そもそも「義務教育」とは誰の義務か
義務餃育の話に入る前に、小野寺さんはまず「義務教育とは何か」を確認します。
「義務」というのは、よく誤解されるものだと言います。学ばなければならないという子供の義務ではありません。
保護者が子供に普通教育を受けさせる義務のことだと説明されます。これは憲法第26条第2項で定められています。
普通教育で履修すべき内容は、文部科学省の学習指導要領で定められています。国語や算数、理科、社会など、学年ごとに科目が決まっています。
「義務餃育」は、こうした普通教育の各科目に餃子の話を入れていこうという活動です。今回は特に小学校の科目を中心に、具体的な提案がされます。
家庭科と国語で学ぶ餃子
まずはわかりやすい家庭科から。餃子は麺類の一つで、皮から麺類の特性を学べると言います。
肉や野菜の切り方、練り方、調味料の使い方、焼くときの火加減や油の機能まで、シンプルながら料理の基礎からアレンジまで学べる教材だと話されます。
栄養や衛生の観点も入ります。加熱前と加熱後で菌がどれくらい変わるかを比較することもできると提案されます。
作らなくても、スーパーで餃子のパッケージを見て、どんな食材で作られているかを考えるだけでも学びになると言います。
国語では2冊の本が紹介されます。1冊目はパラダイス山元さんの『読む餃子』です。
もう1冊は蜂須賀敬明さんの小説『皿の上のジャンボリー』です。戦時中から戦後にかけて、究極の餃子の原形を追い求めて世界を旅する物語だと紹介されます。
餃子を通して世界のつながりを感じたり、オノマトペやアクション、深い思考の要素があったりと、読みどころが多いと言います。世界史の教養があるとより面白い作品だそうです。
後編の方は帯に私の名前を入れていただきまして、国語の教科書に載せてほしいって書いてるんですね。ぜひ国語の教科書に使ってほしいです。
算数は餃子を変数にして考える
算数では、記号ではなく絵でイメージすると計算しやすいことがある、という発想から話が始まります。
丸や四角ではなく、餃子の皮や野菜など、絵で見えるもので換算するとわかりやすいのではないかと提案されます。
具体的な問題例も出されます。餃子の皮が1枚7グラム、餃子1粒が20グラムとして、皮が100枚あるときの合計は何グラムか、といった計算です。
さらに発展させれば、キャベツの量を制約にして連立方程式にすることもできると言います。餃子を変数にすると考えやすくなるのではないか、という発想です。
四角とか三角みたいな記号で学ぶより、餃子で考えた方が楽しいって言ってもらえる子供が出てくるんじゃないかなと思うんですよね。
四則演算だけでなく、皮を二次元で考えて面積を計算したり、重さや体積を計算したりと、餃子を通した算数の発展形が考えられると話されます。
理科こそ餃子から学べる
小野寺さんは「理科こそ餃子から多くのことを学べる」と話します。題材は焼き餃子協会の餃子の焼き方です。
一つは水の変化です。フライパンに水を張って火をつけると泡が出て沸騰し、蒸気になります。蒸気は水より約1700倍の体積があるという話もできると言います。
蓋を閉じて蒸気を閉じ込めると餃子が蒸されます。これは気圧の話につながります。
水と油の沸点の違いも学べます。水がなくなって油だけが残り、熱された油が皮のアミノ酸や糖分に反応してメイラード反応が起こると説明されます。
メイラード反応、メイラードさんって人がやったんだよみたいなね。名前聞くだけでも結構子供たち喜ぶんですけど。
餃子の焼き方は、低年齢向けにも中学生向けにも話せると言います。気圧の話は高学年向けなど、年齢に合わせて柔軟に話し方を変えられる教材だと話されます。
社会で見える餃子ができるまで
社会も面白いと小野寺さんは言います。餃子がどう作られているかを考えるのに優秀な教材だからです。
主成分のキャベツから話が始まります。キャベツの主産地を調べると愛知や群馬が出てきます。
その近くに餃子を多く消費する地域がないかを調べると、あることに気づくと言います。良いキャベツを仕入れられるから美味しい餃子が作られるのでは、という仮説を立てる子供が出てくるはずだと話されます。
そこから、誰がいつから餃子を食べていたのかという歴史的観点や、地理的観点、世界情勢や経済発展による動向にも広げられると言います。
さらに、餃子が子供の口に入るまでのバリューチェーンも教材になります。農家、加工工場、その機械を作る人、冷凍や輸送のインフラ、販売場所まで、多くの人が関わっています。
子供の家族の中にも、間接的に餃子に関わる人がいるかもしれません。そう気づくと餃子への見方が変わると言います。
これは僕のお父さんがこういうことをやったからできた餃子なんだと思うと、その餃子残せないみたいなね。美味しく食べることができるんじゃないかなと思うんですね。
音楽・図画工作・体育での広がり
音楽では、餃子の歌を40曲歌う「スペチャオ餃子バンド」が紹介されます。その40曲目は焼き餃子協会のテーマ曲で、義務餃育を広めたい理由が込められていると言います。
音楽は「音を楽しむ」科目です。餃子を焼く音や、美味しく食べるときに美味しく感じる曲は何かなど、感性をつなぐ科目として活かせると話されます。
図画工作では、小学校の学習指導要領にある「作り出す喜びを味わう」という目標が挙げられます。これは食べられない餃子を作ることだと解釈されます。
その実践例として、餃子をモチーフにグッズを作るユニット「餃子宇宙」が紹介されます。7月11日・12日に下北沢のボーナストラックで「餃子宇宙ステーション vol.3」というイベントを開催すると案内されます。
食べられない餃子を作るお題を出せば、子供たちは何で作るか、どう美味しそうに見せるかを考えます。作る喜びを味わえるのではないかと話されます。
体育では、保健分野の目標にある「健康を支える環境作りと関連付ける」ことに注目します。餃子は五大栄養素をバランスよく摂れる料理だと言います。
好き嫌いのある子供でも餃子は食べることが多い、という点も挙げられます。肉のない餃子を食べ続けたらどうなるかを思考実験すれば、肉やタンパク質、野菜の役割を考えるきっかけになると話されます。
探究のテーマとしての餃子
小野寺さんは、これらのアイデアが現場の先生に使えるかはわからないとしつつ、思考実験として一度考えてほしいと呼びかけます。
特に探究型の授業に餃子というキーワードを入れれば、社会的なものから算数的なものまで幅広く網羅できると話されます。
餃子の強みは、子供も大人も大好きなことです。給食に餃子があるだけで盛り上がると言います。好きなものから学ぶと知識の吸収が大きくなると話されます。
宮崎県高鍋町での義務餃育の経験も語られます。一方的に話す授業より、生徒たちが自分で考える授業のほうが反応がよく、次にやりたいという欲求が高まるそうです。
これからは探究をキーに、科目を超えて学ぶ時代だと小野寺さんは考えています。その教材に餃子を活かしてはどうか、というのが義務餃育の提案です。
全国の小中学校の先生におきましては、餃子を教材とした授業をご検討いただきたいと思います。必要とあれば、私も甲冑を担いで駆けつけますので、ぜひご検討ください。
義務餃育は学校でしかできないものではないとも語られます。公民館を借りて親子で餃子教室を開くなど、餃子を通して学ぶ場を作ってほしいと呼びかけられます。
まとめ
この回は、餃子を義務教育の各科目にどう組み込めるかを具体的に提案する内容でした。家庭科から体育まで、身近な餃子が幅広い学びの教材になりうることが語られました。
- 義務教育の「義務」は、保護者が子供に普通教育を受けさせる義務を指す
- 家庭科・国語・算数・理科・社会・音楽・図画工作・体育のそれぞれで餃子を教材にできる
- 理科では水の変化や気圧、メイラード反応などを餃子の焼き方から学べる
- 好きなものから学ぶと知識の吸収が大きく、探究型の授業と相性がよい
- 義務餃育は学校に限らず、公民館での親子餃子教室などでも実践できる




