餃子屋の命、業務用餃子焼き機とは
今回のテーマは、愛知県長久手市のリスナーからのリクエストで届いた「餃子焼き機」です。マニアックな話ではありますが、美味しい餃子の焼き方にも通じる内容だと語られています。
餃子焼き機は、餃子屋にとって最も命ともいえる機材だといいます。開業を考える人がまず選ぶのがこの機材で、店ごとのこだわりが垣間見えるポイントでもあります。
餃子屋さんたちにとっては、本当に一番命と言われる機材でございます。
一般の客にとっても、店がどんな焼き機を使っているかを見るだけで、その店の餃子へのこだわりが少し見えてくるといいます。
ガス式と電気式、それぞれの個性
餃子焼き機は大きく分けてガス式と電気式の2種類があります。ガス式はプロパンや都市ガスを燃焼させて鍋を温め、電気式はIHのようにコイルで鍋を温めます。電気式は業務用だと大抵200ボルトです。
両者の最大の違いは温度コントロールです。ガス式は温度センサーがついていないものが多く、焼き続けると温度が上がっていくため、1回目と2回目で焼き方がかなりシビアになります。
車でいうとマニュアル車みたいな感じですかね。
一方の電気式は、温度をずっと見てくれるものが多く、弱火や中火ではなく「何度」と数値で設定します。マイコンが温度を一定に保ってくれるため、誰でも簡単に綺麗に焼けるのがメリットです。
ガス式は温度が上がりやすく焦げやすいため、蓄熱された2回目からは火を落とすなどの工夫が必要になります。電気式なら客が来るまで200度に保ち、焼くときもそのままという運用ができます。
火力を弱火・中火・強火で調整。温度が上がりやすく焦げやすいため、頻繁な火加減の調整が必要。焼き方がシビア。
温度を数値で設定でき、マイコンが一定に保つ。焦げにくく、初心者でも安定して焼きやすい。
主要メーカーと機種の特徴
餃子焼き機のメーカーとしては、マルゼンとニチワがよく使われているといいます。宮崎ではフジマックの小さなIHに小さな鍋を並べるタイプも多く見かけるそうです。
小野寺さんが多く使っているのはマルゼンで、焼き餃子協会でも電気式200ボルトの1台を所有し、会員がイベントに出る際に貸し出しているそうです。ボタンがシンプルで使いやすいと話します。
フジマックは温度設定が鍋ごとにあり便利そうで、IHの上にステンレス鍋が並ぶだけなので洗いやすいといいます。しかも軽いのも特徴です。焼き機は重く、電気式だと70キロほどあり、1人で運ぶのはかなり大変だといいます。
展示会などで見かけるのが、ワールドキッチンテックの「龍」という焼き機です。蓋に龍の絵が描かれ、鍋部分に南部鉄を使っています。一口サイズなら家庭用の100ボルトで使えるため、持ち運びして使える点が珍しいと語られています。
鉄鍋方式が生む、もちもちジューシーな餃子
昔ながらの店では、餃子焼き機ではなく大きな鉄の餃子鍋を使うところが多いといいます。ガスで火をつけながらステンレスの蓋を閉め、丸く並べて焼く方式です。都内では「おけい」などが挙げられました。
餃子の王将や大阪王将のような全国チェーンでは、四角い大きな鉄鍋に蓋がついたものを使い、蓋が奥に開くタイプと横に開くタイプがあるそうです。
ここで重要なのが、「鉄板」ではなく「鍋」である点です。餃子は焼くだけでなく茹で蒸しが必要で、必ず最初に水を入れます。鉄板だと水が流れてしまい、茹でる行為ができません。
餃子って焼くだけじゃなくて茹で蒸しをしなきゃいけなくてですね、必ず最初にお水入れなきゃいけないです。
鉄鍋やステンレス鍋方式なら、水分がきちんと溜まり、皮がもちもち、餡がジューシーに仕上がります。ただ焼いているだけとの違いがここにあると語られています。
最重要ポイントは「水平取り」
ここからは焼き機の使い方です。基本は鉄フライパンと同じですが、最も大きな違いは大きさで、一度置くと動かせません。だからこそ最初にやるべきなのが「水平を取る」ことだといいます。
水平器を使い、手前と奥、左右の水平を確認します。鍋が2つある場合は両方が水平かをしっかり確認します。水平でないと、片方が焦げやすく、片方は水分が残ってぐちゃぐちゃになるなどムラができやすくなります。
水平が取れていると水が満遍なくサーッと消え、焼き目が全体に綺麗につきます。ストレスなく焼けるようになるといいます。
調整は2段階です。まず一番下の足がネジ式で約1センチ動くので、大きな調整はここで行います。細かい調整は鉄鍋側のネジで行いますが、鉄鍋側で大きく調整するとガタつくため、まず足で調整するのが基本です。
ガス式の場合は屋外で風の影響を受けやすい点にも注意が必要です。風が入ると火が揺らめいて火力が安定しないため、風除けを作るのがよいといいます。ただし完全に塞ぐと完全燃焼しないため、隙間を空けるのがコツです。
油ならしと油返し、そして焼き方
鉄フライパンと同様に「油ならし」と「油返し」が重要です。油ならしは初めて使うときの作業で、まずサビ止めを高温の空焚きで焼き切り、その後に油で表面加工の層を作ります。
油の層は、温かいときに油を塗り、冷めていく過程で染み込ませて作ります。煙が出るまで温度を上げ、火を止めて満遍なく油を塗り、冷めるまで待ってから残った油を拭き取ります。
油返しは毎日行う作業で、油の層を作り直すものです。弱火で油がゆらゆらするくらいまで温め、全体に塗って少し温度が下がれば大丈夫です。最初に塗った油をキッチンペーパーで取り、焼くときにもう一度油を差します。
餃子は油に底が馴染むように、隙間をしっかり空けて並べます。隙間がないと沸騰できなくなるためです。
餃子を置いたら水を入れます。アルミのフッ素加工フライパンではお湯が推奨されますが、火力の強い焼き機なら水で大丈夫だといいます。水は鉄板全面に満遍なく行き渡らせるのがポイントです。
水分がないところは温度が上がりすぎてムラの原因になるためです。高さは不要で、鉄板全体が水分を蓄えた状態にします。
鉄板全面的に水張ってればムラなく焼けますんで、まずはそうしてくださいと。
水を入れたら蓋を閉め、約5分焼きます。音での判断は難しいためタイマーの使用が勧められています。5分後に蓋を開け、水が残っていれば蓋を開けて水分を飛ばすと、餃子に焼き色がついていきます。
ただしガス式は温度が上がりすぎると油が焦げます。油の種類に関わらず焦げやすいため、焼き目がついたら火を止めるくらいの気持ちが安全だと語られています。電気式なら230度ほどに設定しておけばほぼ焦げません。
油カスの処理とターナーの使い方
焼いた後の焦げた油カスは厄介です。鍋の中だけでなく蓋にも跳ねてつき、それが水蒸気で鍋に戻って縁の餃子にくっつくことがあるため、綺麗に拭き取る必要があります。
落ちにくい場合は、熱い状態で水を入れて水蒸気が出るほど沸騰させると油が浮きます。それをキッチンペーパーで拭き取れば簡単に落とせます。冷めてからでは取りにくいため、熱いうちが鉄則です。
餃子屋でよく見かける長いターナーには、穴が空いたタイプと空いていないタイプがあります。穴開きなら油を切ってから使えるので餃子が油っぽくならず、小野寺さんは穴開きタイプを勧めています。
ターナーの先にカスがつくと餃子をすくうときに邪魔になり、穴が空いてしまうこともあります。ターナー同士をカンカンとぶつけ合わせて擦ると簡単にカスが取れ、キッチンペーパーにアルコールを染み込ませて拭くのも有効です。
焼き機を長持ちさせるメンテナンス
一日中使った焼き機には油焼けが残ります。カスは拭けば取れますが、拭いても取れない油焼けは、特にステンレス部分に茶色いシミとして現れます。
その落とし方は「パック」です。キッチンペーパーに重曹やアルコールをヒタヒタに染み込ませ、油焼けの部分に貼り付け、サランラップで巻いて乾燥を防ぎます。これは完全に冷めた状態で行う必要があります。
鍋側の中は基本的にあまり洗わず、表面の汚れを落とす程度にします。最後は錆びないように錆止めの油を薄く塗ります。蓋など外せる部品は取り外して洗剤で洗うのがよいといいます。
鉄やステンレスの鍋部分は拭くだけにして、次に使うときに温度を上げて油を浮かせ、拭いてから油をなじませて使います。こうして手入れをすれば、思った以上に長持ちするそうです。
リクエストへの感謝と締めくくり
今回のお題をリクエストしたリスナーとは、先日川崎で開催された「ハイサイフェスト」で一緒に「うるまの島餃子」を焼いたと明かされました。
番組はSpotify、Apple Podcast、YouTube Music、Amazon Music、LISTENで毎週火曜の夕方5時頃に配信されています。ご意見フォームは詳細欄に記載され、感想や普段の焼き方についての意見も歓迎されています。
今度餃子屋さんに行ったら、どのように餃子を焼いているのか、ぜひ観察してみてください。
まとめ
餃子焼き機は餃子屋の命ともいえる機材で、ガス式と電気式の違いから水平取り、油ならし、日々の手入れまで、プロならではの勘どころが語られました。家庭では馴染みが薄い機材ですが、美味しい餃子の裏側を知る手がかりになります。
- 餃子焼き機はガス式と電気式があり、電気式は温度を一定に保てて初心者でも焼きやすい
- 餃子は焼くだけでなく茹で蒸しが必要なため、鉄板ではなく水を溜められる「鍋」を使う
- 使い方で最も大事なのは水平取りで、ムラなく焼き目をつける基本になる
- 油ならし・油返しで油の層を作り、水は鉄板全面に満遍なく行き渡らせる
- 油焼けは重曹やアルコールのパックで落とし、手入れをすれば焼き機は長持ちする
