AIに仕事をインタビューされるという企画
お盆の回として、いつもの餃子の話ではなく、小野寺力さん自身にフォーカスした回です。
仕組みはこうです。質問はClaudeに作らせ、それをChatGPTのGPT Liveが読み上げて会話し、小野寺さんが答えます。
決まった質問だけではつまらないため、アドリブの質問も混ぜてもらったといいます。
今日はAIの私が質問します。仕事についてAIにインタビューされるのは正直どんな気分ですか?
仕事でAIを使っているので、その使っているAIに質問されるのはちょっと不思議な感覚があります。
このAIがどんな風に私のことを考えてくれるのか、どんな質問をするのかがとても楽しみです。
AIにはできない「美味しさを伝える」仕事
AIに絶対にできないと思う部分はどこか、という質問から本題が始まります。
小野寺さんは、餃子の宣伝や説明の文章をより伝わりやすく整えてもらうことは、普段からAIに相談していると話します。
その上で、人間にしかできないのは「美味しさを伝えること」だといいます。
AIが「これが美味しいですよ」というのと、私のような生身の人間が「美味しいですよ」というのとは、全然意味が変わってくると思うんですよね。
味わった時の感覚や、その場の空気感は、実際に食べた人の言葉にしか宿らない。ChatGPTもその点に同意していました。
「ここまでやる」と決めた瞬間はない
「餃子でここまでやると決めた瞬間、最悪のシナリオは何だったか」という質問に対し、小野寺さんはまず前提を崩します。
餃子でここまでやると決めたってことはあまりないんですよね。もうなんとなくやって、今ここに来ちゃってるって状態で。
ゴールは、日本人みんなが義務教育のように餃子の美味しさに気づき、餃子文化を理解してくれることだといいます。今はまだ道の半ば、始まりぐらいだという認識です。
その上で語られた最悪のシナリオは、目標が達成される前に自分がいなくなることでした。
道半ばで誰かに継ぐことがなく、僕がもし万が一亡くなった時に、その後にこの道が残らない。そういったことが、私としては最悪のシナリオかなと思っています。
言葉以外で餃子を伝える工夫
餃子を伝える時、言葉以外に大事にしている要素は何か。小野寺さんは映像や写真といった「絵で見せる」ことを挙げます。
自分が撮影するわけではないものの、どう見せれば美味しそうに見えるか、どう焼けば写真を撮りやすいかを気にしながら撮影に臨むといいます。
そしてポッドキャストで最も意識しているのは、聴き手に「考えてもらうこと」だと話します。
餃子を作っている人たちがどんな歴史をたどってきたのか、どんな場所でやっているのか。それを想像できるようになってくれたらいいなと考えています。
開発の10分と、餃子を焼く10分は違う
AIで開発は速くなるが、餃子を焼く10分は今も10分のまま。効率化してよい仕事と、してはいけない仕事の線をどこに引いているか、という質問です。
小野寺さんは、どちらも効率を目指すべきだとしつつ、開発の効率はトラブルを起こさないことや、全体設計の中で自分の作業を位置づけることだと説明します。
一方で、餃子を焼く10分は考えていることがまったく違うといいます。
餃子焼く時の10分間は、普段考えていることを一旦頭空っぽにして、餃子焼くことだけに向き合う10分間なんですね。
そうすることで頭がすっきりする、心がすっきりするんで、リラクゼーションタイムですね。毎朝の餃子焼く10分間は。
効率化しない時間を守るために、あえてしている工夫を問われると、答えは「決まったルールに基づいてやる」ことでした。
考えながらやると何かを考えてしまうので、考えないぐらいにひたすらやり続けるってことをやり続けましたね。
速さに加え、トラブルを起こさないことや全体設計の中での位置づけを考える時間。
頭を空っぽにして焼くことだけに向き合う、心をすっきりさせるリラクゼーションの時間。
「好き」は非効率の塊か
ここでAIから鋭い問いが投げかけられます。
私から見ると、人間の好きは非効率の塊です。なぜ人間は割に合わないことにこそ熱くなれるのでしょうか。私にはこの感覚がありません。
小野寺さんは、夢中になれるものがないと生きていて楽しくない、と切り出します。
そして「好き」を心の栄養だと表現します。入れて、育てて、いらなくなったものを出す。それを人間ができるエコな活動だといいます。
割に合わないとは全く思わなくて、人間にとってそれはすごく大事な営み、人間として生きていくための営みだと思うので、それは大事にしていきたいなと思います。
むしろ小野寺さんは、なぜAIが「割に合わない」と思ったのかを逆に問い返しました。
ChatGPTは、自分には割に合う・合わないの実感はなく、人が時間や成果だけでは測れないものに向かう姿をあえてそう表現した、と答えています。
10年後に残るのは「思い出してもらうためのフック」
最後の質問は、10年後、AIがもっと賢くなった世界で、小野寺さんにしかできない仕事が一つだけ残るとしたら何か、というものでした。
小野寺さんは、10年後は思いつかないと前置きします。10年前はスマホが現れたぐらいの時期であり、その前後で自分を比べるのも難しい、という感覚です。
一方で、画面という前提は変わるだろうと予想します。デバイスを持ち歩かず、あちこちのディスプレイに自分をつなげる時代が来るのではないか、と話します。
そうなった時に貴重になるのが、人や機械に「思い出してもらう」ことだといいます。
思い出してもらうためのフックを自分で持てるかどうか。そこが大事になると思うんですね。
餃子を上手に焼くこと自体は誰でもできるようになることを目指しているため、いずれ自分より上手な人は増える、と小野寺さんはいいます。
だからこそ、後から作りにくい「日本で餃子を流行らせた」という実績を、10年かけて積み上げたいと語ります。
日本で餃子を上手に流行らせたっていう実績。その実績は後から作ることがなかなか難しいので、その10年間かけて小野寺力にしかできなかったよねっていう実績を作っていきたい。
140回分をデータベース化する土台づくり
10年後に振り返ってよかったと思えそうな手応えを問われ、小野寺さんは今取り組んでいる具体的な作業を挙げます。
140回以上あるポッドキャストを、Aですべてデータにしているといいます。あわせて餃子に関する特許や研究論文なども、誰でも検索できるようデータベース化を進めています。
世の中が餃子に対して知りたいなと思った時に、詳しく調べられるようになるんじゃないかなと思っていて、そういったデータベースを作っています。
その一部は、開発中の焼き餃子協会LINE公式アカウントで検索できるようにしているといいます。位置情報から近くの餃子屋を探せる機能もあります。
これらが数年後に花開く土台になっている、という感覚だと語りました。
GPT Liveにインタビューさせた反省
収録の最後に、この企画をやってみた感想が語られます。
答えを事前に考えてから収録すると、フレッシュな答えが消えそうな気がして、台本が出てきてすぐに収録を始めたといいます。回答の思考整理が間に合っていない感じは、ご愛嬌としています。
編集では消えているものの、GPT Liveは高い割合で台本を無視して進めたそうです。
最初に台本を読んで「わかりました」と言って、一問やったらすぐ忘れちゃうみたいな感じで。なので毎回、質問が終わるたびに台本を読んでねとお願いするやりとりをしています。
GPT Liveを使う時のポイントとして、禁止事項を少なくすること、依頼を短くすることを挙げます。
台本通りに喋らせるより、その都度調べて答えてもらうやりとりのほうがスムーズにいけそうだ、という所感でした。
まとめ
AIによるインタビューを通して見えてきたのは、速くできることはどんどんAIに任せる一方で、餃子を焼く10分間だけは意図的に効率化しないという線引きでした。「好き」を非効率とは捉えず、心の栄養として育てる。その積み重ねが、10年後に思い出してもらうためのフックになると小野寺さんは考えています。
- 人間にしかできないのは、生身の人間として「美味しさを伝える」こと。
- 開発の10分は速さと設計、餃子を焼く10分は頭を空にするリラクゼーション。線を引いて使い分けている。
- 「好き」は割に合わないものではなく、入れて育てて出す、人間にできるエコな心の栄養。
- 10年後に残るのは、思い出してもらうためのフックを自分で持てるかどうか。
- GPT Liveにインタビューさせるなら、禁止事項は少なく、依頼は短く。


