縄を押し込むとなぜ緩むのか
たかせ秦之助さんは、東京・新宿で緊縛教室「縛楽式」を運営する縛師です。この配信では教室の内容をもとに緊縛の技術を解説しており、アダルトな内容は扱わないと冒頭で断っています。
この回のテーマは「一指抜き」です。たかせさんによると、一指抜きは縛楽式の教室で使う言葉で、一般に広く流通している用語ではないそうです。
一指抜きは、縄同士が交差する場面で使う技術です。もとから掛かっている縄の奥側に、運んできた新しい縄を通す裏通し ── 既に掛かっている縄の裏、つまり受け手の体と縄の間に、新しい縄をくぐらせて通す操作のこと。縄同士が交差する箇所でよく使われますのとき、縛楽式では指1本で迎えに行き、運んでいる縄を引っ掛けて裏を通す手順で教えています。
迎えに行かずに、運んでいる縄を押し込んで通すようなことをすると、絶対縄が緩んじゃうんですね。
たかせさんの考えでは、縄が交差したら反対側から指を差し込み、運んでいる縄を引っ掛けて抜く形が望ましいとされます。縄は押し込まず、指で迎えに行くというのが一指抜きの出発点です。
運んでいる縄を奥へ押し込む。ほぼ間違いなく縄が緩む
反対側から指1本を差し込み、運んでいる縄を引っ掛けて抜く
掛り側を引っ掛け、指は90度だけ返す
一指抜きでたかせさんが最初に挙げる条件は、必ず掛り側にアプローチすることです。縄を持つ手から受け手さんにつながっている側を掛り側、受け手さんにつながっていない縄尻側を送り側と呼んでいます。
(一指抜きで)迎えに行った縄が送り側にアプローチしてしまうと、またやっぱそれも緩みの原因になるんですね。
そのため一指抜きでは、テンションの掛かっている掛り側を引っ掛けるのが基本です。
2つ目の条件は、引っ掛けた後の指の返し方です。指の腹を手前にして差し込み、そのまま180度反転させて抜こうとする人がいると、たかせさんは指摘します。
180度返すと、指の腹が受け手さん側を向き、受け手さんの体を引っ掻くような動きになります。隙間が狭いため縛り手の指に大きな負担がかかり、受け手さんにも無用なノイズを与えてしまうといいます。
なので基本的には90度ですね。
たかせさんが勧めるのは、差し込んだ指を4分の1だけ、下か上に向きを変えて引く方法です。こうすると指が受け手さんの体と平行になり、無駄な負担がかかりにくくなります。さらに隙間がほとんどない場面では、指を返さず手や指の角度だけを変えるやり方もあるそうです。
指の腹が受け手さんに向き、体を引っ掻く動きになる。縛り手の指にも大きな負担
指が体と平行になり、スライドさせるように抜ける。負担がかかりにくい
どの方法でも、一指抜きの核は、指を受け手さんの体に対して平行にスライドさせるイメージで縄を抜いてくることだと、たかせさんはまとめています。
縄が食い込むほど狭いときはどうするか
一指抜きがさらに厳しくなるのは、縄と受け手さんの体がほぼ密着し、軽く食い込むくらいの状態で縄を通す場面です。たかせさんは、ここで空いている手を使う方法を紹介しています。
いわゆる皮下組織とか筋肉というのは押し込めば凹むので、凹んであげて、その隙間を作ってあげるということですね。
たかせさんは、迎えに行った指のほうで体を押し込もうとすると、縛り手の指に変な方向の負担がかかって痛めてしまうと注意します。押し込むのは必ず空いているほうの手です。
足を縛る場面では、体の溝を使う方法もあります。両足を伸ばした伸脚 ── 両足を伸ばした状態で縛ること。両足を折りたたんだ状態で縛る屈脚と対になる言い方ですなら左右の足の間、屈脚なら太ももとふくらはぎの間に、留めの近くに溝ができます。そこに縄を落とし込むようにして抜くといいます。
決してその受け手さんの体をえぐるような形で抜いてくるのではなくて、縄と受け手さんとの隙間を見つけて、そこに縄を滑り込ませるようなイメージ。
縛り手が指を痛めないための考え方
それでも一指抜きが難しい場合には、指2本で迎えに行く二指抜きという方法もあると、たかせさんは触れています。
たかせさんによると、隙間の少ないところを指1本で無理やり抜こうとすると、縛り手の指は確実に痛みます。緊縛で縛り手が体を痛める数少ないポイントが、この裏通しの部分だと話しています。
あんまりこう無理をすることが正解なのではなくて、ちゃんとその隙を見つけてあげて、あの隙にうまく落とし込んであげる(ことが大事です)。
縄と受け手さんの体は、基本的には平行に接していることがほとんどです。だからこそ、縄を体と平行にスライドさせて捌くと、裏通しはうまく抜けるというのが、たかせさんの結論です。
まとめ
一指抜きは、運ぶ縄を緩めず、受け手さんにも縛り手の指にも余計な負担をかけずに裏通しをするための手順です。押し込まずに迎えに行き、体と平行に抜き、狭いときは無理をせず隙間を探すことが軸になっています。
- 縄は押し込まず、反対側から指1本で迎えに行って引っ掛ける
- 引っ掛けるのはテンションの掛かった掛り側で、送り側は緩みの原因になる
- 指は180度ではなく90度だけ返し、受け手さんの体と平行にスライドさせる
- 狭いときは空いた手で体を押し込むか、足の間などの溝に縄を落とし込む
- 無理に指1本で抜こうとせず、隙間を見つけることが指を痛めない近道

