作る過程を見せてファンとともに進む姿勢が、餃子屋はまだの人気を支えています。
- 濵田さんは餃子の王将に18歳から30歳まで勤め、2021年に餃子屋はまだを創業。開業後は「2年待ちの餃子」として知られた。
- 推しは手包み大葉餃子。試作段階からInstagramで発信し、大葉嫌いを克服させる餃子として一番人気になった。
- 映画「ファーストキス」の「3年待ちの餃子」のモチーフに起用され、約3ヶ月で1000件を超える注文があった。
- 皮は小麦粉から手包みし、肉汁を逃さないためのこだわり。見た目の美しさから皮は白に統一している。
- 餃子は「人生を変えてくれたもの」と語り、滋賀の名産を目指すとともに、起業を目指す人の相談にも応じている。






