そもそも誰の言葉なのか、というところから
今回和尚が取り上げるのは、忌野清志郎の言葉として知られる名言です。
ただし出典は少し込み入っています。清志郎の著書のなかで、ヘルマン・ヘッセが書いていると紹介されている言葉なのですが、どの作品のどことは明記されていないと和尚は指摘します。
そのため和尚は、これはヘッセの言葉と断定できず、清志郎がヘッセの本から感じ取ったことを、清志郎自身の言葉で綴ったものだろうと考えています。
この名言に和尚が感じた違和感
和尚は、この名言が自分にはあまりしっくりこないと率直に話します。ユーモアが大切だという点には同意しつつ、そこから戦争へつなげる部分に飛躍を感じるようです。
その根拠として、大きな戦争を始めた歴史上の人物を挙げます。
- アレキサンダー大王
- カエサル
- チンギス・カン
- ナポレオン
- チョビヒゲのおじさん
和尚は、彼らを変わった人物だとは思いつつも、ユーモアがわからない人たちではなかったはずだと見ています。
さらに、古代の戦争と近代・現代の戦争では意味も影響も違うと補足します。そのうえで、ユーモアがわからない人間が現代で戦争を起こせる地位につくことは考えにくい、と話します。
「余裕のなさ」から名言を捉え直す
とはいえ和尚は、言いたいことはわかるとして、この言葉をいい感じに捉え直そうと試みます。
鍵になるのは「属性」か「状況」かという違いです。清志郎はユーモアがわからないことを、その人が持つ特性のように語っている。しかし和尚は、そんな人間は滅多にいないと考えます。
和尚が注目するのは、戦争を始める人間が置かれている状況です。
戦争を始める人間って追い込まれていたり、切実だったりするんですね。だから、ユーモアになんか割く余裕がないんですよ。
余裕がないから考えが極端に進み、結果的に戦争を始めてしまう。つまり悪いのはユーモアのなさそのものではなく、余裕を奪う状況や社会システムだと和尚は捉え直します。
この捉え方をすればすっきりする、と和尚は言います。ただし、ブラックユーモアを口にし余裕もありそうなトランプ大統領が戦争をする例には、まだモヤモヤが残るとも話しています。
なぜここで堀元見さんの話になるのか
そもそも和尚がこの名言を取り上げたのは、堀元見さんの話をするためでした。
和尚は堀元さんを、相方の水野太貴さんとともにポッドキャストアワードの大賞を受賞したキングオブポッドキャスターだと紹介し、「顔の長い方」と付け加えます。
話のきっかけは、「週の話すラジオ」の週さんが和尚の家に来た際の一言でした。
僕、堀元さんがあまり得意じゃないんです。
理由は詳しく聞かなかったものの、和尚は生理的なものかもしれないと推測します。堀元さんが金の亡者的な発言をよくすることや、単に苦手なだけかもしれない可能性にも触れます。
そのうえで和尚は、堀元さんはすごくいい奴だと述べ、広まった悪いイメージを払拭したいと語ります。
図書館から消えた『教養悪口本』
和尚は、ちょうど図書館で借りられた堀元さんの著書『教養悪口本』を読んだと話します。
神戸市の図書館では、相方の水野さんの本は多数の予約が入っているのに対し、堀元さんの本は割とすぐ借りられたそうです。
さらに和尚は、以前地元の図書館であった出来事も語ります。入ってすぐ借りようとしたら、数日後には本が棚から消えていたというのです。
これ誰かが市役所にクレーム入れたんだろうなって。こんな低俗な作家の低俗な本を置くなって。
あるいは熱心すぎるファンが著作を買い占めた可能性もある、と和尚は付け加えます。もしそうなら、それはそれで少し危ういファンがついている作家だという見立てです。
SNSと世界を良くする、ユーモアという返し方
和尚は本の内容そのものより、後書きに注目します。そこで堀元さんが、まさに清志郎の名言を引用していたからです。
堀元さんは、腹が立っても感情に任せた強い言葉を返すのではなく、クスッと笑える知的なユーモアで返すようにしよう、と書いていたといいます。
一方で和尚は、堀元さんの別の顔にも触れます。ブログでは「100日後に死ぬワニ」を肯定する立場から、批判する人たちを知性が足りないと断罪していたというのです。
さらに、批判の声を拾って発信するだけの人を「ただの拡声機」と揶揄し、表現者は自分のフィルターを通して新しいものを作るべきだと、直接的な言葉で煽っていたと和尚は語ります。
水野さんをゲストに呼ぶための「地道な媚び」
和尚は最後に、この回の裏にある野望を明かします。番組3周年のゲストに、堀元さんの相方・水野太貴さんを呼びたいというのです。
水野さんは堀元さんの会社の専属ではないため、和尚はワンチャンあると見ています。ただし、ネックになるのが堀元さんだと考えているようです。
水野さんが出演するとなると、堀元がギャラの話をしだすと嫌だなあって。
だから今のうちに堀元さんの著作やブログを読み、考えに迎合しておこうと思った、というのがこの回の本音です。私、堀元見さんを信じていますという一言で、和尚は締めくくります。
まとめ
忌野清志郎の名言への違和感から始まった今回は、ユーモアを「属性」ではなく「余裕」の問題として捉え直し、そこから堀元見さんという人物を語り直す回になりました。褒めながら悪口を言う独特のトーンで、名言と人物の両方に光が当てられています。
- 名言は、ユーモアがわからない人ではなく、余裕を奪われた人が戦争を始めると捉えるとしっくりくると和尚は語る
- 堀元見さんは金の亡者的なキャラで誤解されがちだが、和尚は「すごくいい奴」だとイメージの払拭を試みる
- 堀元さんは後書きで、感情的な言葉よりユーモアで返せば世界やSNSは良くなると書いていた
- 一方でブログでは直接的な悪口も辞さない別の顔があり、和尚はその両面を紹介する
- この回の裏には、水野太貴さんをゲストに招くための「地道な媚び」という野望があった




