緊縛の「型」はどこまで通用する?
たかせ秦之助さんは、緊縛を生業とする縛師で、東京・新宿で緊縛教室「縛楽式」を運営しています。この配信では教室で教えている内容をもとに、緊縛の技術の考え方やコツを解説しています。
たかせさんは配信の冒頭で、緊縛は一般にアダルトなイメージが強いものの、あくまで表現やコミュニケーションの手段だと説明しています。この配信は汎用的な技術の解説で、アダルトな内容は含まないと断っています。
今回のテーマは「型の前提条件を理解する」です。たかせさんによると、緊縛の型の定義や、どこからどこまでを型とするかは流派によって差があり、「これこそが型」とは言いづらい部分もあるといいます。
そのうえでたかせさんは、最近は教室や講習会で縛りの手順を教わりながら緊縛を覚える人が多いと見ています。そこで教わるのが「どういう手順で縛るとこういう状態になる」という型です。
型というのは、(型を学ぶ人の)大多数をカバーできそうな範囲みたいなものが型として落とし込まれるので、全てのケースにおいて型が有効であるかどうかというと、またそういうわけではないんですよね。
たかせさんは、型は緊縛の基礎を身につけるうえでは便利だとしつつ、どんな人・どんな状況にも型ですべてが解決できるわけではないと話しています。
縛楽式でも、まずは基本型から教え、その後に応用へ発展させていく流れをとっているといいます。
基本型
手順どおりに縛り、緊縛の基礎を身につける
前提条件の理解
その型がどういう前提で作られているかを知る
応用
受け手さんに合った形へ発展させる
型が想定する「標準体型」とは誰のこと?
たかせさんは、型を応用に発展させるためにまず理解すべきなのは、その型がどういう前提条件で作られているかだと話します。多くの場合、雑に言えば標準体型を前提に作られているといいます。
ただし、たかせさんの言う標準体型は、世界的な標準体型でも日本人の標準体型でもありません。型を考案した人が主に相対している人の標準体型だという点が重要です。
縛楽式の緊縛教室の場合、型の前提になっているのは基本的に女性、特に成人女性の標準体型です。そのため相手が男性になると基準が変わり、型をチューニングする必要があるといいます。
相手が女性であっても、標準体型と異なる身体の人には、縛楽式の型をそのまま適用することはできないとたかせさんは指摘しています。
成人女性の標準体型(型の考案者が主に相対する人の体型)
男性の受け手、標準体型と異なる身体の受け手
見た目が同じでも体は違う、個体差の問題
たかせさんは、ぱっと見は標準体型に見える人でも、人の体には個体差があり、個人によって全然違うと話します。例として挙げているのは、関節の可動範囲や筋肉量です。
そのため、緊縛を適正にかけるには、その人に合った形で縄をかけることが求められるとたかせさんは説明しています。
とはいえ、乗っけからその人に合わせてみたいなことをやり始めるとキリがないんで、ある程度こういうケースが多いよねみたいなところ、その型を考案した人にとっての比較的多いケースにやっぱり最適化して作られていくわけなんですよね。
つまり型は、個体差をすべて扱うことの難しさから、考案者にとって比較的多いケースに最適化された出発点として作られている、という整理です。だからこそ、型を使う側が身体的な特徴や個体差を理解する必要があるといいます。
縄の一筋一筋には、なぜ意味があるのか?
たかせさんが、身体的特徴と並んで理解すべきものとして挙げるのが、緊縛の構造的な作りです。その縄が一体何の機能を持っているのか、縄の一筋一筋に意味があるといいます。
なぜその縄をかけているのか、なぜそこに縄がなきゃいけないのか、どうして縄はそっちの方向に進んでいくのか、なぜその位置なのか、みたいなことには一つ一つ必ず理由があるはずなんですよ。
たかせさんによると、縄の理由を理解せずに見よう見まねでやると、縄がずれたり、バランスが悪くなったり、崩れてしまったりするといいます。
たかせさんは、最適な縄の掛け方は、縄一筋一筋の機能と、受け手さんの体型・体質との掛け合わせで導き出されると説明しています。
縄の機能といっても目的は1つではありません。たかせさんは、緊縛を構造的に安定・成立させるための機能もあれば、受け手さんの体感にアプローチする機能もあり、いろいろなことが複合していると話しています。
どういう身体的特徴の相手を想定した縄なのか、どういう機能を持つ縄なのかを分解して理解できるようになって初めて応用の話ができる、というのがたかせさんの考えです。
縛れるようになった先に考えたいこと
たかせさんは、ある程度縛れるようになり、頭をそれほど使わずに縄を運べるようになった先で、自分の縛り方の手順を改めて見直すことを勧めています。
見直す観点は、縄の一筋一筋がどういう意味を持ち、どういう影響を与えるのか、そしてその影響を与えるために受け手さんの体の状態がどうなっていたらよいのか、という点です。
(そこまで考えられるようになると)自然とね、限りなく適正というか、あるべき縄の状態っていうものに縄を置いていくことができるようになるかと思います。
たかせさんは、この話は中級以上の内容になるとしたうえで、こうした点も意識して取り組んでほしいと締めくくっています。
まとめ
今回の配信では、緊縛の型を出発点として使いつつ、その前提条件と縄の機能を分解して理解し、受け手さんに合わせた応用へ進むための考え方が語られました。
- 型は大多数をカバーする範囲として作られており、すべての人・状況に有効とは限らない
- 型の前提の標準体型は、考案者が主に相対する人の体型で、縛楽式では成人女性が基準になっている
- 関節の可動範囲や筋肉量などの個体差があるため、受け手さんに合わせた調整が必要になる
- 最適な縄の掛け方は、縄一筋一筋の機能と受け手さんの体型・体質の掛け合わせで導かれる
- 縛れるようになった先で、縄の意味と影響を考え直すことが中級以上の課題になる

